HOME同じ商品の値段が高くも安くも見える、『価格の心理学』がおもしろい。

同じ商品の値段が高くも安くも見える、『価格の心理学』がおもしろい。

Manabu Kuramoto

2014/11/22(最終更新日:2014/11/22)


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by ccm224

 皆さんは、モノやサービスにどのような価値を求めますか? 「新しさ」「安さ」「利便性」など、人によって思い浮かべるものは様々だと思いますが、売る側からすれば消費者の多様なニーズを把握することは難しいものです。
 
 ここでは、高くても満足できる商品価格にまつわる話を、『価格の心理学』という本を用いて皆さんにご紹介します。

高価な商品に見せかける

重要なのは、商品のポジショニングによって、消費者が支払う金額に大きな差ができること

出典:リー・コールドウェル (2013) 『価格の心理学』

 人が商品に求める価値は、究極的には「苦しさの回避」「楽しさ」「時間」「金銭(節約)」の4種類のいずれかとなります。しかし、この4つのニーズをどういった手段(商品)で満たそうとするかは人それぞれ。

 例えば、人は初めて見た商品に出会うと、どれくらい価値があるものなのかハッキリとイメージできないものです。そのため消費者は、新商品と最も似ている商品を価格の基準に置いて想像します。そこで売り手側としては、できるだけ高価な商品と類似しているように見せかけ、想定価格を操作することが可能です。

 競合相手によって、価格の領域は変動します。比較する相手商品を変更することによって、全く違う価格設定を行うことができるはずです。

高い商品を先に見せる


 価格を比較するときの心理において、アンカリング(第一印象の効果を利用した価格戦略)は極めて効果的です。最初に高い価格を見せれば、相手が商品に対して抱く価値は高くなります。その後に低価格の商品を見ると、その商品を購入する可能性が高まる。このようなテクニックが「アンカリング」です。

 このアンカリングは、特定の商品の売上アップに効果を示します。ただ、高い商品を見せすぎると、顧客がその店に抱く価格イメージにも影響を与えてしまうので注意が必要です。

おとりを用意する

 2種類の商品AとBについて、Aが価格、Bが品質の点で優れているとき、Bより間違いなく劣っている第3の商品Cを見せると、顧客は価格の低いAよりもBを選ぶ確率が高くなります。Bを選ぶ理由を、ワインを例にとって説明します。

 ある2種類のワインの特徴や品質が数字で記載されておらず、両者を比べられる情報が少ないと、人は安い商品を選びたくなるものです。ところがそこで選択肢が3種類になると、本質的な価値に関係なく中間の選択肢に強く惹きつけられることになります。なぜなら、失敗する確率が低く、一番無難な選択だからです。


 今回は、たとえ高額でも納得してしまう、価格に関する3つの秘密をお伝えしました。買い物をするときは、こういった話を思い出してみると面白いかもしれません。




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