1. 【会計士Xの裏帳簿】「祭りのあと」の収支報告 花火大会は黒字・赤字?

【会計士Xの裏帳簿】「祭りのあと」の収支報告 花火大会は黒字・赤字?

 私は花火が好きで、地元の大会はもちろん、毎年遠出して観賞しています。とくに、全国の花火大会の中でも、新潟・長岡大花火の大ファン。毎年一日に2発打ち上げられる正三尺玉の大輪はまさに圧巻です。

 そして職業柄、美しい花火を楽しんだあとは必ず「花火大会の収支ってどうなっているのだろう」という疑問が湧いてきます。

協賛企業、市民からの寄付で打ち上がる

 私も最近知ったことなのですが、大花火を含む「長岡まつり」は毎年、主催の長岡まつり協議会による収支報告が行われています。昨年度(平成25年度)の収支報告から、花火大会の運営をお金の面で見ていきましょう。

 一発数千円から100万円以上まで値段に差がある花火玉。数万発が夜空で一瞬にしてはじけ飛びます。花火を上げる際は、打ち上げ設備、人件費も多額。長岡まつりでは、花火玉の購入費を含む「花火行事費」が、歳出中、最も大きい2億700万円となっています。

 その一部分を賄うのが 「寄付金収入」です。長岡に限らず大きな花火大会では、一つ一つのプログラム前に、そのプログラムへの協賛企業を紹介する放送が入ります。参加するのは誰もが知っている大企業から、地元の中小企業まで様々。このプログラム協賛を含む寄付金が1億7350万円です。

 余談ですが、以前長岡花火を観賞した際、税理士事務所の協賛による花火を見たことがあります。「私もいつかは『会計士Xスペシャル』を一発ブチ上げよう」と密かに誓った次第です。

有料席の数、価格設定に手腕が問われる

 大会の費用は、花火の打ち上げ費用だけではありません。収支報告によると、会場設営費が1億4952万円、警備や案内、シャトルバスの運行等、安全対策費に8630万円がかかっています。

 これらの歳出を賄うのが 「観覧席料収入」の2億5829万円。花火は近くにいれば、お金を払わなくても誰でも観られるものですが、私のようにタダで観る人ばかりではありません。長岡の販売席数は約3万9千席。席料はマス席の1万5000円から2000円までで、収入で単純に割ると、1組で平均して6600円程度支払っていることになります。

 前売りチケットは毎年すぐに売り切れてしまいます。今年は約5万4千件の申し込みがあったそうです。売ろうと思えばもっと売れるのでしょうが、有料席を多くしすぎると、誰でも参加できる「お祭り」としての魅力が減じてしまいます。席数や価格設定には「経営手腕」が問われそうです。

 そして、その他の収入としては、市や商工会議所からの補助金(4570万円)、駐車場代などの諸収入(1542万円)などがあります。

非営利の黒字運営、まちおこし効果は絶大

 結果、平成25年度の収支報告では、収入が4億9586万円、歳出が4億9302万円と、284万円の黒字を達成しています。協議会は自治体が関わる非営利組織ですから、黒字の284万円は、会社のように株主に分配されることはなく、来年の運営のために繰り越されます。

 収支はだいたい「トントン」と見ることができますが、花火製造業者や警備会社等、直接祭りに関わる企業はもちろん、出店、地域の商店、私もいつも予約で苦労する宿泊施設等の売り上げは上がり、経済効果は相当なものでしょう。

 今年も、3日間でのべ119万1000人の観覧者を集めた長岡まつり。会計人としていろいろな発見がある収支報告に、今後も注目していきたいと思います。

カイケイ・ネットナビゲーターによるコメント

  経済効果とは言い換えればそのイベントで「お金が動く量」と考えられます。それは企業に限らず個人の財布からの物も当然含まれますが、イベントというジャンルで言えば、そのお金の動く量=そのイベントの魅力(価値)を定量化したものと考えられます。
流行り廃りの変化が激しい今の世の中で、古くから親しまれる花火がいまだにしっかりと価値を持ち、夜空に上がっていることを考えるとなんだか花火が次元の違う、神秘的なものに見えてきますね。


(カイケイ・ネットナビゲーター 山本 拓 MS-japanコンサルタント)


<この記事は カイケイ・ネットが提供しています>

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