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「週124時間、会社に泊まって働いた」――最年少上場起業家リブセンス村上氏の超絶創業エピソード

野口直希

2015/02/02(最終更新日:2015/02/02)


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「週124時間、会社に泊まって働いた」――最年少上場起業家リブセンス村上氏の超絶創業エピソード 1番目の画像

 ゼロからひたすら突っ走ってきたベンチャー社長達が働くことの価値を語ったイベント、「ベンチャーという働き方、起業という働き方」が先日開催された。ここでは見事上場を成し遂げたリブセンス代表の村上太一氏と、株式会社ドリコム代表の内藤裕紀氏が、創業当初の苦労や成功体験を語り尽くした対談を紹介する。

 前編で話されたのは、創業時のメンバーの集め方。学生ベンチャーがぶつかる大きな壁が、メンバー集めだ。就活や学業が優先されることも多い中で、優秀なメンバーを見つけるにはどうすればいいのだろうか?

登壇者

株式会社リブセンス 代表取締役社長 村上太一氏
株式会社ドリコム 代表取締役社長 内藤裕紀氏

見出し一覧

・上場最年少になりそうな起業家は?
・やれそうな人には片っ端から声をかけろ!
・「週120時間を目標にしていた」

上場最年少になりそうな起業家は?

内藤:皆さんこんにちは。今日は、最年少上場記録ホルダーの村上社長に色々聞いていきます。

村上:お願いします。

内藤:同じ目黒界隈の会社仲間として、日頃からお世話になっております。とりあえずどこから行こうかな。まず、どんな人が村上さんの記録を塗り替えるのでしょうか。

村上:僕は、今28歳になりましたね。25歳で上場しました。上場するには2年くらい監査とかあるのも考えると、「Panda Graphics」の倉富佑也氏かな。

内藤:さっきも控室で出ましたね。大人気ですね。

村上:East Venturesというベンチャーキャピタルからの出資を受けている。スケジュール的には行けるんじゃないかな。

内藤:1歳下でいくと。24歳で。

村上:24歳過ぎには。今、彼は22歳とかなので。

内藤:やっぱり脅威ですか、塗り替えられちゃうのは。

村上:私も最年少をネタにするといっても、そろそろいいおっさんになってきた。だから、それを塗り替えられたときにまた取り上げてもらって、違うところでしっかりと取り上げられるように頑張ろうって感じですね。

内藤:今日、ここにいらっしゃる人と同じ年ぐらいですよね。

やれそうな人には片っ端から声をかけろ!

内藤:これから起業したい人たちに向けて、創業時のメンバーをどう作っていくか。お金もプロダクトもないって時に、最初の1人目なり2人目を、どういうふうに口説けばいいのでしょうか。

 特に学生だと就活の時期を迎えたときに、就活と並行してやるか悩む時期が来る。そういった部分も含めて、最初の1人目はどう口説いたんですか?

村上:最初は、高校生の時に同じクラスだった友人と始めて。彼は口説くも何も、お互い「やるよね」と言っていた。非常に気が合って、それこそソフトバンクがあまり有名じゃないときに「絶対、ソフトバンクの株は上がるから」とか。そんな彼とやろうと決めて。

 その後のメンバーは、ある程度起業に興味ありますっていう人には、「じゃあ、一緒にやろう」って言ってチームに入れていくんですね。「じゃあ、ちょっとヒアリング調査するから、渋谷で該当者全員に聞くぞ」みたいな感じでプロジェクトをやるんですけど、やる気ないメンバーは徐々に出席率が悪くなる。

 起業前の段階で、いろんな気が合いそうなメンバーは声をかけ、それでチームに入った人とプロジェクトを一緒にやる。自然とドロップアウトする人がいて、残ったメンバーでやるっていう動きでした。

内藤:優秀さと性格的に合いそうかだと、どっちを優先していました?一桁メンバーの時って、優秀さか性格重視かって結構難しいところだと思っていて。

村上:学生だと、優秀さとかはよく分からないですよね。ちゃんと動ける人をチームに入れて、動きを見て判断していました。だから、アウトプットがしっかり出せるメンバー、行動がしっかり出来るメンバーみたいな感じで。ちなみに内藤さんは?

内藤:僕も最初似たような感じで、バーッと同じように集まって、無給で働く。最初は優秀かどうかも分からないので、とりあえずやってみる。

村上:どんどんチームに入れていって。

内藤:本当にそうです。情報学科の学生とかのホームページを見て、サイトを作れそうなやつに声をかけた。

村上:そうですよね。

重い仕事をやってくれた人は、就活もせずに働いてくれた

内藤:それで、入っていくじゃないですか。1人目が最初に抜けるタイミングというのは、どんなときでした?

村上:会社を立ち上げる前のプロジェクトがあって、そこで抜けていく。創業メンバーが4名で、1名はすぐに抜けてしまった。実質3名みたいな感じ。

 3名になった後も継続的にメンバー集めをしていって、8人ぐらいのチームになったころに、就活ですね。就活をどうするかが問題になって、「ちょっと両親が」と言って抜けてしまうメンバーもいた。ただ、コアのメンバーというか、役員陣で重い仕事をやってるメンバーは全員、就活をすることなく残ってくれました。

内藤:ちなみに、周りが就活を迎えるタイミングで、リブセンスの売上はどれぐらいあったんですか?

