1. 「楽しさと大変さの割合は1:9」ーー 3名の若手起業家が語った「起業」という働き方【前編】

「楽しさと大変さの割合は1:9」ーー 3名の若手起業家が語った「起業」という働き方【前編】


 先日、株式会社ドリコムにて、これからの「働く」を考えるイベント「ベンチャーという働き方、起業という働き方」が開催された。

 このイベントは、なかなか身近に感じにくい「起業」や「ベンチャーで働くということ」について考えるというもの。ここでは、3名の若い起業家が語った、トークセッションの内容をお伝えしていく。

登壇者

dely株式会社 CEO 堀江裕介氏
株式会社Stone Free 代表取締役CEO 石黒燦氏
株式会社Ignom 代表取締役 吉田優華子氏

モデレーター

株式会社ドリコム 杉山秀樹氏

見出し一覧

・創業フェーズの起業家が「働く」を語る!
・「とりあえずやるか」という想いで起業した
・早いタイミングで世界に乗り出したほうが色々吸収できる
・周りに「起業したい」と言い続けたらチャンスが巡ってきた
・インターンであれば、誰かに認めてもらうのは簡単
・責任が重くのしかかってくるのは起業のツラいところ
・起業に必要なのは一生懸命やって考え抜くということだけ

創業フェーズの起業家が「働く」を語る!

杉山:まず始めに、それぞれ自己紹介をお願いしたいと思います。では、まず堀江さんから簡単に自己紹介お願いできますでしょうか?

堀江:こんにちは。dely株式会社の堀江と申します。1992年生まれで、インターネットの世界に入ってきたのは、ちょうど去年ぐらい。なので、もしかしたら皆さんよりインターネットのことを知らないかもしれないです。

 会社は今年の4月に立ち上げまして、今、出前のポータルアプリ「dely」を運営しています。12月から都内全域と関東を中心にケータリングがアプリ、Webからの注文が出来るようになる予定です。

 今年の5月に一度、3社から資金調達して、その後9月頃にもう一回資金を入れ、合計4社からの資金で運営しています。よろしくお願いします。

杉山:ありがとうございます。続いて石黒さん、お願いします。

石黒:株式会社Stone Freeの代表の石黒と申します。1994年生まれです。会社を作ったのは今年の4月で、7月に「AniCool」というサービスを公開したんですけど、諸事情で今運営が停止しています。

 10月に日本政策金融公庫さんから2500万円程ファイナンスをして、2015年1月に新しく「マンガックス」という漫画サービスを開設する予定です。

 自分は、「マンガとアニメに産業革命を」というテーマのもとにサービスを展開しています。1月にリリースする予定の「マンガックス」というサービスは、圧倒的クオリティのオリジナルマンガがバックナンバーを含め全部無料で読めるという、マンガの世界配信サービスなんですね。今のところ、多言語で配信しようと考えてます。

 現状、日本よりも中国など海外の方が、作画のクオリティが高いマンガ家が多いので、日本のコンテンツを海外に配信していくだけではなく、海外から様々なクリエイターを集めて、その人たちのコンテンツを世界中に配信していくというサービスを展開していこうと思っています。

杉山:よろしくお願いします。

吉田:こんにちは。株式会社Ignomの代表の吉田と申します。「Ignom」という会社名だけ聞くと、「あまりピンとこない……」という人も多いと思うんですけど、私たちは「DropMusic」という音楽ストリーミングアプリを作っています。

 この中で「DropMusic」を使っている方、どれくらいいますか?よかった、わりといますね。2013年11月にリリースして、今月で1周年を迎えました。記念にパーカーと1周年記念ステッカーを作ったので、今日もし欲しい人がいたら配りたいと思います。先着5名です。

 1周年経った今月、500万ダウンロードも無事突破しまして、これからどんどん新しい機能などを追加して、拡大していこうと思っています。

 私は今、社会人2年目で、新卒としてこのドリコムに入社しました。1年目はソーシャルゲームのディレクターをやっていて、今年の4月から「Ignom」の代表に就任しました。今日は豪華なゲストや起業家がいらっしゃっている中、私だけ雇われ社長ということで、「こういう働き方もあるんだな」という一つの参考になれればと思っています。よろしくお願いします。

