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「コミットメント」「コミット」の意味とは? 意外と知らない正しい使い方・例文

U-NOTE編集部

2018/08/24(最終更新日:2024/06/19)


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ビジネスシーンで用いられる「コミット」「コミットメント」という言葉。ニュアンスはわかっているものの、正確な意味や使い方を知らない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、「コミットメント」や「コミット」の意味を徹底解説。正しい使い方や例文をチェックして、ビジネスパーソンとして必要な知識を蓄えていきましょう。

本記事の内容をざっくり説明
  • コミットメントの意味や使い方
  • 日本で生まれた「コミットする」の意味
  • 業種や学問における「コミットメント」

 

「コミットメント」の意味とは?

ビジネスシーンで頻繫に使われている「コミットメント」というフレーズ。社内外でよく聞くものの、意味がイマイチ把握できない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「コミットメント」の使い方について説明する前に、まずは言葉の意味について詳しく確認していきましょう。

 

ビジネスシーンにおける「コミットメント」の意味

「コミットメント」がビジネスシーンで使われる場合、辞書上の意味と少し異なります。辞書上の意味とビジネスシーンでの意味をそれぞれ確認していきましょう。

「コミットメント」は英語の「commitment」をカタカナ読みした言葉で、関わり合い・委任・言質・(人や大義などへの)献身や深い関与・破れない約束を意味します。
難しく感じますが、簡単に考えると「責任をもって関与することを明言すること」「責任を伴う約束」となります。

一方、ビジネスシーンで「コミットメント」が用いられる場合、約束・公約・献身・深い関与を意味します。なかでも「約束、公約」という意味で用いられることが多いのです。

また、業界や業種によっては「コミットメントが薄い、コミットメントが濃い」と使用され、取引先との関係性の強さを表す場合もあります。

「コミットメント」の意味
  • コミットメント=関わり合い・委任・言質・献身・深い関与、破れない約束
  • 簡潔な意味は、「責任をもって関与することを明言すること」「責任を伴う約束」
  • ビジネスシーンでは、約束や公約の意味が強い

 

「コミットメント」の類義語

では、「コミットメント」に似たような意味の言葉にはどんなものがあるのでしょうか。

「コミットメント」を他の言葉に言い換えると、「関与」「委託」「確約」「義務」「責任」といったものが当てはまります。

「コミットメント」の強い意味合いが不適切なシーンでは、コミットメントの類義語を使うこともおすすめです。コミットメントを漢字に置き換えると、「関与」「委託」「確約」などのようになります。

文脈から、「かかわり」「公約」「言質」「声明」、または「義務」や「責任」などとも言い換えられます。

 

「コミットメント」の使い方

前述したように、ビジネスシーンでは「コミットメント」は約束・公約・献身・深い関与を意味します。正しい使い方を理解したうえで使用するようにしましょう。

次は、「コミットメント」の使い方を例とともに詳しくご紹介します。

 

略して「コミットする」と使われることも多い

日本では「コミットメント」という言葉よりも、「コミットする」と表現されることも多いものです。「コミットする」は、コミットメントを動詞形にしたフレーズで、テレビコマーシャルで用いられたことでも話題になりました。

しかし、日本で生まれた「コミットする」は、英語のcommitmentと比較するとやや軽いニュアンス。英語のcommitmentで意味されるような「~することを誓約、公言する」までの意味合いは持っていません。

 

「コミットする」「コミットしている人」とはどんな状態?

日本で生まれた「コミットする」「コミットしている」とは、さまざまな目標や夢を達成するという意味を持ちます。シンプルに考えると「自分が決めた目標に向けて努力し、結果が出す」ということです。

また、「コミットする」は文章の流れによってニュアンスが変化します。下記の例を参考に、「コミットする」の使い方をチェックしましょう。

<「コミットする」の使い方>

  • 売上目標にコミットする:売上目標の達成を約束、目標達成を目指して尽力する
  • 成功にコミットする:成功を約束する、成功を目指して責任をもって関わる
  • 環境保全活動にコミットする:環境保全活動に参加する

 

「コミットメント」を使う際の注意点

「責任」「確約」と表現すると過度に重い印象を与えてしまうため、「コミットメント」という言葉が選ばれていることも多いもの。

しかし、「コミットメント」を使う以上、責任・確約・公約という意図を持つことを理解しておかなければなりません。不適切な使い方をしてしまうと、クライアントや顧客からの信頼を失ってしまう可能性もあります。

「コミットメント」を使う際には、言葉の持つ重みや正しい意味を意識しましょう。

 

「コミットメント」するときの心得

「仕事にコミットしたい!」と考えていても、なんとなくできないままになっている人も多いのではないでしょうか。

以下のコミットするときの心得を把握して、コミットできるように環境や気持ちを整えましょう。

 

自分を信用する

プロジェクトや難しい仕事にコミットする場合には、自分の能力を信用する必要があります。

「自分なんて大したことができない……」「能力が不足しているかも」などと思い込んでいたら、本気でコミットしにくくなってしまいます。持っている力を出し切って完遂するためには、絶対にやり遂げられると自分を信じて実施しましょう。

