1. 「仕事が増えても楽しい」と思える人生は絶対に楽しい―私が「パラレルキャリア」を始めたワケ【後編】

「仕事が増えても楽しい」と思える人生は絶対に楽しい―私が「パラレルキャリア」を始めたワケ【後編】


前編はこちら


 
 今注目の働き方「パラレルキャリア」を、編集者とウエディングパール事業という2つの軸で実現している福島緑さん。

 前編では、なぜパラレルキャリアを始めようと考えたのか、実際に2つの仕事を持ってどんな生活を送っているのかなどをお話いただいた。後編では、福島さんの仕事観や、パラレルキャリアを始めてからの心境の変化についてうかがった。


ーー複数の仕事をするとなると、体力面やタイムマネジメントの面で大変そうなイメージがありますが、実際はいかがですか。


福島:会社に勤務している時はすごく大変でした。仮に9時〜17時で勤務していたとしたら、パールの仕事は朝早起きしてやって、昼休みにやって、夜にもやる。あとは土日ですね。 
 
 確かに体力的には大変なんですが、いいこともあります。私、会社員の頃は、結構くよくよ悩んで1人で仕事を抱え込むタイプだったんです。でも、パールの仕事をやるときは完全に頭を切り替えて仕事をしています。そういう意味では精神的に大丈夫だったから、体力もついてきたというか。 

 編集の仕事だけやっていたときは、無駄に悩みすぎて全然休めなかったですね。今はその無駄に悶々としていた時間がパールに置き換わっているので、切り替えが上手くできるようになりました

ーー1週間の標準的なスケジュールを具体的に教えてください。


福島:編集をメインにやっているときの一週間と、パールをメインにやっている一週間では結構違うんですよね。編集をメインにしている時のスケジュールは、会社員の方が副業をしている形に近いので、想像しやすいのではないでしょうか。


 上は福島さんの平均的なスケジュールを表にしたもの。こちらは編集者の仕事(青色)がメインの場合。福島さんの言葉通り、編集の仕事の合間にウエディングパールの作成やブログの下書き、納品作業などが細かく挟まれている。


 こちらはウエディングパールシャワーの仕事(ピンク色)をメインに行った週の標準的なスケジュール。編集の仕事をしている時は、効率よく仕事を進めることを第一に考えているそう。

ーーこの働き方を始めて、編集者としての仕事に何か変化はありましたか。



福島:以前は「自分がいいと思うものを何が何でも通したい」という強いこだわりがありました。今は、変なところで悩まないようにしています。意思決定が速くなって、サクサク仕事を進められるようになりましたね。 

 起業って意思決定がものすごく大事なんですよ。とにかく速さと思い切りが大事だから、トライアル&エラーを繰り返すんです。その感覚とスピードは、編集の仕事にもすごく影響があったと思います

 あと、以前は上司に対して「私が言っていることは正しいのに、何で分かってくれないの?」という思いが根底にあったんです。正しいかどうかにこだわりすぎて、かなり意固地になっていましたね。

 でも、この働き方になったらどうでもよくなって(笑)。とにかく「自分の言うことを最短で聞いてもらうにはどう言ったらいいか」「どう根回ししたらいいか」に力を注ぐようになりましたね。

ーーパラレルキャリアを始めて、よかったことはありますか。


福島:よかったことは、業種や年齢問わずいろんな人に会えること。全然違う考え方や知識、経験を持った人と話すようになりました。

 失礼な話ですが、会社員の時は、プライベートでは特に「この人は業種が違うから、そんなに深く話をしてもなぁ……」という思いがあったんです。でも今は、「とにかくこの人から何かを得たい」という気持ちでお会いしています。この人のすごさの秘密や考えを学ぼうというスタンスになりました。 

 あとは、忙しいけどやりがいがあるから、すごく元気になりました。それは、自由になったからというのが大きいですよね。時間の使いなども含め、誰かのせいにすることがほとんどなくなりました。人間関係でのストレスが減ったらめっちゃ元気になって、心もとないですけど、楽しくなりました。「楽しくなった」という言い方だと、軽薄でしょうか。

ーーいえ、U-NOTEは「仕事を楽しくするメディア」なので、問題ないです。


福島:よかったです(笑)。仕事って、働くって楽しいんだなって、改めて思いました。

 今は、自分がなりたいようになるための仕事をしてる感じがします。『ハウルの動く城』で、ハウルとソフィーの会話に「ハウルって一体いくつ名前があるの?」「自由に生きるのに要るだけ」というのがあって、それがかっこいいなと思ってるんです。

