1. 【書き起こし】「準備体操の準備体操をしてない?」――起業家達は、なぜ幸せそうに仕事をするのか

【書き起こし】「準備体操の準備体操をしてない?」――起業家達は、なぜ幸せそうに仕事をするのか


 偉大な先人が、今を迷える前途有望な学生1500人に指標を与えるイベント。それが毎年行われる起業家スーパーカンファレンス(KSC)です。今年も誰もが知っている有名人が、たくさんの学生に一生モノの地図を与えました。

 学生たちは無限に広がる選択肢の中で必ず何かを捨て、何かを選び取らなければいけません。そんな選択と決断の連続の中で、後悔しないためにはどうすればいいのでしょうか?前進できる社会人になるために、学生のうちにすべきことが語られます。

前編はこちら

スピーカー

徳重徹氏 Terra Motors株式会社 代表取締役社長
石田言行氏 株式会社trippiece 代表取締役CEO
佐俣アンリ氏 ANRI General Partner ベンチャーキャピタリスト
漆紫穂子氏 品川女子学院 学校長

モデレーター

津田大介氏 ジャーナリスト、メディア・アクティビスト

見出し一覧

・どこからスゴイ人が現れるかは分からない
・大きな一歩を踏み出すには?
・学生のうちは人に会え
・どこからでも知識は吸収できる
・夫婦でリスクを分け合う
・あなたの使命は何?
・やることを見つけた人間が一番幸せ

どこからスゴイ人が現れるかは分からない

津田:
 皆さんのお話を聞いていると、徳重さんのように、親からちょっと抑えつけられた環境から、日本を代表するものづくりベンチャーを作る人がいる。逆に、石田さんとか佐俣さんのようにかなり自由に育てられて、それでベンチャーを始める人もいる。

 石田さん、佐俣さんがこうなっていくというのは、なんとなく想像はつくんですけどね。環境はこうもバラバラなのに、どうしてこういうふうにイノベーションが育つのか気になるんです。実際にいろんな学生、生徒たちを見ている漆さん、どうでしょうか。

漆:
 どうですかね。環境があるからそこから芽が出る人もいれば、逆に逆境に対する反動で芽が出る人もいる。50歳を過ぎてから振り返ると、結構運命みたいなものがあって。多分、今はみなさんは、周りの人と比べて自分がまだやりたいことが見つかってない、やる気が出ないというときがあると思います。実は、そういうときが大事です。それが次へのばねになるんですね。

 私の場合はすごく消去法でした。大学の時は母親に、「あなたのように時間をムダにしている人生を見ているのも嫌だ」と言われるような環境でした。それが教員になるとスイッチが入り毎日ワクワクし、天職だと思いました。だけど、選択の時。結果としては自分の好きな道より苦しい改革の方を選ばないと後悔すると考えて経営の道に行ってしまった。

 だから、消去法でもいいし、何をしても駄目なときは何もしないで待っていてもいいと思うんですね。整った環境にサポートされる人もいれば、逆境だからこそ、前に進めるという人もいる。

津田:
 ちなみに、漆さんが送り出した生徒の中で、変わった伸び方をして社会で成功されている方っていますか?

漆:
 例えば、茶髪禁止なのに茶髪にして、遅刻で教員によく電話されて、という生徒がいました。その子は東洋経済の史上最年少記者になりました。
 
 セクシャルマイノリティの記事などを書いて表彰され、今ではイギリスでフリーのジャーナリストとして、活動しています。

津田:
 素晴らしいですね。イノベーションを起こすために、校則を変えて髪を染めるのもOKにしません?(笑)

漆:
 逆に、染めなきゃいけないとか?(笑)。一歩を踏み出すことは何をやってもいいんですよね。命に別状がない限りは、好きなことをやってほしい。ただ、やるってことが大事。役に立たないけど好きなこととかくだらないことでも、考えるよりやっちゃったほうがいい。やると次が見えてくる。嫌いなことでも、やってみるとそれが嫌いだってわかる。これがすごく大事で、消去法をするうちに好きなことがわかってくる。

津田:
 本当にそうですね。教育者の立場として、とりあえずチャレンジできる仕組みを作れたらいい。

大きな一歩を踏み出すには?

