1. 10年前から予告! 大前研一氏が説く、新時代を勝ち抜く論理的思考術

10年前から予告! 大前研一氏が説く、新時代を勝ち抜く論理的思考術



 2004年に発売された一冊のビジネス書、『考える技術』(税抜1600円/講談社)をたまたま手に取って、驚いた。そこには、まるで10年後のいまを見透かしているような、グローバル経済社会で成功するためのビジネス思考力に関する「答え」が書かれていたからだ。 

大切なのは、いかに論理的に考え、その根拠を示すことができるか 


 同書を執筆したのは、日本を代表する経営コンサルタントであり、ビジネス・ブレークスルー大学大学院の学長である、大前研一氏。

 学生時代にはMITで原子力の研究をしていたという理系出身の大前氏は、科学論文の結論を導く出す際に必ず行う、「仮説、検証、実験」という論理的思考が、そのままビジネスの問題解決に役立つと言う。

 言われてみればそのとおりだと思うが、現実には、上層部たちが“思いつき”で経営判断をするシーンをよく目にする。このことについて、大前氏はこう問い正している。 

「そんなことはない。自分の経験から言って間違いない」と反論する人もいるかもしれない。では、「どうしてそれで問題が解決できるのか。その論拠を示してほしい」と言われたときに、あなたは答えられるだろうか。さらに「あなたが前提としているのは、じつは仮説でしかない。その仮説を実証するだけの証拠はありますか」と問い詰められたときに、その証拠を示すことができるだろうか。

出典:考える技術: 大前 研一

 確かに、腑に落ちない、納得いかない指示や命令は、往々にして根拠がないものだ。それでは、自分が同じような過ちをせず、さらなる高みを目指すためには、どのような考え方で取り組めば良いのだろうか。 

論理的思考は、原因を浮き彫りにする段階から始まっている

  たとえば会議中、ある商品について「売上が伸びない」という問題があったとする。そんなときよく理由に挙げられるのが、「営業マンのモチベーションが低い」「製品が悪い」「価格が高い」などだ。このようなケースについて大前氏は、 

しかしこれらは原因ではなく、現象(結果)にすぎない。実際には原因はこの中のいずれか一つであって、他はそのただ一つの原因から生じている場合が多いのである。

出典:考える技術: 大前 研一

と指摘する。本当の原因を突き止めることが、真の問題解決に大切ということだ。

 ここで、大前氏が原因を探り当てる際の、具体的な方法を紹介しよう。 

たとえばオフィス機器の販売をしているA社が「マーケットシェアが低い」という問題を抱えていたとする。問題の原因を探るために、まずA社のデータと業界のシェアを収集して分析してみたところ、仮に「A社のマーケットのカバー率は7割ある」「A社の入札時の競合勝率は2割である」ことがわかったとしよう。(中略) ここで、私ならこう考える。「営業マンは元気を出せ」とハッパをかけて、たとえカバー率を7割から8割に上げたとしても、競合勝率が20%のままでは、80%×20%で16%にしかならない。14%のシェアは2%しか増えないわけだ。ところが競合勝率を仮に5割にできたとしたら、カバー率は現状維持のままでもシェアは35%にまで上がる(カバー率70%×競合勝率50%=35%)。

出典:考える技術: 大前 研一

 大前氏は続けてこう提案する。 

もしカバー率を上げるために営業マンが疲れきっているのなら、カバー率をむしろ落とすことを考えてもいい。「カバー率は60%でいいから、競合勝率を50%に高める」ことを目標にすれば、それを実現したときには今の倍以上の30%のシェアを取れることになるからだ(カバー率60%×競合勝率50%=30%)。(中略) このケースでは、営業マンには「足を棒にして歩くのはやめなさい。必ず勝てる提案書を書きなさい」と言うべきなのだ。

