1. 激動する自動車:国内企業で協力の流れ、団結で真の世界一を狙う

激動する自動車:国内企業で協力の流れ、団結で真の世界一を狙う

出典:www.aice.or.jp

 今、日本の自動車メーカーは絶頂期だ。トヨタは11年連続で世界の自動車業界のプランドNo.1を獲得し、販売台数でも世界トップ、売上高ではVW(フォルクスワーゲン)に僅差の世界2位。その他のメーカーも合わせると、世界における日系メーカーのシェアは約30%に上り、売上高、利益、時価総額全てがその好調さを物語っている。

 特に世界一の成長市場であるASEAN地域では、日系メーカーの独壇場とも言える大きなシェアを獲得し、生産設備に対する投資も先んじて行っている。

 このような状況を見れば、今後も日本の自動車メーカーの躍進は続くのでは、と思えるが、一方で、日本の自動車メーカーは危機感を抱き始めている。

迫る欧米、韓国メーカーの影

 これまで日系自動車メーカーは、日系同士の競争の中で戦うことが多かった。日本国内市場は長い不景気の中とは言え、依然大きな市場として利益をもたらしている。逆に言えば、多くの海外メーカーとの競争にさらされるヨーロッパでは苦戦し続けてきた過去を持つ。

 ASEAN地域でもこのような競争環境は同様だ。日本が市場を独占しているのは、タイヤインドネシアと言った比較的早くから成熟し始めた市場で、その中で日系メーカー同士でシェアを奪い合ってきた。

 そんな中、ASEAN市場の拡大に伴い、各国のメーカーが続々と参入を続けている。量産車を中心に展開するGM(ゼネラル・モーターズ)は自社の強みを活かした展開を進めており、現代自動車は日本メーカーが手薄なベトナムやフィリピンへ手を伸ばし始めている。

 日系メーカーの筆頭のトヨタは世界トップの販売台数とは言え、その差は僅か。2013年の販売台数はトヨタの998万台に対し、VWは973万台、GMは971万台と迫る。GMは破綻直後の2009年に700万台近くまで落ち込んだところから回復してきた勢いもある。韓国の現代自動車も756万台とシェアを押し上げてきている。

日系メーカーも団結で死守の態勢

 日系メーカーの危機感は、永らくライバルだった関係を団結の方向へ向かわせている。2014年5月に発足させた、AICE(自動車用内燃機関技術研究組合)は自動車エンジンの基礎研究を共同で行うことを目的とした組合だ。

 これには、トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、ダイハツ、スバル、マツダ、三菱の8メーカーに、一般財団法人日本自動車研究所が加わり、日系メーカーのほとんどが参加した形。
 
 さらに、同年7月には、独立行政法人産業技術総合研究所、12月にはいすゞ自動車株式会社がこれに加入し、自動車業界を挙げて、海外メーカーに対抗する姿勢を示すような流れとなった。

産学官連携でエコシステムを

 エンジンのような基幹的な技術の研究には、大学などの研究機関の存在が欠かせない。民間企業が共同で研究を行うことができる体制を整えることで、研究機関、官公庁が連携する、産学官連携を活性化する狙い。

 技術開発を行う人材不足は、自動車業界においても悩みのタネだ。一方で専門的な研究には資金が必要だ。企業は研究を依頼するとともに資金を提供し、その成果を事業に活用できる。大学側は研究資金を得られるとともに、学生に教育を受けさせることができ、将来そうした人材が自動車業界で活躍できる。

 そうしたエコシステムを作ることで、日本の自動車業界全体の技術レベルを押し上げることができ、欧米のメーカーに対抗していこうという構えだ。


 この取り組み自体はまだ始まったばかりで予算規模もさほど大きくない。しかし、これ以外にも独自技術や特許などを公開して共同開発を進めるなど、日系メーカーの連携は増える傾向にある。

 世界の自動車メーカーのトップ10に最も名を多く連ねる自動車メーカーがその連携を密にしようという取り組みが、大きな可能性を秘めていることは言うまでもない。日本経済の起爆剤になるのは、自動車かもしれない。


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