津田:
 とりあえずやってみることが大事と言われたので、次のテーマは「1歩踏み出すきっかけ」にしましょう。佐俣さんはいろんな決断をする中で、悩んだことはありますか?

佐俣:
 いや、悩みます。意外かもしれないですけど、僕は幼少中一貫校で高校大学も一貫校なので、まさに親のレールに乗っかったタイプです。だから、大学3年ぐらいまでは、サラリーマンになってちゃんと働くのが当たり前だと思っていました。

津田:
 そうなんですね。なぜ変わっちゃったんですか?

佐俣:
 なぜでしょうね。どこかで突然、外れてもいいだろうって。別に親も本当は期待してなかったんでしょうね。それで、1年ぐらい遊んでもいいかなって思って、わざと留年してぼーっとしていると、別になんでもできるような気になりました。でも就職すると、その思いを忘れて何かをやった。それもなんか違うなって悩んで、こうなったんです。

津田:
 多分、会場のみなさんが「この人たちはスペシャルだから、自分はこの人たちと同じにはなれない」ってがっかりされて帰るのが一番よくないですよね。話を聞いているみなさんの延長上に、この登壇者の方々がいると思ってもらうのが、一番いい。佐俣さんはどうですか?自分はここから明らかに変わったな、というところはありました?

佐俣:
 僕は、会社を辞めるぐらいの時に東日本大震災を見たのがきっかけでした。あの地震って、すごいじゃないですか。楽天の三木谷氏も、阪神大震災が人生を変えたと言っていました。

 僕はすごく消極的な人間です。もともと志とかで動いているタイプではないと思います。ただ、人生で一番のリスクが何かを真剣に考えた結果、死ぬときに「自分何もしなかったな」とか「本当にしたかったことやってないな」って思いながら死んでいくのは、最悪だと思ったんですね。

 人間って、心臓が止まってから意識が薄れていくまで、多分1、2分あるんですよね。その最後の脳みその中で「ああ、俺って本当はこれがしたかったな」って思ったら、とっても寂しくないですか。そう思った瞬間に全部楽になって。

学生のうちは人に会え


津田:
 正解はどこにあるんでしょうね。人に会うのが大事なのか、何かに打ち込むことが大事なのか、それともこういうカンファレンスに来るのが大事なのか。どうすれば、正解は見つかるんでしょうね。

佐俣:
 どうなんですかね。でも、とりあえず直感的にかっこいいって思う人に会いに行ってみると良いかもしれないです。僕も手紙とかを書いていました。

津田:
 僕も学生には、学生のうちに絶対いろんな人に会いなさいと言っています。学生というのは学生であることが特権なんです。どんなに忙しくて偉い人でも、学生が会いたいと言ったら意外と会ってくれます。なぜかというと、社会人は学生の頼みを断ると、すごい罪悪感に苛まれるからです。これは学生ならではの特権ですね。

佐俣:
 そういうことはやってみていいんじゃないかな。だから、とても会えさそうな人にも声をかけてみたらいい。例えば、僕は学生の時に登壇している人とか、本に出ている人って超遠い人だと思っていました。僕が学生の時に津田さんを見たら、絶対に届かないと思うんですよね。

津田:
 今だったら、Twitterで呼びだしたら飲み会にだって行きますよ。

佐俣:
 Twitterだってあるし、手紙だっていいし、そういうことをやるのがスタートですね。会ってみると、だいたいの人が大したことないわけですよ。でも、会ってみて大したことないなって人の中にも素晴らしい方がいっぱいいる。この人になりたいなって思えば目指せばいい。逆に本がかっこよかったのに、会ってみたら金と欲の塊だったということもあるかもしれない。

 例えば僕が学生の時は、堀江さんにすごく憧れていました。まだ捕まる前だったから。当時の堀江さんは、テレビでは金欲の塊みたいなイメージだったんです。けれど、今になって思うと、この人は本当にでかいことがしたかったんだなって。お金が欲しいだけだったら、世の中に出ないですよね。そういうのはやっぱり会わないとわからなかった。

津田:
 石田さんにとってのロールモデル、きっかけになった人って人いらっしゃいます?

