1. イントレプレナーの第一歩は、味方を作ること。社内の空気を味方につける、仲間の増やし方

イントレプレナーの第一歩は、味方を作ること。社内の空気を味方につける、仲間の増やし方


 近年注目を集める新しいワークスタイル「イントレプレナー」。組織に属しながら、起業家のように働くというスタイルに関心を寄せる人も多いはず。そんなイントレプレナーをテーマにしたイベント「TWDWサラリーマンの逆襲」が11月22日に開催された。

 第5回のテーマは、「仲間の増やし方」。イントレプレナーとして何かを始めようとしても、そう簡単に許可を貰えるわけではない。社内に味方を増やすためには、ちょっとしたコツがある。

前回の記事はこちら




登壇者

THS経営組織研究所代表社員 慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 小杉俊哉氏
オイシックス株式会社 執行役員 海外事業部長 高橋大就氏
野村不動産株式会社 新宿360°大学 刈内一博氏

モデレーター

株式会社パソナテック ハッカソン芸人 羽渕彰博氏

見出し一覧

・他部署を巻き込んで、「空気反対」をひっくり返す
・「コイツ、使えるな」と思わせれば会社が味方になってくれる
・手持ちのネットワークから、新しい縁が生まれる

他部署を巻き込んで、「空気反対」をひっくり返す


高橋:刈内さんのイントレプレナーの話、素晴らしかったんですけれども、これを社内で誰が反対したのかすごく気になりました。(笑)

羽渕:サラリーマンはそういう質問には答えられないですよね。

刈内:実際、今日もこうしたイベントに出演するためには、会社の理解や許可が必要となります。会社員である以上、会社の理解を得ようとする姿勢はとても大切だと思いますが、当然、全てがすぐに理解される訳ではありません。つまり、誰も悪意を持って反対している訳ではなく、特に新しい取り組みや、関係者が多いプロジェクトは、理解を得るまでに時間が掛かるということだと思います。

 歴史のある会社ほど、新しい取り組みに対しては慎重だと思います。ただ、余程の場合を除いて、明確に「俺は反対だ」という人は少なく、みんな、なんとなく反対な場合が多いと思います。なので、この何となく感をひっくり返すためにも、空気決裁は有効だと思います。

羽渕:空気反対なんですね。

刈内:そう、空気反対です(笑)。そんなイメージですね。

高橋:どの部署が空気反対なんですか?(笑)

羽渕:お願いします。

刈内:部分的にでも責任を負う部署には、反対する権利があると思います。そのため、広報やCSR、マーケティング部門など、いろんな部署を巻き込んで、「会社全体としてこれはやるべきだ」という方向に持っていくことが大切だと思います。会社もセクショナリズムに囚われず、会社全体の価値を高めるような、横断的な判断が必要だと考えていると思います。

収益が出せないならブランディングを推してみる

羽渕:反対される理由でまず思いつくのが、そこまで収益上がるようなプロジェクトじゃないこと。そこで批判とかがあると思ったんですけど。

刈内:それはそうですね。「これは事業なのか、CSRなのか」って、ずっと問われていました。ただ、直接的に収益を上げなくても、例えばブランディングや顧客満足度を上げる部署など、コストセンターとなる部署をうまく巻き込んでいくと、非収益モデルの活動も比較的話が通しやすいと思います。

高橋:あとは、採用にすごい利くと思うんですよね。社会に対して良いことをやっているというブランディングが出来ないと、これからは優秀な層のリクルーティングが厳しくなってきます。

「コイツ、使えるな」と思わせれば会社が味方になってくれる

刈内:去年の冬に共著で本を出版する機会をいただいたのですが、過去にそうした社員がいなかったので、少なからず会社との調整が必要でした。

 けれど、結果的に就職活動中の学生の方が読んでくださったようで、志望動機にその本のことを挙げてくださる学生の方も居たそうです。その直後に、「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」というNHKの討論番組から論客出演のオファーを頂いたときには、会社からは逆に「出るべきでは?」という意見が多くありました。少し語弊がありますが、「こいつは使える」みたいな。なので、会社がメリットを感じるような実績をうまく作れると、会社から応援してくれるようになると思います。

小杉:最初は、訳が分からないから反対するんですよ。だけど「使えるな、こいつ」と思うと、会社はそれを盛り立てるようになる。

勝手にザンビアにスクリーンを送ったソニー社員

小杉:ソニーの社員たちがワールドカップの時、コートジボワールの子供たちが「テレビがなくてワールドカップが見られないのはかわいそうだ」とJICAなどに働きかけた。何十台もディスプレイを持って行って、ワールドカップを生中継で見せてあげたっていう話があります。これは、仕事じゃないですよ。でも、会社は最後はその大きいディスプレイや機材を全部提供した。

 その理由は、さっきの話と同じ。そういった具体的な動きになってくると、会社の評判がかなり高まるんですね。そこまでやるかってところまで、プライベートでやってしまうことが鍵。

刈内:おっしゃる通りですね。もちろん、サラリーマンとしては短期的には損している部分も多いと思います。そうした道を進む過程で、かなり苦労すると思いますし、それなりの覚悟がないとお勧できません。まして、「社員全員がイントレプレナーを目指しましょう」とは全く思いません。

 恐らく、ある程度の打たれ強さが必要で、「俺は損してもいいんだ。」くらいの覚悟がないと、止めた方がいい場合が多いと思います。

 先ほどご説明した「かやぶきの里プロジェクト」以外にも、実はお蔵入りしたプロジェクトもあって、目も当てられないですよね。うまくいくものもあれば、そうじゃないものもある。うまくいかないときは、応援してくださっていた方にまで迷惑を掛けることになります。実際に、過去に反省すべきことも多くありました。

手持ちのネットワークから、新しい縁が生まれる

羽渕:お話を聞いていて、イントレプレナーとアントレプレナーの違いみたいなことを考えました。スタートアップの企業ですと売り上げ、いかに急成長できるかがメインの指針ですが、社会的な価値も追っているというのがイントレプレナーなのかなと。

 それが、CSRとCSVにつながるところなのかな。つくば市とか、いろんな社外の方を巻き込んでいると思うんですけれども、具体的にどう取り組まれたんですか?

刈内:もともと、「かやぶきの里プロジェクト」は、大学時代の研究テーマが素案となります。その時は、机上の空論で終わってちょっと悔しいお想いがありました。

 サラリーマンで少し経験を積んで、今なら出来そうだと思ったタイミングで当時の指導教官に相談に伺ったことが発端となります。

羽渕:全く新規の関係というより、昔から共通の価値観を持った人と取り組んだんですね。

刈内:社外においてはそうですね。スタートは何かしらの縁がないと始まらないと思います。その先生がご紹介くださった地域の方や行政の方などをきっかけにまた新しいご縁が生まれたりしました。きっかけは、いま既にあるもので十分だと思います。(続く)

次の記事:求められるのは、思考の体力。社内起業を成功させたソニー社員から学ぶ、役割を越えた考え続ける力(近日公開)

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