1. JAL再生の立役者、稲盛和夫が提唱する『全員で稼ぐ組織 』による「アメーバ経営」

JAL再生の立役者、稲盛和夫が提唱する『全員で稼ぐ組織 』による「アメーバ経営」

by Bill Larkins
 「会社の経営はトップが行うもの」このように考えている経営者は多いはず。しかし経営破たんしたJALを再生に導いた稲盛和夫氏が実践したのは、社員1人ひとりが稼ぐ「アメーバ経営」と呼ばれる手法でした。『全員で稼ぐ組織 』という本が、全社員で行うアメーバ経営の全貌を明らかにしてくれます。

 全社員が会社の経営に意識を向けるためには、部門ごとの利益を見える化する必要があります。どの企業でも、売上拡大と経費節減は追求していると思いますが、採算を細かく見られる仕組みにはなっていないのでは?アメーバ経営を導入すると、製造部門でも利益が見えるようになるそうです。

 稲盛氏は各部門の採算を明確にするために「社内売買」という独特の仕組みを用いています。社内売買とは、各アメーバ(=部署)を1つの会社のように位置づけ、アメーバ間で製品などが動くときは、社内売買があったとみなす仕組みのこと。アメーバの総生産高は、社内の別のアメーバに販売する「社内売」と、社外に販売する「社外出荷」の合計から、「社内買」を引いたものとなります。

 またアメーバ経営の特徴の1つは、人件費を経費に含まないこと。その代わり、差引収益を総時間で割って算出する「時間当り付加価値」という指標を用いて利益の状況を把握しています。利益責任を負う部門を明確にし、その利益を社員全員で協力して増やしていく、これがアメーバ経営の目的です。

 そして人間力を高めるための教育を行うことも、アメーバ経営には欠かせません。この手法を導入する際には、人としてどうあるべきか、他人からついていきたいと思われるような人間になるにはどうしたらいいのか、といったリーダー教育を含めた理念(フィロソフィ)教育を重点的に行っています。経営者と社員の人間力を磨いて、そこにおいては他社に絶対負けない状態をつくり出すことが、企業の競争力を高め、長期的に安定経営を続けていくことに直結するのです。

やがてメンバーの間から、「JALの企業理念を作り直そう」という声があがりはじめました。そこで当時の大西賢社長(現会長)が中心となり、幹部社員を選出して、JALの企業理念とJALフィロソフィの策定に取りかかりました。 現在のJALグループの企業理念は
  JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
  一、お客様に最高のサービスを提供します。
  一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
となっています

出典:森田直行(2014) 『全員で稼ぐ組織』

 この本ではJAL再建を成功させた稲盛氏による、全員参加型「アメーバ経営」の取り入れ方を学ぶことができます。トップダウン型の経営が未だ主流の現代において、社員1人ひとりが行うアメーバ経営は革新的。この本は従来の経営を見直すきっかけを与えてくれることでしょう。

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