出典:考える技術: 大前 研一

仮説はしょせん仮説。真の原因を知らずして、本当の解決にはたどり着けない 

 そこで気になるのが、「競合勝率をどうやって上げるか」。コストを下げる?品質を上げる?……そんな思いを巡らせた段階で、まだまだ論理的な思考になっていないことが、次の大前氏の説明で分かる。 

ここはまだ解決策の結論を出す段階ではない。その前に、競合勝率が低い原因は何か、商品の問題なのか、それとも値段に問題があるのかを明確にすることが必要だ。

出典:考える技術: 大前 研一

 大前氏はよく、原因の仮説を立てるための分析をおこなうそうだ。たとえば、地域別、営業マン別の競合勝率について 全員分の入札の履歴(データ)を集めたとする。そこで仮に 


「地域によるバラつきはないが、営業マンによっては8割勝っているものもいる」 


 という事実が分かれば、「売れない原因は少なくとも商品ではない」ことが見て取れるということだ。 


 そして、立てた仮説は必ず「検証」する。今回の仮説の場合は、「商品に原因があるのなら、8割勝つ営業マンがいるはずない」という事が前提になっている。

 そこで、フィールドインタビューをおこない、勝率が高い営業マン、平均点の営業マン、低い営業マンを順に座らせたうえで、当該商品をどうやって売っているのかをヒアリングすると、それぞれの言い分の違いを知ることが出来る。

 この作業を、足を棒にして全国を歩いて積み重ねることで、「売れない原因は少なくとも商品ではない」という仮説の検証となるのだ。しかもこの時点で、原因の分析と改善策を見つけるためのインタビューも兼ねているのだから素晴らしい。大前氏が語る 

問題解決力とは、 仮説を裏付けていくために労を惜しまない行動力であり、 それが絶対に正しいと結論づけられるまで徹底的に考える思考力であるとも言えるだろう。

出典:考える技術: 大前 研一

 という言葉の意味が、よく理解できる。ときに、データ化された数字を読んだだけで解決策が見えてくることがあるが、それではまだ「見えた気がした」だけ。根拠のない仮説止まりなのだと気づかされた。
 
 世界中にあふれる情報のなかで正しい判断をし、より有益な仕事をするためには、大前氏が10年前から今日まで伝えてきた「論理的思考力」は必須のスキルであろう。



 しかし、このような論理的思考力や問題解決力は、一朝一夕で身につくものではないと大前氏は考えている。特に日本人は、欧米人と比べてこのような思考や問題解決が苦手であると、世界中でコンサルティングを行い海外のビジネススクールでも教鞭を執っていた経験から感じているという。

 論理的思考力を高めるためには、ノウハウ以上にトレーニングを繰り返し行うことが必要になるのだ。そのための組織として大前氏が作ったのが、ビジネス・ブレークスルー大学大学院だ。

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 このような「考える技術」と柔軟な思考回路を持ち合わせ、世界で通用するビジネスパーソンを生み出しているビジネス・ブレークスルー大学大学院。大前氏が学長を務め、日本初のオンライン教育のみでMBAを取得できる当大学院は、MBAの取得はもちろん、ビジネスを体系的に学びたい人、論理的な思考力を高めたい人や起業のためのスキル・マインドを身につけたい人など、幅広い目標に対応。身につけたいスキルをもとに、1科目から学べるシステム(単科生制度)もある。 

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 そして、同大学院のサイトに設置されている「MBA診断」(無料)も、ぜひ試して欲しい。「MBA」なんて身近ではないと思っている人も、実は素質を持ち合わせているのかもしれない。

 いまの自分のビジネススキルがどの程度のものなのか目指すべき目標はどこなのか、1年以上の期間を費やして開発されたこの診断が、客観的に、そしてズバリと、等身大の自分を診断してくれる。 


 ビジネス・ブレークスルー大学大学院で学んだ後には、大前氏が本書で伝えた以下のメッセージが、すっと心に入ってくるだろう。 

「解決策のない問題など存在しないのだ」

出典:考える技術: 大前 研一




(文章:力武亜矢)

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