 

責任を果たす

自分の受け持ったプロジェクトや仕事にコミットするためには、責任を果たす心づもりが大切です。

例えば、取引先や上司などと約束した期日までに納品する・ミスがないようにWチェックを徹底するなど、有言実行、完璧な状態を目指しましょう。

まだ責任が重大な仕事を持っていない新社会人でも、日常業務で責任感を持ち、最後まで最大限のちからでやり抜くことを意識することをおすすめします。

 

失敗から学ぶ

コミットメントする過程で、失敗することもあるはずです。失敗したからといって、自信を失い仕事を放棄するのではなく、失敗から学ぶ姿勢が大切です。

失敗から学ぶためには、

  • プロジェクトのプロセスに立ち戻って考える
  • 失敗した原因やその対処法を言語化する
  • 先輩や上司にフィードバックをもらう

などがあります。

失敗を恐れすぎず、失敗を活かすことで次につなげていきましょう。

 

最後までやりきる

最後までやりきるという強い思いは、コミットメントするために最も重要なポイントです。

「引き受けたけど、やっぱりできない」と投げ出すことは、コミットメントとは正反対の行為です。

もちろん、できないことをできないと言うことは大切ですが、何もやらずにできないと言うのはNG。「◯◯について△△と考えていますが、☓☓の点に懸念しております。ご意見お伺いできますでしょうか」などと、徹底的に調べた上で他の人の意見を取り入れることをおすすめします。

自分だけの力で完遂させるのではなく、周りの力も借りながらよりベストな状態を作り上げましょう。
 

「コミットメント」が使われるシーン

「コミットメント」は政治や法律に関わる分野で多く使われる言葉ですが、政治・法律・金融分野に限定されるわけでなく、さまざまな業種や業態で用いられます。

使用されるシーンとして、契約時・交渉時・声明の発表・公約時などが挙げられます。相手との関係性を示す場合や声明や公約を表現する際に使われています。

 

「コミットメント」「コミット」を使った例文

「コミットメント」を正しい意味で使うためにも、実際に「コミットメント」や「コミット」を用いた例文を確認してみましょう。

「コミットメント」「コミット」を使った例文
  • 弊社のコミットメントは、アマゾンの森林保護です(公約)
  • 昨年度売上40%UPをコミットします(約束)
  • 本プロジェクトの財源確保について、部長からのコミットメントが得られた(確約)
  • そのプロジェクトに是非コミットしたい(関わり)
  • 私は、夏の人事異動にコミットしません(介入)
  • 社員全員のコミットメントが欠かせません(関与)
  • 結果にコミットする必要があります(責任)

上記の例文を参考に、下記の文章の「コミット」「コミットメント」がどんな意味を持つか考えてみましょう。

<「コミットメント」の正しい使い方クイズ>

  1. 新企画のために、○○さんのコミットを取り付けます
  2. 御社のコミットメントに感銘を受けました

→1は「関わり」、2は「公約」を意味しています。だんだんと意味が把握できるようになってきたのではないでしょうか。

 

「コミットメント」はいつから日本で使われ始めたの?

英語「commitment」から生まれた、「コミットメント」「コミットする」というフレーズ。最近はビジネスシーンでも多様されていますが、一体いつ頃から浸透したのでしょうか。

次は、日本で「コミットメント」が使われ始めた経緯や浸透した背景を解説します。

 

なぜ「コミットメント」は日本で浸透したのか

「コミットメント」言葉が日本に浸透したのは、プライベートジム「ライザップ」のテレビコマーシャルで使われたことがきっかけです。キャッチコピーとして使われた「結果にコミット」という表現のインパクトが大きな影響力を持ったと推測されます。

実際、2003年に国立国語研究所「『外来語』言い換え提案」が発表した情報によると、「コミットメント」理解度は国民全体の25%程度でした。2003年時点ではマイナーな言葉だった「コミットメント」「コミット」の知名度が向上したのは、やはりライザップのテレビコマーシャルの影響だといえるでしょう。

ライザップでは、コミットメントを「世界一のボディメイクや利用者の叶えたい身体に向けて、結果にコミットする」と使用しています。約束や公約の意味で用いられており、目標達成までのアプローチを企業理念としているのです。

ライザップのキャッチコピーをチェック
 

アメリカでは政治家が「コミットメント(commitment)」を多用する

アメリカでは、公約や確約を示す言葉として「commitment」が用いられています。政治家や企業のトップが好んで使っているため、ニュースやテレビ番組で報道される機会もしばしば。アメリカで頻繫に使われていることが英字新聞や米ニュース番組を通じて日本に伝わったことも、「コミットメント」が日本で浸透したひとつの要素といえるでしょう。

実際に、アメリカの大統領と務めていたオバマ氏もスピーチで「commitment」を使用していました。

<オバマ大統領の「commitment」使用例>
(原文)This year, in this election, we are called to reaffirm our values and our <commitments>,to hold them against ahard reality
(和訳)「今年のこの選挙では、私達の価値観や責務を再度心に刻みこまなければなりません。