「とりあえずやるか」という想いで起業した


杉山:自己紹介、ありがとうございます。それでは早速ですが、パネルディスカッションということで、事前に用意した9つのテーマをもとにディスカッションを進めていきたいなと思っています。

 9つのうちの1つ、一番右下は会場からの質問となっております。話を聞いて、「ここって実際どうなんだろう」っていうものがあったら、時間の最後に皆様からの質問を受け付ける時間もありますので、そこで投げかけてみてください。

 では最初のテーマということで、話しやすそうなところで行くと「何で創業したのか?」。創業時の思いや起業という選択肢を取った理由などを、ぜひ聞いてみたいなと思うんですが。口火を切る形で堀江さん、創業時の思い、なぜ起業だったのかという話を聞かせていただけますでしょうか。

堀江: 僕は今、大学3年なんですね。この後に話す起業家の人たちは、創業時のかっこいい思い出などがあると思うんですけど、僕の場合はあんまりかっこいい目標みたいなものはなく、「とりあえずやるか」みたいな感じで始めちゃったんです。

 たまたまタイミングが良かったというか、ベンチャー界隈にいる人は分かると思うんですけど、ベンチャーって少しバブル気味で、資金調達が上手くいきやすい。自分的にもこの1年、「来るな」っていうのが少し見えてはいたので、やるならすごいいいタイミングだなと思っていたのと、就活も考えてはいたので一回自分の力試しみたいな感じでやるかと。

 それで、いざ始めてみたら思ったより「行けるんじゃないか」と思い、そこから資金や人も集まって、サービスも拡大していきました。なので、僕の場合はあまりかっこいいものはなく、「まあ、とりあえずやってみよう」という何となくな感じで始めました。すみません、こんな話で。

自分が出来ることを考えた結果、「フードデリバリー」のサービスに

杉山:ありがとうございます。その何となくで始めた中、「dely」というデリバリーのサービスをやっていると思うんですけど、なぜフードデリバリーのサービスをやっていこうと思ったんですか?

堀江:まず、自分が出来ることをするのが一番簡単だなと思ったんですよ。僕の場合、あまり頭もよくないし、プログラミングができるわけでもなかったので、何が出来るかなと考えた時に営業ぐらいしかやることないなと。僕とかがTwitterのようなサービスを作っても、ほぼ意味ないんですよね。

 なので、「エンジニアをどうやって捕まえようかな」など色々考えている中で、僕が出来てエンジニアに出来ないことすればいいやって思って営業に。それで営業がうまく活用できるモデルっていうと飲食店の営業だなと思い、フードデリバリーのサービスになりました。本当に自分の出来ることをやろうと思った結果というか、そういう感じですね。

早いタイミングで世界に乗り出したほうが色々吸収できる


杉山:ありがとうございます。では、続いて石黒さんもどんな経緯で創業に至ったのか、ぜひお話し下さい。

石黒: 僕の場合は、中・高を通して貿易業者みたいなのをずっとやってたんですね。だからビジネス歴は結構長くて、もう6、7年目ぐらいになるんですよ。でもその事業は、高校卒業するあたりに飽きてしまったというか、ほとんどやってることが同じで、安く仕入れて色んなところに売るという繰り返し。

 ただ口座のお金が増えていくだけで面白味がないなっていう部分があり、どうせやるんだったら大きなことをやりたいって考えていて、だったらベンチャーやるしかないなっていう観点から創業は決意しました。

 あとは先ほど堀江さんが言っていたのと同じで、今かなり風が(ベンチャー企業に)流れてきていていいタイミングだなと思ったこと。また、色々やってみて、あれこれ勉強してからチャレンジしても分からないことってすごくたくさんあるんだなと思いました。

 だから、早いタイミングで世界に乗り出したほうが、時間をかけて色んなことを吸収していけるんじゃないかなと思い、僕は今20歳で大学一年なんですど、このタイミングで起業しましたね。

ふとした疑問から事業のアイデアを思いつく

杉山:今、石黒さんのお話を聞いていて、会場の皆さんは中・高で6年ぐらいビジネスに携わっていたことに「あれ?」と思った部分もありそうなので、その辺をもう少し。何で携わることになったのか、中学や高校でそういった世界に触れるってどういうことだったのかっていうのを、ちょっとお話しいただけますでしょうか?

