1. 県外に出た人は、1ヶ月地元で暮らせばいい!――23歳バー店長が夢見る地元の雇用創出【後編】

県外に出た人は、1ヶ月地元で暮らせばいい!――23歳バー店長が夢見る地元の雇用創出【後編】


 東京で色んな社会人を見て、そこで学んだことを将来地元への貢献に活かしたい。そんな思いで現在、「ソーシャルラウンジAJITO」というバーの経営を担っている三原拓也さん。前回は、地元島根県に雇用を生み出したい、という夢を抱いたきっかけや、AJITOというバーの店長という職業にチャレンジした経緯についてうかがった。

 では、地方活性化という夢を抱く彼の目には、今の島根県、そして都会への人口流出が止まらない現在の日本はどう映っているのだろうか。各地で起こる地方過疎化についての彼の意見、そして今後のビジョンについてうかがった。




――地元の雇用問題を解決したいという夢を持つ三原さんは、島根県の現状をどう思いますか?
 
 今の島根県は、出生率が全国2位と高いのに、若い人の多くは外に流出して高齢者ばかりが残っている。僕もこうして東京に出てしまっているわけだし。おそらくこの理由は、島根は仕事はあっても業種が狭いことなんですよ。最近でこそIT企業の誘致などが進んでいますが、本社がある会社はかなり少ないし、製造会社が多いですね。でもそういう仕事って、特に今の僕らの年代はやりたくないはず。

 とは言え、働き手が外に流出して県内に人がいないことには何も始まらない。だから、僕もUターンやIターンを促進して、雇用を生みたいと言っているんです。


――では、島根県の課題は具体的にどんなところですか?

 高齢化が進んでいることもあってか、新しいものに対して否定的な考えを持っているところです。例えば、2014年の9月に、出雲大社の前にスターバックスができた時のこと。出雲大社とマッチするように和風の外観になっていることが結構話題になって、地元の人にとって嬉しいことだと僕は思っていた。でも、地元の喫茶店なんかは「スターバックスができたら、自分のお客さんが取られてしまう」と考えてしまうみたいです。

 僕は、新たなものを取り入れなければ、地元は衰退していく一方だと思いますね。スターバックスが若者に人気なら、既存のお店も若者の集客に向けた取り組みをすればいい。競い合おうともしないで、最初から「スターバックスは……」と受け入れようともしない。これはスターバックスに限った話ではなく、島根県全体にも共通していると思うので、改善すべきところなんじゃないかな。


――こうした課題を踏まえて、三原さんは将来的にどのような形で地元の雇用問題を解決しようとしているのでしょうか?

 正直なところ、方法はとくに決めていません。起業するのもいいですし、AJITOのようなお店を出して雇用を創出するのも手段の一つ。

 例えば「東京から人を連れてくる」これでも雇用成立じゃないですか。そういうこともしてみたいなと思うし、東京と島根の架け橋的な存在になれれば、と思っています。


――2014年11月に、島根県の魅力を伝えるツアーを企画・実施したそうですね。ツアーを終えてどのようなことを感じましたか?

 Iターン・Uターンや地域活性化に興味がある方をターゲットにしたツアーを、「ふるさと島根定住財団」の方達と一緒に実施しました。このツアーを通して「1回行ってもらえれば地元の良さが伝わる」という考えが確信に変わりましたね。

 だからこそ、行くきっかけを提供して、行く決断をしてもらうことが大切。「行けるなら行きたいけど、まぁいいか」と思っている人はたくさんいますが、それではもったいないですよ。もしかしたら、自分が本当に住みたいと思う町かもしれない。でも、行かないことには何も始まらない。ネットで写真を見ただけでは何も伝わってこないので。

 また、「県から出た人は、何歳のこの月は1か月間故郷にいなさい」という条例があってもいいんじゃないかな。そうすれば、「やっぱり地元って良い場所だな、戻ろうかな」という気になると思います。都会で働き始めちゃうと、忙しすぎて地元のことなんて全然考えられない。だから、帰省する時間を用意して、考える時間をつくってあげれば、戻ってくる人も増えてきそうですよね。


――このような地方過疎化の問題は、島根県だけに限った話ではありません。地元を離れ都会で就職する人が多く、地方の過疎化が進む現状について、地元の活性化を夢見る三原さんはどう考えていますか?

 仕方ないと言えば仕方ないですけど、それで終わらせていいのかな。だから、僕は動こうと思うんです。若者にしてみれば、都会の方が楽しい、故郷を出たいという気持ちを持つ人は多いはずなので、地方が過疎化するのは必然的なもの。でも僕は、地方を活性化させないと日本は絶対に良くならないと思っている。

 ただ、その人自身が生まれた故郷が好きではなかったら仕方がないと思うし、それで良いと思う。そこは強制できませんよね。だからこそ市長や県知事、自治体が頑張らなきゃいけない。それに加えて大切なのは、地方に住む方、都会に移住してきた方全てが、自分の故郷に関心を持つこと。それだけで違うと思うので。


――最後に、三原さん自身のこれからのプランを教えてください。

 形はどうであれ、人が繋がる空間は持ちたいと思いますね。島根にはもちろん、東京に出してみたい。そして、そこで雇用を創出したいと思っています。

 僕の人生のテーマは「毎日ワクワクしたものを追求すること」なんです。その目標の一つとして、周りから何と言われようと島根県に雇用を生みたいと思っています。

三原拓也(みはら・たくや)さん プロフィール

1991年生まれ。大学入学と同時に故郷の島根県を離れ、2013年よりソーシャルラウンジAJITO店長に就任。バーの経営をする傍ら、「島根県人会」等の地元民同士の交流を深めるイベントを開催。2014年11月には社団法人の協力を受け、Uターン・Iターン希望者、地方活性化に興味がある方向けの島根県内ツアーを企画・実施。現在はAJITOの経営と並行して、IT関連会社で営業の仕事にも従事している。

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