1. 起業家と政治家、想いは同じ 交わることのない両者が日本の将来をめぐり激論

起業家と政治家、想いは同じ 交わることのない両者が日本の将来をめぐり激論


 ベンチャー企業が上場するニュースが話題となり、スタートアップバブルと言われる昨今だが、まだまだ日本は起業がしやすい環境とは言えない。そのような日本の起業環境の改善を目的に、スタートアップコミュニティ「creww」とGoogleが10月15日に共催したオープンディスカッション・イベントが「CHANGE: Startup meets Policy」だ。

 参加したのは実際に政策を考えている政治家と、活躍中の起業家たち。起業をしやすい環境を巡って、一体どのような議論がなされたのだろうか?

パネリスト

福田峰之氏 自民党衆議院議員
石井芳明氏 経済産業省経済産業政策局新規産業室新規事業調整官
伊地知天氏 Creww株式会社 Founder & CEO

モデレーター

東後澄人氏 freee株式会社 取締役

起業家、政治家がそれぞれの立場から意見を交わす


 今回のイベントの特徴は、パネリストだけでなく、総勢70名近くの起業家、政治家が議論を交わすオープンディスカッションだということ。参加者がそれぞれの立場や経験から発言した。

 例えば、起業家マインドを身に着けさせるために義務教育の段階から起業について教育すべきという起業家からの意見に、衆議院議員の福田氏は「本当に教育で起業家精神が身に付くの?」と疑問を呈す。

 福田氏も大学では起業に積極的なゼミに所属していたのだが、同期のほとんどは大企業に就職したという。こうした経験から、そもそも起業家マインドは教えたところで身に付かないと考えているそう。

 これに対しcrewwの伊地知氏は起業はエデュケーションよりラーニングだ」と話す。ノウハウを習うより、実際に起業家の姿勢を見るのが一番のマインド形成になるのだ。freeeの東後氏は、インターンシップ生を見ていると、そのすさまじい成長スピードにとにかく驚かされると言う。発言者のそれぞれに濃いバックグラウンドがあるため、一言一句に強い説得力がある。

政治家と起業家による大激論!


 政治家と起業家という立場の違いならではの激論もあった。「ビジネスに詳しいエンジェル投資家を増やすために、M&AなどのEXITを増やすべきでは?」という話題だ。

 最近ではDeNAがiemoを買収したように、新規事業を始める代わりにその分野に強いベンチャー企業を買収する手法が注目されている。とはいってもまだまだ大企業の腰は重く、政府はM&Aを円滑にする制度を検討中のようだ。

 しかし、「制度では現状は変わらないんじゃないか」と真っ向から反対する意見が飛び出す。制度は何のためにあるのか、新しい流れはどうやって生み出すのかを巡って、一時はマイクの受け渡しが間に合わないほどに。

 最後には、「ものを動かすなら、まずどこからなのかを改めて考えないと。起業家を動かすには、根本的には儲かるか面白いか。このどちらかを考えなければならない。政治家が闇雲にベンチャーを作っても、みんな不幸になるだけだよ」と福田氏。

 この激論に会場は騒然としながらも、どこか納得したような様子。これだけでも今日のイベントが有意義なものであったことが分かる。

討論から制度が変わるかも!?


 お互いの意見は双方に新しい視点となったようだ。中でも、日本にスタートアップビザ制度(有望な起業家に長期間の居住権を与える制度)を求める起業家からの意見には、経済産業省の石井氏が「政策のベースとして考えてみよう」と前向きな反応を示した。このイベントがきっかけで本当にスタートアップの環境が変わるかもしれない。

 普段はあまり関わりがない起業家と政治家だけに、意見がぶつかり合うことも多かった本イベント。しかし、こうして互いの違いを確認することが、これからの起業家支援政策のためには欠かせない一歩だったのではないだろうか?

「また10年後に、今ここに居るメンバーで話し合ってみたい。この場所から数年後には、何十億も売り上げる社長だって生まれているかもしれない」という福田氏の挨拶に大きな拍手が巻き起こり、「CHANGE: Startup meets Policy」は終了した。

 crewwのホームページでは、今回の議題について多くの人からの意見を募集している。興味がある人は、応募してみてはいかがだろうか。

年明けに第2回を開催するという話も出ているようだ。

イベント概要はこちら!



今回のテーマについてのご意見募集はこちら!



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