1. 「my Japan Conference」で語られたクリエイティブ都市Tokyoの作り方

「my Japan Conference」で語られたクリエイティブ都市Tokyoの作り方


 日本のクリエイティビティの発信、育成を考えるイベント「my Japan Conference」が12月7日(日)に渋谷ヒカリエで開催された。
 
 このイベントのコンセプトは、”一人一人が日本を語れる世の中を作る”。能や歌舞伎といった伝統芸能から、アニメやマンガといったサブカルチャーまで、多様な文化が混在する日本。しかし、一方でそれらを適切に発信する仕組みが整っているとは言えない。ネットなどでは、政府のクールジャパン政策について懐疑的な意見も良くみられる。

 第3回となる今回のテーマは、「TOKYOのシティ・ブランディング」。現在の東京は、大きな都市政策が固まっておらず、街の特徴を感じることができない。2020年には東京オリンピックの開催も控えているが、我々はそのときに触れ合う外国人に、自国の文化を胸を張って紹介できるのだろうか?

編集者、経営者……。クリエイティビティなパネリストがTokyoのシティ・ブランディングを語る!

 このセッションは、様々な分野で活躍するクリエイティビティ溢れる人々が、これからの東京について語る形式。

媒体に捉われないライターが語る「立体的な」ガイド


 最初に登場したのは、銀河ライターの主宰として幅広い活動を行う河尻亨一氏。彼は、雑誌『広告批評』の現場で培った経験を基に、現在は紙からWebまで媒体を選ばず様々なテーマを扱っている。

 そんな彼の指摘は、「日本のガイドブックは『点』の紹介しかしていない」。個別の観光スポットを並べるだけの「点」の紹介ではなく、もっと編集者の切り口やCGデータを取り入れるべきだと提案し、こうした試みを「立体的な」ガイドブックと呼んだ。

世界規模の地域密着メディアが教える、新たな魅力の見つけ方


 タワーレコードの最高顧問を経て、現在は『Time Out 東京』の代表取締役を務める伏谷博之氏も、東京の文化を色々な側面から考える1人だ。『Time Out 東京』は、ローカル密着誌として世界中に展開する雑誌『Time Out』の日本版。全世界の編集者の視点を取り入れることで、世界中の人の「Time Out=屋外で過ごす時間」を盛り上げている。

 彼は、ビアガーデンの特集で日本人が元気よく乾杯する写真を使おうとしたら、海外の編集者から「日本人は世界で一番大人しくビールを飲むのだから、静かにビールを飲んでいる写真を使うべきだよ」と指摘されたという。同じ文化でも、日本人と外国人が気に入る個所は違うこともある。海外の視点を取り入れれば、日本の新たな魅力に気づける。

ヒカリエのコンセプト設計者が描く、渋谷の未来


 東急電鉄の大友教央氏は、渋谷の再開発に取り組んでいる。渋谷ヒカリエのコンセプト設計にも携わった彼がシティ・ブランディングで大切にしているのは、街の特徴をPRするだけでなく、街の未来を示していくことだ。

 例えば、現在渋谷にはサイバーエージェントやLINEなど最先端の会社から、nanapiやschooといった次世代を担うベンチャー企業まで、500以上のIT企業が社を構えている。もちろんこの数字は日本一。「ビットバレー2.0」をキーワードに、ビジネス都市渋谷の完成に向けてさらに支援を行っていく。

クリエイター・ネットワークの運営者が語る「偶然性」から生まれる可能性


 約2万人が登録するクリエイター・ネットワーク「ロフトワーク」を運営し、年間400件以上のプロジェクトを立ち上げる林千晶氏は、クリエイターの「場」が重要だと説く。

 ロフトワークは昔、ニューヨーク・Dumboにクリエイターが自由に使える居住地を提供していた。そこで林氏は、生活を共にする中でクリエイター同士が直接影響を与え合い、アイデアが生まれるのを目の当たりにしたという。

 このサービスは、現在は「Dumbo Arts Festival」という大きなお祭りにまで拡大した。彼女は、クリエイターたちの偶然性が生む可能性に未来を見ている。

「頼まれてもいないこと」が大好きな発想型経営者


 最後にマイクを握ったのは、株式会社スマイルズ代表取締役社長として「Soup Stock Tokyo」「giraffe」など既存の枠にとらわれない事業を展開する遠山正道氏。自分事に思える企業へのコンサルティング業も行う彼が大切にしているのは、「頼まれてもいないことを本気で考えること」。誰かが悩んでいなくても自分が気になることを勝手に考えることで、自分だけのアイデアが浮かぶのだ。

 この後、彼は最近の思い付きを次々に披露。「逆上がりができない子だったら『前すべり』をしてみる」「ビルに垂れ幕で小説を書くと宣伝にもなるし、面白いよね」などとユニークなアイデアを次々に披露。「前すべり」はこの後の懇親会のキャッチフレーズになるほどに、会場の心をわしづかみにした。

2020年のオリンピックに向けて、どんな文化が生まれるか?


 他にも、経済産業省にてクールジャパン政策を推進する諸永裕一氏も登壇。文化の拡散には口コミが大切というメッセージとともに、ミスユニバースに東京を散歩してもらうという施策のケーススタディを解説してくれた。

 2020年の東京オリンピックを目標に、「Creative Tokyo」への施策はますます加速していく。これからどんな文化が生まれ、どのように広報されていくのか楽しみだ。

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