1. 【全文】ソシャゲーしてる場合じゃない!アフリカ発、世界の問題を解決する「真のイノヴェイション」

【全文】ソシャゲーしてる場合じゃない!アフリカ発、世界の問題を解決する「真のイノヴェイション」

 現在のビジネスマンの中には、社会問題を解決し、イノヴェイションを巻き起こしたい人が多くいるのではないでしょうか。しかし、本当に行動を起こすことは出来ていますか?アフリカ生まれのジャーナリストであるトビー・シャプシャク氏は、アフリカの発明家が起こす多くのイノヴェイションを目の当たりにして、アフリカのイノヴェイションは生活の必要に迫られて生み出されたものだと主張します。

 ここでは、トビー・シャプシャク氏がTEDで語った「アフリカで起きるイノヴェイション」についてのプレゼンを書き起こします。実は、「ソシャゲーやFacebookなどで、時間をムダに使っているのではないか?」とハッとさせられる内容になっています。

スピーカー

トビー・シャプシャク / ジャーナリスト

見出し一覧

・無名の発明家が成し遂げた「ドロス」によるイノヴェイション
・アフリカでの問題解決は世界の問題も解決することに繋がる
・アフリカで生み出された素晴らしいイノヴェイションの数々
・スマホで遊んでいる間にもアフリカではイノヴェイションが起きる

動画

無名の発明家が成し遂げた「ドロス」によるイノヴェイション

 まず、質問から始めたいと思います。これからする質問に対して手を上げてもらえますか?iPhoneをお持ちの方はいますか?それでは、Android端末をお持ちの方?BlackBerry(一時シェアを大きく獲得したが、現在は不振のスマートフォン端末)をお持ちの方?あなた、よくBlackBerryユーザーであることを公言できますね(笑)。

 では、会場の近くでプリペイドのSIMカードを購入した方はどれくらいいるでしょうか?購入した人であっても、プリペイドのSIMカードにはアフリカで生まれた技術が使われているとは知らなかったでしょうね。プリペイド方式はアフリカの携帯電話の会社である、「Vodacom」が生み出したアイディアです。しかもこのアイディアは15年も前に生み出されました。現在では、プリペイド方式の手法は、フランチャイズと並んで世界の最も主要な経済活動の一つとなっています。

 次にアフリカの革新的な発明についてお話ししましょう。アフリカでなされる革新的な発明は必要性から生まれる真の発明と言えます。

 まずいくつか問いかけをします。なぜニコラ・テスラ(発明家)は、私達が住む建物や街に明かりを灯す交流電気を発明する必要があったのでしょうか?なぜヘンリー・フォードは、黒色に限定したフォード車の生産ラインを発案する必要があったのでしょうか?

 そしてなぜ、エリック・メリフィールドはドロスを発明する必要があったのか?皆さん、聞いたことがない人物と発明品が出てきてポカンとしてますね。ドロスとはこれから画像で見せるようなもので、画像に写っているドロスの背景に見えるのはロベン島です。(編集者詮:ドロスとはテトラポッドのことを指す)
 皆さんご存知ないようですが、エリック・メリフィールドはとても有名な発明家です。1963年、南アフリカの小さな町であるイーストロンドンの港は、嵐で壊滅的なダメージを受けました。そんな中、彼は牛の骨でできたおもちゃで遊ぶ子供達を見て、ドロスを波を打ち消すために利用するアイディアを思いつきました。ドロスは巨大な操り人形のようにも見えますね。現在では、ドロスは世界中の港で防波堤として使用されています。世界の海運経済は、アフリカのドロスの発明無しでは成り立たなかったのです。

アフリカでの問題解決は世界の問題も解決することに繋がる

 アフリカについて語るには、この世界地図が欠かせません。「あの大陸には夜間の電気が少ないのだろう」とみなさん思うでしょう。実はその感想は間違っています。これは発明が行われているところが黒く塗りつぶされた地図なのです。地図を見れば、どこで発明が生まれているか一目瞭然ですね。電気がいっぱいの場所ではありませんよ(笑)。 アメリカが発明の地ではない理由は、皆テレビを観て、スマホのゲームで遊んでばっかりいるからです(笑)。

 実は発明は、アフリカで多く生まれています。しかもアフリカでは、真の革新的な発明が行われています。新しい商品を売り出すために、私たちが「発明」という言葉を乱用しているのとは全く違います。真の発明とは、ずばり「問題解決術」であると私は考えます。アフリカの人々は深刻な問題を解決しています。どうしてでしょうか?それは、解決するしかないような厄介な問題があるからです。そして、アフリカで起きている問題を解決するという事は、同時に世界中の問題も解決することになるのです。