 パラレルキャリアはそれと似ていると思います。パールのときはこんな私、編集のときはこんな私、と。実際そんな器用に使い分けているわけではないですが。

 でも、パールの仕事をやることによって仕事の仕方が変わったし、1つの仕事をしていた時よりも自由にもなった気がするんですよね。


ーー「福島真珠 Jouer de Bonheur」のお仕事に専念しようと考えたことはありますか。



福島:はい。もともと編集の方が割合が多くて、編集:パール=9:1くらいの割合だったんです。でも、起業を志してからどんどん割合を変えていきました。起業してからは、やはり最初は食べていくために編集の仕事をしてないと無理だったから、編集:パール=6:4くらい。今は3:7くらいかな。 

 編集の仕事は収入に直結していて、パールの仕事はいつ入るか分からないので、そういう意味では編集の仕事はなかなか手放せないですね。パールに専念してもいいかなっていう気はあります。でも、別にどちらか1つにカッチリ決める必要はないかな。


ーー複数の仕事を持つ働き方は、他の人にも勧めたいですか。



福島:はい、絶対その方がいいと思います。自分がそうだったんですが、会社でストレスを溜めすぎて具合が悪くなったり、飲み屋でも延々と愚痴を言うより、よっぽど楽しいですよ(笑)。あと、やはり人との関わり方が変わります。視野がぐんと広がる、あの感覚がパラレルキャリア最大の魅力かも

  私、編集だけやってた時は、割と仕事を抱え込むタイプだったんです。今はもうそんなことできません。ブライダルは素人同然だったから、できないことがあるのを自覚しているし、周りもそれを分かってくれています。だから「私、これしかできないので、こちらやっていただけますか?」と素直に頼めるようになりました。 

 あと、こんな話があります。数年前に知り合った出版社の社長さんがNPO法人を立ち上げたんです。元々介護施設に慰問に行く活動をずっとされていて、歌や演劇を見せたりしていた方なんですが、もっと面白い企画をやりたい、と。 

 何かというと、施設にいるおばあちゃんたちにウエディングドレスを着せて、写真を撮る体験会をやりたいと相談されたんですね。私はブライダルの業界でウエディングパールを扱っていますが、自分ではメイクもドレスの調達も、撮影もできない。

 でも、それらができる知人はたくさんいるので「知人を紹介しますよ」と答えたら「じゃあ、一緒にやりましょうよ」って声をかけてくださったんです。そこで、メイクさん、ドレス屋さんに声をかけました。そうしたら面白い企画だし社会貢献にもなるので「やりたい、やりたい」と皆が言ってくれたんですよね。 

 今はクラウドファンディングでお金を集めて、大物カメラマンに撮影していただくという企画が進んでいます。一見、この活動はパールシャワーに直接結びつかない。でも、とても楽しいんですよね。損得勘定がなく、「わあ、楽しそう、やりたい!」っていう意欲のある人ばかりが集まってくるから、こんなに楽しいんでしょうね。 

 でもこれ、会社員の時だったら「うわ、余計な仕事が1つ増えた」って、絶対に面倒くさいと思っていたはずなんですよ(笑)。 でも今は、「こんな面白そうな企画が私のところに来た!」と思えるし、人と人をつなげるのも楽しい。ましてや全然違う業界の人たちと、ゼロから仕事を立ち上げるなんてなかなかできない経験だから、すごくワクワクします。

 この状況がすごく楽しく感じられるのはパラレルキャリアのおかげ。「2つ仕事をしてよかったな」と思っています。 

 月曜日に「会社に行きたくない」と思ったり、会社や上司の愚痴ばかり言ってるよりも、「仕事が増えても楽しいと思う方が絶対に人生は楽しいはずですよね。そういう意味で、パラレルキャリアというか、会社の仕事と別のことをするのはお勧めしたいですね。


福島緑(ふくしま・みどり)さん プロフィール

大学院卒業後、出版社勤務を経てフリーランスの編集者へ。
2011年、編集者として働く傍ら、「福島真珠 Jouer de Bonheur」を立ち上げ、2013年に個人事業主として開業。ウエディングパールシャワーを手がける。

福島真珠 Jouer de Bonheur WEBサイト:

 

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