村上:生々しいところを突っ込んできましたね。就活を迎える時には、利益が出ていたんですよね。創業メンバー3名で実質大学1年と2年生で立ち上げて、2年目の就活の時期が年商7000万円。

 売上が7000万円で、利益は3000万円くらい。そのタイミングでまず1人辞めて、その次の年が売上3億円で利益が1億5000万円。

内藤:うちも2年目で売上7000万円だったので一緒だけど、それでもみんなの生活を養えるかという意味で見たら、本当にいけるのかは気になるじゃないですか。それでももうひと押し出来たのは、「自分の中で絶対出来るぞ」みたいな自信があったのか「前に進むぞ」という勢いだったのか。どっちでしょう。

村上:「やってこうぜ」って言わずに、やるのが前提なんですよね。とはいえ、負荷のかかったメンバーはやる前提の中で、親から言われて辞めていく。その当時はみんながいろいろあったので、去る者は追わずで。みんながやるのが前提で、その頃のメンバーがコアになっていましたね。

 ただ、給料が当時5万円だったので、さすがに申し訳なかった。だから、そのタイミングで20万円に上げていましたね。

「とりあえず声をかけまくってました」

内藤:学生のベンチャーを見ていると、いつまでたってもずっと1~2人のまま増えない人もいるんですよね。最終的に1人で出来ることは少ないので、サービスも伸びない。メンバーが増えないチームと、そうやって増えていくチームは何が違うんでしょう?

村上:何ですかね。僕は、声をかけた量だと思っている。授業で後ろの席から見て、雰囲気いい人がいたら全員声かけてました。

内藤:なんて言うんですか。

村上:「起業しないか」、「チームに入らないか」ですね、会社が出来ていたので、「今、実は会社やってるんだけど、一緒にやらない?」みたいな。

内藤:頭おかしい人ですよね。

村上:「オフィスに遊びに来なよ」とかって。

内藤:宗教の勧誘みたいな。

村上:いえいえ(笑)。「こんな感じでやってるんだけど、やりたい? 無給だけど、いろいろ経験させてあげるよ」みたいな。あとは、高校時代の友人がヘルプで手伝ってくれたりとか。

内藤:とりあえず全員に声をかけるのは基本ですね。

村上:そうですね。

内藤:それで、最初の3年ぐらいは何人ぐらいのペースでチームが増えていったんですか?

村上:スタート時が4名。とはいえ実質3名みたいな感じで、初年度終わりのタイミングには7人ぐらいにはなってたんじゃないかな。当時、雇用契約もなかったので、正式に何名だったかっていう記録は分からないけど、確か7名ぐらい。

内藤:それからもう1年後には、7000万円売り上げた。

村上:その頃は、最高で15名ぐらいになっていたと思います。臨時のメンバーも合わせると。

「週124時間を目標にしていた」

内藤:なるほど。チームの話はだいたいそんな感じで。「スタートアップはプロダクトがうまくいく以外、なにもない」という言葉を聞いたことがありますが、まさにその通りだと思っています。いろんなことがあるけど、結局いいプロダクトが出来るかどうか。リブセンスにとって、最初のプロダクトは何だったんですか?

村上:今もメインの「ジョブセンス」です。

内藤:それは最初から上手くいった?

村上:いや、最初から上手くはいかない。ひたすら改善、リニューアルを続けてました。1回作っては「ダメだ、もっとだ」みたいな感じで、ひたすら改善。

内藤:村上君と出会う前から、噂は聞いていました。23歳ぐらいの時に。「早稲田の学生で、村上先生って呼ばれているんだ」って。

 「すごい細かくSEOとかやりまくって伸ばしている」という話を聞いていました。さっきのメインの話もそうなんですが、同じチームで同じ時間をかけても、駄作になるプロダクトと伸びるプロダクトって、本当に紙一重です。その分岐点って、今から振り返るとどんなところだったと思いますか。

村上:分岐点ではないんですけど、とにかく働き続けていました。とにかく働く、それだけだと思います。それがすべてですね。当時は、隣のオフィスに与沢翼先輩がいて。帰る時間もお互い、電気が消えるタイミングで分かった。

 彼もガッツがあって働く方なので、「まだ今日は与沢さんもいるから頑張ろう」みたいな。彼もすごく働いていた。あれだけ強力なマーケティングは、あの時間があったからこそ出来たと思います。

内藤:逆に、スタートアップでがむしゃらに働かないで成功したチームって聞いたことないですよ。

村上:ないと思います。特に学生ベンチャーにおいて、これはマスト。当時は「土曜日が一番仕事できる」と言って、みんなで集まって朝から会議をして。

内藤:そうですね。僕らも机の下に布団を置いて、基本的に会社に泊まる前提。帰る時に、「え、帰るの?」って言われるんですよね。12時台に帰ると早退みたいな雰囲気。週に1~2回はみんなで銭湯に行くのも習慣でした。

村上:ベッドはありますよね。上場ぐらいまでは、そんな雰囲気でバーッとやってましたね。

内藤:上場まで。

村上:上場前ぐらいにはちょっと。

内藤:整理しなきゃいけないですよね。

村上:そうなんですよ。がむしゃらに働くっていうのは、絶対だと思うんですよね。当時サイバーエージェントの藤田晋さんが『渋谷ではたらく社長の告白』という本で、週110時間という基準を書かれていたので、「俺らは124時間」と言っていましたね。(続く)


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