 シリコンバレーでは、携帯電話に取り付けることでクレジットカードの決済ができる、四角いプラスチックのデバイス(編集者詮:恐らくSquareのこと)が話題です。「レジの場所に縛られずにカードを使うことができる!」と世間は大騒ぎしています。たしかに、レジの場所にとらわれずにカードを使えることはすばらしいことです。しかし、そもそもクレジットカードが必要かどうか考えたことはありますか?アフリカでは何年も前から、携帯電話を利用した決済の発明が実現していました。
 これはキテンゲラという場所で撮った写真です。キテンゲラはナイロビから1時間程で行くことができる場所です。アフリカ生まれの「M-Pesa」という決済方法の凄いところは、携帯電話で利用できることです。決済にはSMSを使用するので、どの機種でもM-Pesaを利用することができます。M-Pesaを利用すれば、請求書の支払いも、食品の買い出しも、子供の学費の支払いもできます。税関の職員にワイロを渡す事もできるそうですよ(笑)。1日、約2500万ドルもの金額がM-Pesaでやり取りされています。2500万ドルはケニアのGDPの40%にも上ります。

 M-Pesaには、画像のような小さな携帯電話が利用されています。多くの人は、ただのガラケーだと思うでしょう。しかし、画像の携帯電話はアフリカ版スマートフォンと言えるものです。ラジオや電灯にもなる機能が付いています。そして何より、電池の持ちがすごく良いのです。なぜ電池の持ちが良いのでしょうか?アフリカでは必要不可欠だからです。アフリカのエネルギー問題は深刻です。アフリカの携帯電話では、FacebookのアップデートやGmailの送信も携帯で出来てしまいます。つまり、すでに存在する技術を用いてM-Pesaという決済方法を見つけた訳です。M-Pesaはモバイル時代の小切手のように活用されています。

アフリカで生み出された素晴らしいイノヴェイションの数々

 私は、炭鉱の町であるヨハネスブルグ生まれです。ヨハネスブルグは金鉱で発展した街です。これは私が以前にInstagramに投稿した写真です。今ではモバイルがゴールドの代わりになっています。
 北米の鉄道システムの成り立ちについて考えてみましょう。最初にインフラが整備され、周辺に産業が成長し、娯楽施設ができる。現在のインターネットの状況に少し似ていますよね。そして、バーやサロンができて発展する。このような発展を可能にしてくれるモバイルは、現在ではゴールドと同じ価値があります。

 では、モバイルを使うことで他に何ができるのでしょうか?これはガーナのブライト・シモンズという社会イノベーターが発明した物で、薬の服用時に役立ちます。
 薬にその月の給料の大半を使うという方もいるのではないでしょうか。この発明では、コードをスキャンしてショートメッセージの番号に送信すれば、薬が正規のものであるのか、期限切れではないかを教えてくれます。非常にシンプルですが効果的で、命を救うことができる発明です。

 ケニアには「iCow」というサービスがあります。iCowは、乳牛の世話に関する重要な情報を届けてくれるサービスです。ケニアの乳製品業は4億6300万ドルものビジネスですが、貧しい農家と豊かな農家の生産量の違いは、1日たった数リットルだけなのです。その差を埋められたら、多くの農家は貧困から抜け出すことができます。その差はシンプルで基本的な機能しかない携帯電話を使うだけで可能なのです。

 電気がなくても大丈夫。ウィリアム・カムクワンバ(アフリカの発明家)が発明した、自転車の部品を利用した風車で発電できます。彼もアフリカ出身の偉人の一人です。彼は世界の自動車産業に革命をもたらし続けていますが、現在は北米で太陽光発電と電気産業を再構築する方法を思案中です。彼のプロジェクトが上手く行けば、最終的に私達を生きているうちに火星へ連れて行ってくれるでしょう。彼は南アフリカの首都であるプレトリアの出身です。私の街からは50キロ程離れています。

スマホで遊んでいる間にも、アフリカではイノヴェイションが起きている

 では、ヨハネスブルグに話を戻しましょう。ヨハネスブルグは、「金の街」という意味の「ゴリ」と呼ばれています。ゴールドのような真の財産はモバイルでもなく、地中にあるわけでもありません。私達自身が財産だと私は考えます。経済学者が言うように、現在のアフリカは中国が成長を始めた頃の段階にあり、後に続こうとしています。先進国では発展途上国の発明が話題ですが、途上国で発明が生まれているのは当然です。先進国の人々はFacebookをアップデートすることに時間を割いているでしょうから。もっとひどいと、Facebookのプライバシー設定で手こずっているかもしれませんね(笑)。

 アフリカの発明にはキャッチーなフレーズなんてありません。それは、「境界を越えた発明」です。アフリカはモバイルを優先した大陸と呼ばれますが、実はモバイルオンリーの大陸です。皆さんが時間をつぶしている時もアフリカでは世界の問題が解決されています。

 世界の問題を解決した感謝に向け、アフリカを代表して言う言葉で最後を締めくくりたいと思います。どういたしまして(笑)。(拍手)

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する