石黒:きっかけは、僕が中学1年生の頃。当時、陸上部に入っていたんですけど、陸上部が宿題を出さないとなかなか大会などに出してくれなかったということもあり、「もういいっかな」と思って辞めてしまい、そのあとゲームの世界に結構のめり込んだんですね。いわゆるコンシューマーゲームだったりとか、あとカードゲームみたいなのをやっていて。

 そして、そこそこ遊んでいくうちに、ゲームとか、特にカードゲームだったんですけど、どういう仕組みで僕たちの手元に届くんだろうなということを考えていくと、意外とビジネスチャンスになるところがあるなと思ったんです。

 価格差みたいなところをうまく活用すると貿易ってうまく行っていて、日本に少ないけど海外には多くある安いものをたくさん仕入れて、日本で高く売るという部分にチャンスがあって。

 最初は本当にお試し程度でやってみたんですけど、やっていけばやっていくうちにどんどん資金も貯まっていき、「これはなかなか面白いな」って思ったので、まとまった量をまとまった価格で引っ張って来て、Amazonやそれこそ日本のリアルショップに卸したりみたいなことをやってました。

周りに「起業したい」と言い続けたらチャンスが巡ってきた

杉山:ありがとうございます。それでは、この中で言うと一人だけ少し立場の違う、先ほど雇われ社長というお話もありましたが、吉田さん。現在、会社を運営している中、どういう思いで「Ignom」という会社をやっているのかを聞かせていただけますか?

吉田:新卒1年目の時は、ゲームディレクターをやっていたと言ったんですけど、「起業したい」という想いは小学校6年生の時からありました。

 その想いは父親の影響が大きくて、「女性なら、自立してかっこよく生きろよ」っていうのを昔からずっと言われていて、私には兄が二人いたんですけど、兄には負けたくないってことで、ずっと起業したいと思っていました。

 大学時代に1回、会社を起業して潰した経験があったので「いずれ会社を興して、自分の会社で成功するんだ」っていう想いはずっとありつつ、まずはゲームディレクターとして頑張ろうと。

 多分、この代表に選ばれたチャンスというのは、日頃から社内の人や友達に、「起業したい、新しいビジネスをしたい」とずっと言い続けていたからいただけたのかなと思っています。

 「代表やりたいか」って言われたのは、本当に突然だったんですけど、二つ返事で「はい、やります」って。「もうちょっと考えてきていいよ」って止められたぐらいなんですが迷いはなかったですね。それほど昔から、ずっと起業したいと思ってました。

大学では学べない生の経営力を身につけるため、一旦就職の道を

杉山:3人の話を聞いていると、「起業」っていう言葉がわりと自然に出てきてると思ったんですけど、起業ではなくどこかの組織に所属するといったことも、選択肢としてはあったと思うんですね。

 吉田さんの場合で言うと、最初は組織に所属して、そのあと起業に近い形で今、社長としてビジネスをやっている。この起業するかどうかっていうのは、自分自身の中ではやっぱり大きいんですか?

吉田:起業っていう言葉が独り歩きしていて、「とりあえず起業すれば成功するだろう」って思ってたんですけど、実際会社を潰してみて、その時は何で潰れたかもはっきり分かってなかったんですよ。知識と経験不足かなぐらいの感じで。

 それであれば、すでに成功している人のもとで、大学は経営学部だったんですけど、大学では学べない生の経営力というものを身に着けようと思い、色んな経営者に会いに行ってたんですね。

 あるきっかけで、ドリコムに出会って、ドリコムは日本でも新しい市場を見つけるということをずっとやり続けてきたので、「この会社のこの人の下でビジネスを学んだら、私もいつか『新しいものづくり』っていうのが出来るんじゃないかな。今はソーシャルゲームやってるけど、次は何に目をつけるんだろう」みたいな興味を持ち、起業ではなく、一旦就職という形をとりました。

インターンであれば、誰かに認めてもらうのは簡単

杉山:ありがとうございます。堀江さんも起業する前に、一回インターンっていう形で組織に所属していたと思うんですが、やっぱりインターンで働くことと、実際に自分自身が起業することの差ってどんなところにあると思われますか?

