1. 「心」は継承し、変化には柔軟に。『京都100年企業に学ぶ 商いのイロハ』

「心」は継承し、変化には柔軟に。『京都100年企業に学ぶ 商いのイロハ』

by flashcurd

 日本では設立されて3年以内で倒産する企業が7割と言われています。多くの設立したての経営者が企業の経営に苦しんでいるようです。

 そのような状況でも、創業100年を超える老舗の企業が存在します。1世紀の間、社会は大きく変化しているにもかかわらず経営が続く老舗企業には、何か“経営の秘訣”があるはず。

 京都にある20社の老舗企業を取材した『京都100年企業に学ぶ 商いのイロハ』という、100年企業の経営の秘訣について分析し、考察した本があります。業界問わず参考にできる内容なのでご紹介します。

本のハイライト

・京都の老舗企業は「残すべきもの」と「変えるべきもの」を明確に分けている。「残すべきもの」は、「屋号」、「教え」、「のれん」であり、「変えるべきもの」はそれ以外のものを指す。

・老舗企業のビジョンを達成する人材を育てるには、「考えさせる」、「発言させる」、「行動させる」、「反省させる」の4つを実践することが重要である。

・買い手が満足し、世間も喜び、その結果として売り手も利益を得るという「三方よし」を一歩進めて、「地域社会からの応援」を得る「世間『もっと』よし」の状態にすることが老舗の秘訣である。

出典:京都100年企業に学ぶ 商いのイロハの書評・要約 | 林 勇作



「残すべきもの」と「変えるべきもの」は明確に

 老舗企業には伝統を重んじて変化を拒むようなイメージがありますが、実は「残すべき物」と「変えるべきもの」を明確にし、経営を維持していました。

「心」を残し、「方法」を変化させる

 残すべきものは、「屋号(社名)」「家訓もしくは社訓」「のれん(営業権)」です。「屋号」や「のれん」は他社からの信頼を築くため絶対に必要であり、「家訓もしくは社訓」は、企業内部において社風を形作る大切な要素になるのです。このことからわかるように、企業の連続性を維持するために老舗企業は「心」の面を一貫して残していました

 そして、変えるべきものは「心」以外の物です。販売方法や宣伝方法などの時代とともに変わりゆくものは、柔軟に変化させていきます。そして、効率的な方法があれば、伝統に縛られず取り入れるそうです。

後継者、従業員の育成方法

 老舗企業は人材育成に力を入れており、後継者と従業員それぞれ育成の方法に秘訣がありました。

後継者には「背中を見せる」

 後継者の育成方法は至って単純。先代の「背中を見せる」ことです。仕事の技術だけでなく、先代の「やりがい」や「苦労」といった内面を知ることで、会社を継ぐ意識を芽生えさせます

 家族経営の会社は公私混同し、無計画な経営を行いがちだというデメリットがありますが、老舗企業は家族経営であることが多いです。老舗企業の多くは、家族であることを活かし、長期に渡って意識を共有ですることで前述のデメリットを解消しています。

従業員に重要視する4つの指導 

 従業員育成をする際、老舗企業は「考えさせる」「発言させる」「行動させる」「反省させる」という4つの指導を重要視しています。どんな問題に直面しても、従業員がそれぞれ能動的に問題解決に導けるようになるそうです。

 この4つを重視するだけでなく、経営者や上司に意見や提案できる環境づくりを心がけており、さらに、経営計画表を従業員全員に開示して、一人一人に「経営者意識」を芽生えさせる取り組みを行なっている企業もあるのだそうです。


 老舗企業が長期的に経営を行う秘訣は、非常に柔軟な考え方でした。そして、ただ変化を受け入れるだけでなく、明確な基準のもと経営を行っています。

 『京都100年企業に学ぶ 商いのイロハ』には、今回ご紹介したもの以外にも企業ごとの例が豊富に掲載されています。経営者のみならず、組織をまとめる立場にいる人はぜひ参考にしてみては?


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