石田:
 ロールモデルというほどの人はいないですね。尊敬する方はいっぱいいますけど。

津田:
 自分こそがロールモデル?

石田:
 そういうわけでもないですが。ただ、挫折経験が多い分、自分に負けたくないという意思は強いですね。

津田:
 どこで挫折しましたか?

石田:
 例えば名前でいじめられて、いろんなことをやめてきました。バトミントンも大好きだったのに途中で辞めたし、受験も中途半端になったし、恋愛も失敗してばっかりだし。でもそういった挫折経験がすごい反動を生み出してくれました。

津田:
 ビジネスでは今のところ、挫折していますか?

石田:
 辞めていないから、まだないと思います。

津田:
 でも、順風満帆ではありませんよね?理想と違ったり、お金が入ってこなかったり。

石田:
 もちろん、順風満帆では全くありません。でも、ゴールがあるのでどんな波風にぶち当たっても楽しいですね。

どこからでも知識は吸収できる

津田:
 徳重さんには、ロールモデルとなる人はいますか?

徳重:
 最近は知らない人も多いですが、盛田昭夫さんですね。

津田:
 ソニーの創業者ですね。

徳重:
 盛田さんは、ソニーが小さいころからグローバルで戦ってきた人です。当時、盛田さんは日本一の社交家だと言われていました。シンディー・ローパーという、今で言うレディー・ガガみたいな人と抱き合った写真が報道されたこともあったんです。ただ、盛田さんの鞄持ちの人から15年前ぐらいに、「あれは全部演技だった」って聞いてしまいました。つまり、ソニーを売るためにあそこまでしていたんですね。

津田:
 人格を改造していた?

徳重:
 それこそ、兵士みたいに日本再建を目指していた。戦争直後の人ですから、日本がボロボロの中でどうやって生き残るかを考えていたんでしょうね。あの話を鞄持ちの人から聞いたときに、それだったら俺も出来るかもしれないと思ったんです。

 今、僕はアジアのフロントで戦っていますが、盛田さんと同じようなことを体験していることを非常に嬉しく思います。

津田:
 いろんな伝説的創業者がいる中で、盛田さんの特異性ってどこだと思いますか?

徳重:
 やっぱり、グローバルですよね。当時の日本の大企業ですら、アメリカで出来るのかビビっていた時代です。そんな中でソニーという、まだ東京通信工業と呼ばれていた会社が、世界を切り開いたんです。僕も同じようなことにトライしているので、非常に共感しています。

津田:
 漆さんは、いきなり学校経営をすることになったわけですが、それまで経営について学んだことはなかったんですよね。そんな中で、他を参考にされたことはありましたか?

漆:
 すごくありましたね。今、ロールモデルの話を聞いてふりかえると、私はそこがうまくいったかなと思いました。学校だけじゃなくいろんな企業のやっていることを見て、ベンチマークにしていました。「あの人の会社は大きいから出来る。うちには関係ないな」と考える人が多いと思います。私はどうしたらそれをうちに活かすことができるかを探しました。他のいいところを持ってきて、うちのオリジナルに変えるんです。

夫婦でリスクを分け合う

津田:
 教育者として、女子校の学校長として、漆さんから他の登壇者に聞きたいことはありますか?

漆:
 そうですね。うちは女子校なので、女性をどういうふうにサポートしているか聞きたいです。佐俣さんのところは奥さんも起業家ですよね。あとは、女性社員に期待することやどういう活躍の場を作っていくか、なども聞いてみたいです。

津田:
 どうですか、佐俣さん。

佐俣:
 一応説明すると、僕の奥さんは起業家です。僕がファンドを始めたときに、最初に投資したのも奥さんなんですね。奥さんと投資もして、会社も一緒に立ち上げた。しかも奥さんの方がもともと有名で、社員もいっぱいいる会社の社長をやっていたんです。

