1. 朴大統領を巡る報道で産経記者起訴! 韓国での報道の自由に対する懸念とは

朴大統領を巡る報道で産経記者起訴! 韓国での報道の自由に対する懸念とは

by toridawnrector

 表現の自由が確保されている社会に住んでいることは、とても幸せなことです。

 日本では自由に発言、議論を交わすことができますよね。私たち日本人にとっては、自由な表現活動ができることは当たり前のことです。一方で、中国本土では言論の自由は制限されており、自由に発言しようとすればブラックリストに載ってしまい、社会から排除され、職を失い、仕舞には国外追放もあり得ます。

 このように、アジアの中でも表現の自由が確保されている国と制限されている国がありますが、実は今、表現の自由の問題が韓国国内でも話題となっています。8月に産経新聞の記者が韓国で起訴されたことをきっかけに、韓国で報道の自由を巡り論争が巻き起こっているのです。

独裁政権に返り咲くな

 2014年8月3日、WEBサイト「MSN産経ニュース」に、産経新聞の前ソウル支局長である加藤達也(10月1日付けで東京本社社会部編集委員)が執筆した「【追跡~ソウル発】朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」という記事が掲載されました。

 この記事は朴大統領の名誉を損なうものだとして、加藤氏は韓国の市民団体によって起訴されました。その結果、韓国検察が外国メディアである産経の前支局長を呼んで事情を聴くという事態に発展し、話題となっています。

起訴の根柢には「韓国フェリー転覆事故」

 この記事が掲載されたのは、2014年4月に起きた『2014年韓国フェリー転覆事故』の後です。韓国世論は、このフェリー事故は韓国政府が船会社を十分に監督しなかったために生じた事実であり、韓国政府も責任を取る必要があると考えていました。そのため、朴大統領は韓国市民から政権批判を浴びていました。

 このような状況の中、加藤氏によってスクープ記事が掲載されました。

噂を記事にしたことで起訴された

 記事の中身は、韓国フェリー沈没事故当日、7時間にわたり朴大統領の所在が確認できず、男性と会っていたという噂を記したものであり、加藤氏は「朴大統領と男性の関係にかんするもの」と踏み込んで説明していました。

 起訴された直接的な理由としては、あくまでも噂であったのにもかかわらず、記事が朴大統領のプライベートにも言及し、さらには空白の7時間の間には大統領の職務怠慢があったのではないか、韓国の権力中枢が不透明なのではないかということを綴ったことにあると思われます。

報道の自由が脅かされている

 確かに加藤氏が執筆した記事は朴大統領を批判する内容のものでしたが、それは決して朴氏自身を辱めるために書かれたわけではありません。それにもかかわらず、加藤氏は起訴されました。

 加藤氏が起訴されてから約3か月後の2014年10月末、韓国メディアの労働組合からなる団体「全国言論労組」が韓国政府を非難する声明を発表しました。

現在の韓国のメディアを取り巻く状況が、朴氏の父親の故・朴正熙大統領が言論統制を行った1970年代に逆戻りした

出典:東京新聞:韓国メディア労組が当局非難声明 産経起訴撤回求める:国際 ...

 声明では、韓国当局が加藤氏が執筆した記事を誤報と決めつけたことを批判し、事故当日の朴大統領の動向を解明すること、さらには起訴の撤回を求めました。なぜ起訴撤回を求めたかというと、1970年代に朴大統領の父親の故・朴正熙大統領が言論統制を行ったことで、メディアの報道の自由が制限されていたからです。


 韓国は著しい経済成長の末、現在ではアジアの中で非常に経済力を持つようになりました。一方で、朴正熙大統領時代の独裁体制から抜け出したのはつい30年ほど前のことであるため、民主主義国として歴史が浅い国でもあります。民主主義を定着させるために、韓国政府が今後報道の自由を巡ってどう対応していくのか、目が離せません。

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