1. 日本政府、課税方式を巡り右往左往 法人事業税の課税方式「外形標準課税」は失策か

日本政府、課税方式を巡り右往左往 法人事業税の課税方式「外形標準課税」は失策か

by Infomastern

 2014年4月に消費税が8%へと増税されました。消費税が増税されたことで、私達の家計への負担は増加しています。一方で法人税に関しては、1990年代と比べると10%以上も下がり、現在も減少の傾向にあります。法人税が下がれば企業の懐に入る額も増えるので、企業で働くビジネスパーソンの収入も増える可能性が高くなります。

 日本では法人の活動から生じる所得に対して、法人税以外にも、法人事業税が課せられます。そして「法人事業税」の税率を引き下げるかどうかが、来年度の税制改正の焦点の一つとなっています。

来年度税制改正で焦点となる法人税の実効税率引き下げに関し、赤字企業も対象となる外形標準課税を拡充して財源を確保した場合、大企業が集まる都市部に比べ、中堅企業が多い地方の負担がより重くなるとの試算を経済産業省がまとめたことが23日、分かった。

出典:東京新聞:外形課税、地方企業に負担 35道府県「実質増税」と経産省 ...

 このニュースを簡単に説明すると、「現在の法人事業税の課税方式で引き続き課税を行った場合、都市部と比べ、地方の企業の負担が増えてしまう」ということになります。

平等のジレンマに陥った課税制度

 企業は経済活動をするにあたり、地方自治体から各種の行政サービス(道路などの公共施設の利用、警察・防災、産業・都市基盤整備、教育・福祉など)の提供を受けています。地方自治体がこれらのサービスを安定的に供給するためには、安定した財源の確保が必要です。そのため、このサービスにかかる経費は企業が一部負担するのが妥当であるという考えのもと、企業に税が課されています。この税金のことを法人事業税と言います。

「外形標準課税」方式を採用

 法人事業税の課税方式として、以前は法人の「所得」を基準に課税を行っていたため、「事業活動の規模」との関係が必ずしも適切に反映されていないという問題が指摘されていました。

 そこで、この問題点を改善するために平成16年から「外形標準課税」という方式が採用されました。

 外形標準課税とは、事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式のことです。すなわち、従来の所得ベースでの課税ではなく、事業活動の規模をベースに課税しようということになったのです。

安定したサービスの供給が可能に

 従来の所得ベースの課税では、税収は好景気のときにはプラスになるものの、不景気のときにはマイナスとなり、景気変動によって大きな影響を受けてきました。一方で事業規模ベースの外形標準課税では、地方自治体は企業に対して景気の状況に左右されない安定した税収が見込めるので、サービスが安定的に供給できるようになったという利点が挙げられます。

都市部と地方の格差拡大を招く

 外形標準課税には、安定した財源の確保により、安定したサービスの提供が可能になったという利点がありました。しかし、来年度の税制改正の結果次第ではこの「安定」が脅かされるかもしれません。

 「安定」が脅かされる理由は、現行の外形標準課税方式では事業活動の規模が同じならば、地方で十分に収益を上げられていない赤字法人であっても、都市部でたくさん収益を挙げている法人と同じだけの税収が課されるため、収益を得やすい都市部と地方の格差が拡大する恐れがある点にあります。したがって、赤字法人の負担を軽くするためには、現在の課税制度を改める必要があります。

 この問題に対して、政府は実効税率を現在の35%から数年で20%に下げ、経済成長による税収の増加で赤字法人の負担を低減しようとしています。しかし、経済成長を軸にしたこの方針を採れば、財源の確保は再び不安定なものになり、「安定」したサービスの供給ができなくなる恐れがあるのです。


 以前は、事業規模を基準に平等に課税しようと「外形標準課税」が採用されました。しかし外形標準課税導入後の今日に至っては、都市部と地方では所得にひらきがあるので、所得に対応した制度が採用されるべきだという主張がなされています。このように、なにを基準に平等を論じるのかは立場や見方によって変わってきます。今後、日本政府がこの平等のジレンマをどのように解消できるのか、要注目です。

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