 僕は、女性に対してはすごくフラットです。差別もしなければ区別もしない。つまり、同じだけ仕事をする分には、別に何でもいいと思っています。女性らしくとか、女性を生かしてという議論にはあまり興味がない。普通に働ければいいですよね。その上で、やっぱり女性ならではのキャリアの問題はあると思います。だけど、それは別にやればいい。仕事への期待値は同じでいいのかなって。

 うちは奥さんもそういう考え方なので、女性もチームにいます。けれど、別に女性を取らなきゃという気持ちはありません。単純に優秀な人が女性だっただけ。チームの3分の1が外国人で女性もいますが、狙ったわけじゃない。ただ単に優秀な人を取っただけです。

 ちょっと、話が逸れちゃうんですけど、こういうところに来るような女性こそ起業すべきだと思います。多くの女性ってキャリアの中に、出産というイベントが出てくるんですよね。これ、結構大変なイベントなんですけど、起業家ならこれも含めて自分がやることを全部コントロールできます。うちの奥さんはもうすぐ子供ができるのですが、自分がいなくても会社が回る仕組みを作れば、キャリアをつなげられるじゃないですか。それは経営者だからできることですよね。

 出産と育児って、子どもを欲しがる限りは基本的には避けづらい。これを1年半くらい止まらないように出来るのが、起業家です。自分で全部、そういう仕組みを作ればいいから、起業家でよかったねって話しています。

あなたの使命は何?


津田:
 最後に一つ、起業って楽しいんですよ。もっとも僕はまともな会社に就職できなかったから、否応なく起業しているわけですが(笑)。それでも起業は楽しいし、こういうカンファレンスがあることは、本当に有意義だと思います。

 一方で、ドワンゴの川上会長とかは、すごく批判的ですよね。起業なんて誰でもうまくいくわけじゃないし、リスクが高すぎる。むしろ安易に夢を持つことに否定的ですらあります。そんな中で、皆さんは起業の面白さやリスクって何だと思いますか?また、乗り越えるべきリスクと、これを乗り越えてまでやりたいなら辞めた方がいいよ、というものも教えて頂ければ。

漆:
 起業に限らず、私が勧めるのは、『怖いことをやること。』

津田:
 怖いこと。どんなことですか?

漆:
 自分が「こわい、やりたくない」と思ったことは、実際にやったらすごくやりがいがあることが多いんです。本当に嫌なことだったら、やらなくていいと思うんですけど。身の丈以上でやるのが怖くなった場合は、「うまくいったとしたら翌日にどんな気分になるのか」って想像してみてほしい。

 もう一個は今の持ち物、今のリソースで考えないこと。若い子が思い切ってやるって言うと、誰かしらが手伝ってくれます。そうこうしているうちに運もついてきます。だから、今の持ち物が少ないからってくじけないで、一歩踏み出してみる。私の場合はそれでずっと人に助けられてやってきましたね。

津田:
 さっき、パートナー選びの重要性という話もありましたが、友達がうまく作れないという悩みには、どうアドバイスしますか?

漆:
 私が何とかやってこられたのは幅広い人に助けられたおかげ。一男友達が結構いろいろ教えてくれたり、10歳、20歳上の女性がアドバイスしてくれたりしました。始めは視野を広げだして自分から話しかけに行きました。そのうちに友達の友達は友達という感じでネットワークが広がり、助け合える人が増えていきました。大切にしてきたことは、感謝の気持ちをいつも伝えるようにしたこと。自分で得たものは常にシェアし、ケチしなかったこと。それがよかったかなって思います。

津田:
 徳重さんはどうですか?起業することの面白さとリスク、それとどういう人が向いているか、向いてないか。

徳重:
 僕はベンチャーの世界で15年もやっているんで、この年代にしては長い方だと思うんですけれども、起業って本当に大変ですよね。一週間に一回、何かしら問題が起こってきます。

 大事なのは、そういうのが起こる前提で、これは本当にやりたいという分野を探すこと。そういう気持ちがあれば、困難は乗り越えられる。ただ、若い人たちに今すぐそれを持てというのは無理じゃないですか。だから、それを見つけるためにのたうち回って、チャレンジして、行動して、また失敗して、またやってみてほしい。そんなプロセスができたときに起業するのが、僕はいいと思います。

