1. 「再生エネ買い取り制度」不発に終わる。 電気の需給調整が再生エネ普及のカギ

「再生エネ買い取り制度」不発に終わる。 電気の需給調整が再生エネ普及のカギ

by Schwarzerkater
 2011年3月11日に起きた福島第一原子力発電所事故から、既に3年半以上もの月日が経っています。この事故で原発神話が崩壊し、原発の安全性が疑われるようになりました。そして現在に至るまで、原子力発電所を再稼働するかどうかが問題となっています。

 こうした問題を抱える中、日本政府は原発の代替策として太陽光発電に代表される再生可能エネルギー(再生エネ)の普及に力を入れてきました。

「再生エネ」の買い取りへ

 日本政府が施行してきた具体的な制度としては、「再生可能エネルギー(再生エネ)固定価格買い取り制度」があります。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもので、2012年7月1日にスタートしました。

出典: なっとく!再生可能エネルギー 固定価格買取制度 - 資源エネルギー庁
 
 この制度は「電力大手10社」(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄)が「再生エネによる発電を事業としている人や会社」から「電気」(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのいずれかで発電したもの)を国が定める価格で
買い取ることを義務付けるものです。

 しかし2014年10月初頭、この再生エネの新規受け入れを中断する動きが拡大しました。

太陽光を中心とする再生可能エネルギーの新規受け入れを中断する動きが拡大し、太陽光発電を予定していた事業者などからは怒りと戸惑いの声が上がっている。北海道、東北、東京、関西、四国、九州の電力六社に続き、沖縄電力も三十日、八月八日から新たな受け入れを中断していたことを明らかにした。

出典: 東京新聞:原発優先 縮む再生エネ 電力会社、買い取り中断次々:経済 ...

 その理由として、電力会社(北海道、東北、四国、九州、沖縄の五電力)がすべての企業から再生エネによる電気を買い取ると、企業からの電力供給量が電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性が生じ、大規模な停電を起こす恐れがあることを挙げています。そのため電力会社(北海道、東北、四国、九州、沖縄の五電力)は、今後の対応方針が決まるまで「数カ月間」は受け入れ可否の回答を保留することにしました。

全量を買い取った場合、「管内の電力需要を上回る時間帯や季節が生じる可能性があり、大規模な停電を起こす恐れがある」という。

出典: 東京新聞:原発優先 縮む再生エネ 電力会社、買い取り中断次々:経済 ...

電力の安定が必要

 再生エネは原子力発電と異なり、自然エネルギーを電力源としているために供給量を調整するのが難しいエネルギーです。具体的には、天候や朝昼夜によって発電量が大きく変わってきます。そのため、電力が余った場合には他の電力会社に余剰電力を流したり、蓄電池に充電しておいて夜間に送電したりするなど、電力を安定させるための調整が必要です。

 しかし、再生エネ固定価格買い取り制度は、全国をまたぐ送電網や蓄電池の整備・開発が不十分なまま施行されてしまいました。ゆえに、認定された事業者の数とそれに伴う電力供給量が過剰になり、電力会社が再生エネの受け入れを十分にできないと判断し、新規受け入れを中断するという事態が生じたのです。

 このように再生エネ固定価格買い取り制度は、日本政府の制度設計の甘さが浮き彫りとなる制度となってしまいました。しかし、原発再稼働が滞る中、再生エネが原発に代わる貴重な電力源になり得ることには変わりありません。特に日本は自然が豊かな国で、大きな再生エネのポテンシャルを秘めています。
 

 送電網や蓄電池の整備・開発なども考慮に入れた制度設計により、再生エネ固定価格買い取り制度の欠点を補うこと、そして再生エネを日本のエネルギーを支える産業へと発展させることができるのかということが、今後の日本政府の課題となるでしょう。

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