1. 【1人だけの会社説明会】面白法人カヤックのエンジニア・衣袋宏輝が「たくさん失敗作をつくった」ワケ

【1人だけの会社説明会】面白法人カヤックのエンジニア・衣袋宏輝が「たくさん失敗作をつくった」ワケ

 こんな企画、おそらく日本初、いや世界初ではないだろうか。面白法人カヤックの
「1人だけの会社説明会」で、カヤックを退社する社員が話をするという。カヤック人事部の方も「(退職者が話をするのは)最初で最後かもしれない」と言うほどだ。

今日は「解散コンサート」だ!

 今回登壇するのは、エンジニアの衣袋(いぶくろ)宏輝氏。8月末日でカヤックを退職する。さすがの衣袋氏も、「退職する人が、会社説明会に出ていいんですか?」と人事部に確認したそうだ。すると、人事の方から「カヤックらしくていいんじゃない?解散コンサートみたいで」と言われたという。さすがカヤックである。

濃いエンジニア生活をプレイバック

 まずは、ざっと衣袋氏がカヤックで手がけたプロダクトやサービスを振り返る。全部で10数件ほどあり、インターンを含めた3年半の間に濃いエンジニア生活を送っていたことがうかがえた。
 
 ちなみに、衣袋氏が特に印象に残っているのは以下の3つだそうだ。

あなたの声で車が走る!「VOICE DRIVER CUP」


 子どものころのワクワクがよみがえる! 
 
 カヤックの「koebu(「声」をメインとしたサービス)」と日産自動車のコラボレーション作品。PCやスマホに向かって「ブーン!」と叫ぶと、ミニ四駆が走り出す。

スマホで焼肉を楽しめるアプリ「鼻焼肉」


 「WEBで匂いは伝わらない」という固定観念を打ち砕く作品。
 
 香りを通知するガジェット「Scentee」と連動して使えるアプリ。スマホから香る焼き肉のにおいを楽しみながらご飯を食べると、そこはまるで焼肉屋さん。貧乏学生やダイエッターが喜ぶこと間違いなし。

未来の家のスタンダード!?「2020 ふつうの家展」


 三井不動産×トラフ設計事務所×面白法人カヤックが考えた最高の未来の家!

 8月に開催され、大きな反響を呼んだ「2020 ふつうの家展」。ICT (Internet Communication Technologyの略。インターネットを通して行われるコミュニケーション全般を指す)技術などを多用し、家族のコミュニケーションや思い出を記憶する、「家族のパートナー」がコンセプトの家が披露された。
 衣袋氏はこの家のキッチン・テーブル・ドア等の設計を担当。

衣袋流・エンジニアとしての仕事術

 プロダクトの紹介が終わった後、衣袋氏はこう切り出した。「せっかくなので案件にならなかったものや、案件の裏側のドロドロした部分をお話ししようと思います」。

 その後に語ってくれたことは、衣袋氏がこれまで築き上げてきた実績の裏にある、エンジニアとしての信条だった。

①たくさん失敗する

「プロトタイプ(仮組みされたプログラムや、試作品のこと)が重要だというお話しをします。なぜプロトタイプが重要かっていうと、新技術って絶対につまずくんですよ。経験則から、初めてのことが一定ライン、だいたい30%くらいを超えると失敗します。でも、初めてのことがまったくない案件はつまらない。なので、新しい仕事をするためにプロトタイプをつくることを重要視してます」(衣袋氏)
 
 もちろん、そのプロトタイプを作る過程でも失敗は発生する。カヤックの面白いサービスをつくるためには、失敗はつきものなのだ。

 失敗ばかりで嫌にならないのかと思いきや、「日々大量にプロトタイプをつくって失敗しています。でも失敗の数が多いと、別の機会に使える組み合わせが増えるんです」と衣袋氏は前向きに語ってくれた。

②つくりかたをつくる

「僕の職業であるエンジニアは、ツールをつくる、つまり『つくりかたをつくる』ことができる職業なんです。これは結構大事なことなんじゃないかと思っています」

 そう言って衣袋氏はある映像を見せてくれた。「HaKU」というロックバンドの曲、「the day」のミュージックビデオだ。この映像の特徴は、演奏しているメンバーや歌詞がアスキーアート(コンピュータ上の文字や記号を用いて表現された絵)で表される点だ。


 「英語のアスキーアートをつくるのは簡単なんです。英語は文字の幅がみんな同じで計算が単純だから。でも、日本語は文字ごとに幅が違うので、アスキーアートをつくるのが大変なんです」(衣袋氏)

 そこで衣袋氏はどうしたかというと、「アスキーアートをトレースするソフトをつくりました。そのソフトを起動すると、使っていい文字列が上に一覧で表示されるんです。映像編集スタッフの方が、Adobe Premiere(映像編集ソフト)を使うということでしたので、Premiereで歌詞を指定するとアスキーアートが表示されるようになっています」とのこと。

③イベントの際には、必ずやることリストをつくる

 カヤックではWEBサービスやアプリの開発だけでなく、その認知度を高めるために映像を作成したりベントを運営することも多かったそうだ。その際に使っていたというリストを、特別に見せてくれた。その中からいくつか興味深いものを紹介したい。

 「ツールを間違わないこと。流行っていたり使い慣れているソフトやツールより、古くからあるFlashやHTML5でやった方がよい場合もあるんです。その見極めを間違わないようにする。時にはツールをつくった方がいいんじゃないか、というところから考える」
 「BluetoothやWi-Fiには法律があるので、勝手にパワーを上げてはいけないんです。それをちゃんと守っているか」
 「BluetoothやWi-Fiといった無線は、不安定でつながらないことが多いんです。だからとことん信用しないようにしています」(衣袋氏)

 これらはエンジニアならではの視点といえるだろう。その他にも、

 「お弁当のクオリティはスタッフの士気にかかわる。お弁当は超重要です」
 「誰がイベントを運営するのか。自分たちが運営するなら予算に入れないといけないですよね」
 「イベントに何人遊びにきてくれたのか、カウントするのを忘れないこと。特に広告案件だと必須項目です」(衣袋氏)

といった、意外と見落としがちなポイントも教えてくれた。


ネガティブな退職理由も、あります

 最後に衣袋師は、「ネガティブな退職の理由をお話しします」と発言。こ、これはとんでもない爆弾発言が飛び出すんじゃないか…!とドキドキしながら聞いていたのだが、

 「会社の前にコンチ(カヤックが開発したパズルゲームのキャラクター)が置いてある。僕、これ好きじゃないんですよ」 

 といった、拍子抜けするようなもの(その理由は「コンチ」で画像検索すると分かるかも……)。「結局、僕はカヤックが大好きです」と笑いながらしめくくった。

 衣袋氏はこれから何をするかは白紙だという。「フリーで活動したい、ということは何となく決めています。でも、明確にどうするかは決めてないです」(衣袋氏)


 エンジニアとして自分の信条をしっかりと貫きながら、カヤックでの数多のプロジェクトを切り抜けてきた衣袋氏なら、さらに活躍していけるだろう。

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