津田:
 石田さんはいかがですか、起業の楽しさとリスク。

石田:
 僕は、3、4年前はいわゆる意識の高い学生で、別にみなさんと変わりなかったと思います。だからこそ、起業が怖かった。起業してどうなるのか、未来が見えなかった。でも、とりあえず一歩踏み出した。一歩踏み出したら、やらざるを得ないから。

 うちの会社は社員15名ですけど、僕が3番目に若いんです。なので、30何歳かの社員のマネジメントをしなければならない。最初は困難だらけで大変でした。

 ただ、徳重さんがおっしゃるような使命感はありました。僕であれば、へだたりのない世界を作ること。それがいい世界だと信じているからこそ、どんなことも出来るんです。

 それが最後に、どれだけ気持ちいいかお伝えしたい。やっぱり起業のいいところって、すごいポジティブで、夢がでかいことなんですね。僕は潜水艦を作るという夢があるんですけど、そんな夢でも、起業家は笑わないんですよ。多分、中高大とかで「起業して大きくなる」とか「潜水艦作りたい」と言ったら笑われます。でも起業家は「それ、いいじゃん、最高じゃん」と言ってくれる。それがすごく好きなんですよ。

 どんなことを言っても馬鹿にされないし、どうやったらいいか考えてくれる。「じゃあ、紹介するよ」とポジティブに言ってくれる。駄目なことは基本的にない。起業家は、不可能はないと本当に信じているんです。そういった世界で、世界を目指している方々と張り合える。

 徳重さんも僕の目標でもありますし、そういった方々を超えていきたいとも思っています。上には上がいる世界は最高だし、自分の成長に直結する。ぜひ、興味がある方はトライしていただければ。そういう学生を採りたいって企業はたくさんあるので、失敗しても大丈夫かなと思います。

津田:
 まとめに入る前に最後に佐俣さんに伺いたい。起業にリスクもあるなら、お金の知識って結構大事だと思うんですね。やっぱり資金調達の知識とか必要ですか?

佐俣:
 いや、いらないんじゃないですかね。

津田:
 いらない?

佐俣:
 本当に必要だったら、人間は勉強する。溺れたら、死に物狂いで泳ぎ方を練習するじゃないですか。そういうものだと思うんですよ。それなのにみんな、準備体操の準備体操の準備体操をしてしまう。そういうものですよ、人間っていうのは。

津田:
 起業するために、お金の資金調達の勉強なんかする必要ない。むしろ、こんなことやりたいんというのをはっきりさせる。

佐俣:
 起業したら必要になるから。僕は30歳なのですが、学生の頃の仲間でいまだに起業するための準備の準備の準備をしているやつっていっぱいいるんです。多くの人が、最後まで準備体操して死んでいくんです。僕も昔はそういう感じだった。

 僕がずっと言っているのは、やりたいことをやらずに死ぬのは、すげえ寂しいということ。やりたいことが会社で見つかったらそれをやればいい。バングラディシュで学校を作るのが夢だったら、学生でそれが出来ると思えばやればいい。専業主夫になりたければ、専業主夫になればいい。

津田:
 漆さんも学校改革を成功されて注目されている中で、やってみたいことは何かありますか?

漆:
 成功していると感じることはほとんどなくて、いつもうまく回ってない感じなんですよね。次の問題がどんどんどんどん起きて、常に自転車をこいでいる感じです。

津田:
 ベンチャーやっている人ってそういう感じはありますよね。徳重さんの話にもありましたけど、中国バブルが崩壊しちゃったら、それまでの計画は変えてやってかなきゃいけないだろうし。

佐俣:
 基本的にこの登壇者は、仕事柄偉そうにしゃべるんですけど、頭の中では10個ぐらいトラブルが回っているんですね。これどうしよう、これどうしようって悩んでいるんですよ。

津田:
 人間に用意周到型と臨機応変型がいたとすると、やっぱり臨機応変力みたいなのはすごく求められるのかなって。そういう人間になるには、どうすればいいんでしょうか。

漆:
 まず、考える前に行動する。あと頼み上手になることかな。

津田:
 頼み上手?どういうことですか、頼み上手って?

