1. TPP交渉に進展の兆し 中国の台頭、さらには米中間選挙でのオバマの敗北が交渉を後押し

TPP交渉に進展の兆し 中国の台頭、さらには米中間選挙でのオバマの敗北が交渉を後押し


by halfrain
 
 環太平洋地域の国々による経済の自由化を巡りTPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉がここ数年行われてきました。最近ではTPPの締結を巡って日本とアメリカの利害が対立し、交渉が進まないことや、中国がTPP以外の経済連携構想を提唱していることが話題となっています。

 このように各国の利害が交錯する中、2014年11月10日、停滞するTPP交渉の促進を図るために交渉参加12カ国が集まり、北京市内の米国大使館で首脳会合が開かれました。

アジアを巡る米中の熾烈な主導権争い

 中国はTPP交渉参加国ではありません。それにもかかわらず「TPP首脳会合」が開かれたのは、2014年11月10日~11日に北京で開かれていた「アジア太平洋経済協力会議(APEC)」の最中でした。

 TPP首脳会合とAPECが同時に北京で開かれた背景には、米中間のアジア経済のルール作りにおける主導権争いがあります。

 他にも、中国が米国主導のTPPに対抗する形で中国主導の「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」構想の実現を急いでいることは、アジアの通商ルール作りが中国抜きで進んでいくことに対する懸念の表れであると言えます。

 このように、GDP世界1位の米国と2位の中国の主導権争いは、今後さらに激しさを増すとみられています。

TPP交渉の進展の背景には米中間選挙

 米中が主導権争いをしている中、日米間のTPP交渉の行方はどうなっているのでしょうか?

 結論から言えば、少しずつではありますが日米間の交渉は進展していると言えます。実際、TPP交渉合意に向け各国閣僚がまとめた「共同作業計画」概要では、難航分野を中心に交渉期限を設定し、国有企業改革、環境、知的財産の一部は年内に決着させる目標を掲げています。具体的には、知的財産分野のうち著作権の期限は来年1月中旬となりました。しかし、医薬品データの保護期間など最難関の項目では期限を設定できなかったといった課題も山積みです。

 日米間の交渉が進展した背景には、オバマ大統領率いる民主党が中間選挙で共和党に敗れたことが挙げられます。これまでオバマ大統領は、TPPに前向きな姿勢を見せていましたが、民主党内では安い商品の流入による雇用の喪失などの懸念から「TPP反対論」が一定の存在感を示していました。しかし、「小さな政府」「自由貿易」を推進する共和党が中間選挙で勝利したことにより、オバマ大統領と共和党が協力する形で、今後さらに交渉が加速するかもしれません。

 2015年夏前には翌年の大統領選に向けた準備で外交政策が疎かなるため、TPPを議論する機運が薄れるのは必至です。このため、アメリカは今後半年の間にTPP締結へ向け、日本に譲歩を迫るとみられています。


 このように、アジア経済を巡り米中がしのぎを削る中、日米間のTPP交渉はさらに進展する見通しです。一方で、来年早期の大筋合意を目指す日本や米国の意向にしたがう形で交渉が進展したことで、先進国と新興国の対立が生じていることが課題としてあり、設定した期限までに各分野の交渉が終わるかどうかは不透明です。

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