堀江:インターンの時は誰かに認めてもらうのってすごく簡単で、人の10倍ぐらい働く時間を増やして、とにかく頑張れば認められるんですね。でも起業してからは、いくら頑張っても「あれ、これ無理じゃないか」みたいなことが無限にあって。

 僕らで言うと、競合が全部上場している会社なので、そういうところを見ると、やっぱり資本力の差とかは単純な努力だけじゃ埋められない。

 インターンの時は、まだ社会の仕組みがまだ見えてなかったなと。インターン自体はすごく勉強になったんですけど。いざ自分が経営する立場になってみると、資本が大事だとか、そういったところが見えてくるようになります。

責任が重くのしかかってくるのは起業のツラいところ

杉山:ありがとうございます。起業という道をそれぞれ選んでいったり、会社を運営していったりという中で感じる楽しさとか、あとは大変さって多分すごくたくさんあると思うんですね。

 それぞれ、この楽しさはやっぱりやめられない、この時は本当に大変だったみたいなところがあれば、ぜひお話を聞きたいのですが、石黒さんいかがですか?

石黒:僕の場合、特に楽しさっていうのは漫画・アニメのサービスなので、コンテンツを付加させる、その場に立ち会うことができるというのは僕にとって、一番の面白さですね。

 例えば中国とか、こんな漫画家さんがいるって今まで全然知らなかったところから、本当にすごい人を発掘して、なおかつ彼らとパートナーシップを結んで海外に配信していけるような場を作れるっていうのは、自分にとってはかなり楽しいですね。

 逆にツラさでいうと、やっぱりなかなか思い通りにいかないところがあったり、アルバイトとは違って責任が伴うっていうのが結構重くのしかかってきたりということ。

 堀江さんとかは「エクイティファイナンス」っていう種類の、いわゆる株式を手放して資金を調達するっていうタイプのファイナンスなんですけど、僕の場合、政策金融公庫って基本的には「デッド」でしか貸し付けてなくて、借金なんですね。そこで多少リスク負わなきゃいけなかったりっていう部分がのしかかってくるんですけど、でもそれは微々たるものって感じですね。

起業に必要なのは一生懸命やって考え抜くということだけ

杉山:ちょっと堀江さんのお名前も出たので、堀江さんの感じる楽しさ、大変さっていうのはどんなところありますか?

堀江:まず、楽しさと大変さを比率で表すのであれば、僕の場合、楽しさが1、苦しさが9ぐらいです。正直なところ。ほぼつらいです。ほぼつらいけど、それは出してはいけないので、なるべく出さないように頑張ると言ったところですね。

 楽しさっていうのは、やっぱり何でしょうね。ドラクエみたいな感じで、だんだん自分達が大きくなっていくかなっていう。ポケモンとかやってるのと同じです。レベル高くなってきたなって感じる時はやっぱり楽しいですね。

 あとは、バイトの子とかがすごい頑張ったりしていて、うちには色んなバックグラウンド持ってる子がいるんですけど、新しく雇用を生み出していたりなど、そういった時がやっぱり世の中の役にちょっとでも立ってるかなと思っていて、そういう時はすごく楽しいです。

 大変さは、やっぱり企業が大きくなってくると色んなトラブル起きてくること。僕の場合、創業前は開発が2ヶ月遅れて、飲食店に2か月の間、謝るという期間が一人でやっている時にあって。あの時は本当に死ぬほど苦しかったですし、9割は苦しいことですね。

杉山:それだけ苦しい起業でも、やりきるっていうところが今につながってると思うんですけど、起業をしていく中で必要な姿勢とか考え方って、どういうふうにお考えですか?

堀江:成功してないのでわからないんですけど、それは多分、次のパネルディスカッションの方々が話してくれると思います。とりあえず僕の場合は、お金も色んな人から借りていたり、人生を賭けてくれている人がメンバーにいるので、今は一生懸命やるだけなんですね。姿勢って、本当に一生懸命やって考え抜くっていうことだけだと思います。(続く)


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