1. 「スコットランド独立」は先送りに! なぜ独立への気運が高まったのか、その背景を解説します

「スコットランド独立」は先送りに! なぜ独立への気運が高まったのか、その背景を解説します

by Live4Soccer(L4S)
 サッカーワールドカップで、毎回ヨーロッパのサッカー強国のひとつとして注目されるイングランド。しかし、その「イングランド」はイギリス全体ではなく、イギリスの一地域にしか過ぎないということをご存知でしょうか? 実は、現在のイギリスは、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの地域で構成されており、それらの地域同士は決してまとまっているとは言えません。その一例として、サッカーワールドカップの予選では、イングランドやスコットランドは別々のチームとして参加しています。

 そして、そのスコットランドでは、イギリスからの独立の是非を問う住民投票が始まり、投票の結果が9月19日に出ました。結果は、独立反対派の勝利。第二次世界大戦後から長らく、スコットランド独自の自治権の確立を求めて独立の気運が高まっていましたが、独立とはなりませんでした。事前の世論調査では、賛成と反対が拮抗し、僅差になるとみられていましたが、蓋を開けてみれば、独立反対派約55%・賛成派約45%という10%以上の大差で、スコットランドの独立は見送りとなりました。
 
 スコットランドという地域を紐解くと、ケルト系の祖先を持ち、イングランドはアングロサクソン系の祖先を持つという民族的な差異や、両者は同じ英語を話すにもかかわらずアクセントや発音が異なるという違いがあり、それぞれの地域で独自のアイデンティティを確立しています。しかし、そのような地域は世界中いくらでもあります。では、なぜ今回スコットランドでは分離独立のための投票が行われたのでしょうか?

独立の気運が高まった理由

 独立の気運が高まったのには経済的な理由と行政的な理由があります。

北海油田の発見が独立を後押しした

 独立したくても経済的に安定する見込みがなければ、なかなか独立には踏み切れません。しかし、1970年代にスコットランド沖で北海油田が発見され、イギリスに莫大な利益を生み出しました。現在では北海油田はスコットランドのEEZ(排他的経済水域)内にあるので、スコットランドが独立すれば、石油収入から得られる利益は間違いなくスコットランド住民に還元されます。そしてその利益は一人当たり17万円も増えると試算されています。

自治権という面でイギリス中央政府から制限を受けている

 行政的な理由としては、予算の決定権などの自治権が狭いことにあると考えられています。予算の制約により、スコットランドが実現したいと考える政策の多くが財政的に困難を極めているのが実情としてあるそうです。例を挙げると、スコットランドは英国の他地域とは異なり、高等教育を無償化していますが、予算の制約がこの高等教育の無償化を難しくしています。

争点は「暮らし向きが良くなるのか、ならないのか」にあった

 経済的なメリットを理由に賛成派は独立を促していましたが、一方で独立反対派も経済的なデメリットを理由に独立に反対しており、賛成派が油田・ガス田の埋蔵量を過大に見積もっており、独立後の緊縮財政や増税は必至と訴えていました。

 経済的なデメリットとは、イギリスの一員として受けていた恩恵などが受けられなくなることが挙げられます。例えば、EUから脱退しなければならくなることで輸入品の値段が上がることや、ポンドという世界的で一番安定している通貨を使用できなくなり財政が安定しなくなることなどがあります。さらに、スコットランドの現状の福祉・年金制度が傾き生活に支障が生じるなどの可能性も指摘されていました。

 つまり、独立することで生活が楽になるのか、または生活が厳しくなるのかで、賛成派・反対派の意見が異なっていたことが、今回の投票の争点の一つであったといえるでしょう。

独立できなかったが自治権の拡大は十分あり得る

 今回の投票で英国の分立は回避されましたが、独立阻止のため、イギリスのキャメロン首相は投票の直前に、スコットランド自治政府への大幅な権限移譲を早急に実施すると約束しました。したがって、今後すぐにスコットランドの自治拡大へ向けた何らかの措置が取られるとみられております。

 イギリス政府がスコットランドの意向にそぐわない政策を行ったり、スコットランドの自治権拡大などの要求を拒否したりすれば、再びスコットランドには独立の気運が高まる可能性があります。そうした点を踏まえて今後イギリス中央政府がどのような対応にでるのか要注目です。

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