1. 『世界の経営学者はいま何を考えているのか』机上の空論ではない!企業人が知るべき経営学の新常識とは

『世界の経営学者はいま何を考えているのか』机上の空論ではない!企業人が知るべき経営学の新常識とは

by sekido
 「経営学」と聞いて、皆さんはどのような印象を持たれますか?「実際のビジネスの現場とはかけ離れている、机上の空論に過ぎない」などと、厳しい意見をお持ちの方も多いと思います。しかし、今日の学者達における経営学の常識は、これまで私達が漠然と抱いていたイメージとは大きく異なり、ビジネスを優位に進めるための知識として欠かすことはできないものでした。そんな最先端の経営学を学ぶのに最適な一冊の本、 『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を今回はご紹介します。

ポーターの経営戦略だけでは不十分?

 世界的に有名な経営学者、マイケル・ポーター氏をご存知でしょうか?多くの企業の戦略アドバイザーを務めてきたポーター氏の競争戦略論とは、ライバルとの競争を避けるための「ポジショニング戦略」、いわば守りの戦略でした。しかし、現代の経営学者達の間では、その考えだけでは 経営戦略として不十分とされているようです。

 今日、アメリカでは「持続的な競争優位」を実現する企業は2〜5%に過ぎないと言われています。市場での競争の激化に伴い、競争優位を持続させることが難しくなっているのだとか。その一方で、一度競争優位を失ってからその後再び競争優位を獲得する企業が増加しているそう。即ち現在の優れた企業は、長い間安定して競争優位を保っているのではなく、 一時的な優位を鎖のようにつないで、結果として長期的に高い業績を得ているのです。

 競争が激化した状況下では、ライバル企業との競争を避ける守りの戦略をとるのではなく、 攻めの競争行動(新製品の投入、大がかりな販促活動、価格引き下げなど)を行う方が、その後の市場シェアが上昇する、というのが経営学の新常識の1つです。

イノベーションに潜むワナ

 現代の企業がサバイバルで生き残るために必要な要素の1つ、 イノベーション。その本質は、「知」と「知」の組み合わせから新しい知を生み出すことです。そのために企業は、グッドアイデアをもたらす「イノベーション人材」の採用に力を入れるなど、知の幅を広げる必要があります。しかし、知は多様すぎると全体として効率が悪くなるそう。この状態に陥ることを、経営学者の間では 「コンピテンシー・トラップ」と呼んでいます。

◆コンピテンシー・トラップ
当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたりがちになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞する

出典: 入山 章栄 (2012) 『世界の経営学者はいま何を考えているのか』

 新しい知を求める活動を 「知の探索」、既存の知識を改良していく事を 「知の深化」と言いますが、企業にとって継続的なイノベーションを実現するには、この2つを同時にバランス良く実現しなければなりません。この理想的な経営手法を、経営学者は 「両利きの経営」と呼ぶそうです。イノベーションの停滞を避けるために、企業は組織として知の探索と深化のバランスを保ち、 コンピテンシー・トラップを避ける戦略・体制・ルール作りを進めることが重要でしょう。



 学者達の机上の空論だと思われがちな「経営学」の常識は、時代の変化に伴い大きくバージョンアップされているようですね。そしてその理論は、現代ビジネスを生き抜く企業経営のヒントとなることでしょう。経営の手法に迷いがある時は、最先端の経営理論から気付きを得てみると良いかもしれませんね。

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