漆:
 一人だとできないんで、頼む。頼むコツっていうのは、まず頼むことですよ。「これをやりたいんです。やりたいからお願いします」みたいな理由のないような頼み方でも、まず頼んじゃう。この若さだったら、多分頼めば結構いろんな人が力貸してくれると思うんですよね。

やりたいことを見つけた人間が一番幸せ

津田:
 では、最後に会場にいるみなさんにメッセージをお願いできますか?

佐俣:
 とにかく、やることが見つかった人間が一番幸せですよ。登りたい山が見つかって、登っている最中に死ぬ。それでいいんですよ。すげえ高い山が見つかれば、最終的には登り切らなくてもいいんですよ。登り切りたいですけど。

 でも、それが見つからないで死んじゃうのは寂しい。さっき言ったように、準備体操を続けているやつはいっぱいいる。なので、それを見つけるのを全力でやればいいし、見つかったら、今すぐやればいいし、見つからなかったらちゃんと探し続ける。人間っていうのは、気が付くと探すことを辞めちゃうので。なので、それをぜひ探してほしい。

津田:
 では、石田さんお願いします。

石田:
 僕もその山を高1からずっと探して、見つかったのが大学3年なので、6年ですね。そのぐらいかかると思ってください。好きなことをやるというのはすごく気持ちいい。仕事を仕事だと思わなくなるし、本当に生きている感じがする。誰だってそういったところにたどり着ける。

 そのためには、先輩方に甘えることをすごく大事にしてほしい。大事にしているわけじゃないんですけど、できれば学生という立場を使って、さらに共通点を見る。同じ大学の出身とか、あとは同じ地元の出身ってなると、さらに確率上がっていく。まずは先輩に甘えてみてください。

 結局、人の縁っていうのがすごい運に関わって来て、運がある人は、勝てる要素が非常に大きくなる。もちろん自分の力を磨くのも大事ですけど、頼る所は頼る。人は一人では生きていけない。

津田:
 徳重さん、お願いします。

徳重:
 僕の方からは一言で言うと、60%OKならGoっていうこと。多分日本人だったら、60%でいいのかって思うんですけど、それはグローバル感覚からしたらおかしい。例えば、僕がいたアメリカだったら、日本人が60%でいけますというのを見たら、彼らは70%大丈夫なんだな、と思います。アジアの人だったら、日本人が60だとしたら80だと思います。とにかく、それぐらいずれている。今は世の中が、ぐちゃーって世界的に変わっていっているので、軌道修正能力の方がはるかに重要です。

津田:
 最後に漆さん。

漆:
 私は、「後悔のない決断はない」と言いたい。やってもやらなくても後悔すると思います。やると多分めちゃくちゃ大変なので、「なぜやっちゃったんだろう」と後悔するんですよ。やらないと「やっときゃどうだったのかな?やった人が羨ましいな」と後悔します。こっちの方が結構引きずります。だったら、どっちかというと、やってしまって前に進んだほうがいいと思います。

津田:
 僕は今日、起業することは、やりたいことを見つけるというより、人と出会うことが一番大切だと思いましたね。人と出会うことでやりたいことも見つかったりもするし、ある日、フッとそこにいたやりたいことがあって、それで同じ思いの人が「もう出会っちゃったからしょうがない」って作ることもある。

 だから、さっきの佐俣さんの話にもありましたけど、実は用意周到に準備をして「いやもう、これだったら絶対成功するぞ、95%の域だ」って起業しても、その時には遅いんですよね。そうではなくて、本当に後悔のない決断をする。後悔はするかもしれないけれども、ある程度見切り発車でもふいって行けるような人。不安だけど、それ以上にやったことの楽しさがあって、それで次に行ける人が多分、起業に本質的に向いている人だと思います。

 このカンファレンスに来たこと自体も、また縁だと思います。仲間も見つけつつ甘え上手にもなって、いろんな人に会ってほしい。自分のやりたいことと出会っていただければ、この中からすごくスーパーな起業家がいっぱい出てくると思います。皆さん頑張ってください。

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