(原文)So today, I state clearly and with conviction America's <commitment> to seek the peace and security of a world without nuclear weapons
(和訳)だから本日、私ははっきりとした確信を持ち、アメリカが、核兵器のない平和な世界を追求していくことを宣言します。

 

「コミットメント」が含まれるビジネス用語

「コミットメント」は単語のみで使用されることも多いですが、他の単語と組み合わせて、別途意味を持つフレーズになるケースもあります。 

次は、ビジネスシーンで使われている「コミットメント」が含まれるビジネス用語を確認していきましょう。

 

トップコミットメント

トップコミットメント」は、CEO(最高経営責任者)や代表取締役社長をはじめとする、企業のトップからの表明を指す言葉です。一般的に、企業ビジョンや環境問題への取り組みなどを含んだ所信表明に用いられています。

企業の表明するコメントとしては、比較的重みのある決定力の強い表明を指します。

 

コミットメントライン

コミットメントライン」は、金融業界で使われる言葉で「融資できる金額、可能枠」を意味します。

年収・勤務歴・資格・保有資産などのさまざまな情報を精査したうえで、「いくらまで融資できるのか」と、融資の上限額であるコミットメントラインを決定していくのです。

 

教育分野へのコミットメント

教育分野へのコミットメント」は、文字通り教育業界への関与を示す言葉です。

アプリ制作会社によるアカデミックパッケージの提供・教育ソフト開発・教育システムの構築など、教育分野に大きく関与している事柄を示しています。

 

パブリックコミットメント(コミットメントのステートメント)

パブリックコミットメント(コミットメントのステートメント)」は、公約や約束に関する声明文のこと。「今日から○○を始める」「△△達成のために~~を行う」といったように、設定された公約についての表明で用いられます。

「パブリック・コミットメント」は心理学者クルト・レヴィン氏によって、心理的な作用が提唱されたことも話題になった言葉です。レヴィン氏は「パブリック・コミットメント」、つまり周囲に向かって目標や公約を宣言すると、達成率が高くなる心理効果があると発表しました。

 

業界別の「コミットメント」の意味も確認しておこう

「コミットメント」はビジネスシーンで使われる一般的な用語のほか、学問や業種別の専門用語としても使用されています。

最後に補足として、経済学におけるコミットメント・心理学におけるコミットメント・金融業界におけるコミットメントの意味をご紹介します。使用するシーンや活用は限定されますが、プラスの知識として覚えておきましょう。

 

経済学における「コミットメント」の意味

経済学における「コミットメント」は、「特定の行動しかとれないよう制限するための仕組みづくり」を意味します。分かりづらい表現や意味付けなので、下記の例をあわせてチェックしてみましょう。

たとえば、部屋探しをするためにあなたが複数の不動産業者を比較していると仮定しましょう。

いちばん最初に話を聞いた不動産業者が所有している物件で気に入ったものがあったとしても、他の不動産屋業者の物件も比較予定です。しかし、最初の不動産業者に「この部屋は南向きで家賃も安い好条件の物件です。きっと明日には買い手がついてしまうでしょう」と言われたらどうするでしょうか。

きっと多くの人の意思は揺らぎ、「次の不動産業者と比較するのはやめて、ここで決めてしまおうかな」と思ってしまうはずです。たった一言のアドバイスや提案がきっかけで、経済的行動に変化が起きたことになります。

上記の不動産業者の言葉こそ、まさに「自社が紹介した物件を契約してもらうためのクロージング」というコミットメントなのです。

 

心理学における「コミットメント」の意味

心理学における「コミットメント」は、「決断する」「積極的に関わる」を意味しています。少しオーバーな表現に感じるかもしれませんが、「腹をくくる」という意図で用いられることも多いのです。

なお、前述したように、心理学上では「コミットメント=目標達成率アップの効果がある」と捉えられています。アメリカの政治家や企業のトップが好んで「commitment」を使用するのも納得ですね。

 

金融業界における「コミットメント」の意味 

金融業界では、本記事内でご紹介した金融用語「コミットメントライン」のほか、「コミットメントメンフィー」「コミットメントレター」としても用いられています。特別な意味を持つ専門用語として、銀行や証券会社などで使用されています。

【コミットメントフィーの意味】
コミットメントフィーは、貸し手のコミットメント対価として支払われる手数料のこと。金利の支払い額と同じように、それぞれの銀行の貸出承諾額の未実行残高に対するパーセンテージ(年率)で計算され、支払われます。

【コミットメントレターの意味】
コミットメントレターは、金融機関の融資を行う側が借入人と融資契約を締結する前に提示する、融資の意思表明のレターのこと。

 

「コミットメント」を正しく使えるようになろう

本記事の内容をざっくり説明
  • コミットメントの意味や使い方
  • 「コミットメント」が含まれるビジネス用語
  • アメリカの政治家や企業トップが好んで使う「コミットメント」

ビジネスシーンで頻繫に使われている「コミットメント」。企業ビジョンの表明や、企画の方向性を示すときにも役立つ言葉です。

できるビジネスパーソンとして成長していくためにも、コミットメントの意味を理解したうえで、正しい使い方をマスターしていきましょう。

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