1. 初報から32年後の異例の取り消し!朝日新聞「従軍慰安婦問題」を簡潔にまとめてみた

初報から32年後の異例の取り消し!朝日新聞「従軍慰安婦問題」を簡潔にまとめてみた


 
by yto
 
 日本と韓国は、戦後から現在に至るまで、歴史認識において対立を深めています。特に従軍慰安婦問題は、日本と韓国の間で長年論争の的となっており、外交問題にまで発展しています。従軍慰安婦問題を理由として日韓の外交関係が滞る中、2014年8月5日の朝刊で、朝日新聞が従軍慰安婦問題を巡る報道について誤りがあったことを認め、記事の一部を撤回しました。

取り消したのは、「女性を強制連行した」との証言を紹介した記事。同社は1982年から90年代初めにかけて、確認できただけで16回掲載したが、裏付けが得られなかったとして、初報から32年後の異例の取り消しとなった。

出典: 読売プレミアム
 そこで、朝日新聞「従軍慰安婦」報道とは何なのか、そしてなぜ初報から32年後の今になって訂正に至ったのか、この2点について解説します。

朝日新聞「従軍慰安婦」報道とは?

 朝日新聞が今回訂正した内容で焦点となった2点を説明します。

その1 吉田清治氏の証言を証拠不十分のまま報道

 朝日新聞は1982年9月、「済州島で200人の若い朝鮮人女性を『狩り出した』」とする吉田清治氏の発言(著書『私の戦争犯罪』(1983年)の中で、朝鮮人女性を慰安婦にするために軍令で強制連行をしたと告白)を、証拠不十分のまま報じてしまいました。
 
 この報道によって2つの問題が生じました。一つは、韓国の”反日”世論を煽ったことです。1965年に日韓基本条約で「戦後保証問題は解決済みであり、韓国・韓国人は日本・日本国民に対して賠償を要求することが一切できない」とされ、法的には解決していた戦後賠償問題が、この報道を期に、ぶり返されることとなりました。また、補償(償い事業)を通して、従軍慰安婦問題のような女性の名誉と尊厳に関わる問題の解決を目的として設立された「アジア女性基金」の活動も、韓国側の”反日”ナショナリズムの煽りを受けて、元「慰安婦」とされた285名に償い事業を実施したにもかかわらず、評価されないまま終了してしまいました。
 
 もう一つの問題は、日本による慰安婦の強制連行が存在したとする認識が、韓国だけではなく世界的に広がったことです。「吉田証言」は、96年の国連人権委員会のクマラスワミ報告に引用されました。この報告は、「慰安婦」とは性奴隷であるとし、女性の人権の擁護と個人補償を訴えた報告書として国連という世界の舞台で評価されたため、世界的にも日本の従軍慰安婦への償いが不十分なのではないかという認識が広まることとなりました。

 しかし今回朝日新聞は、「吉田証言」を32年という時を経て初めて虚偽と判断し、それをめぐる記事を撤回するに至りました。

その2 「女子勤労挺身(ていしん)隊」と「従軍慰安婦」を混同

朝鮮半島出身の慰安婦について朝日新聞が1990年代初めに書いた記事の一部に、「女子挺身(ていしん)隊」の名で戦場に動員された、という表現がありました。

出典: 「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視:朝日新聞デジタル
 朝日新聞は「女子挺身隊」と「従軍慰安婦」を混同して記事を書いていました。

 そもそも「女子挺身隊」とは、戦時中の日本内地や旧植民地の朝鮮・台湾で、女性を労働力として動員するために組織された勤労団体のことを指し、女性による労働人口の拡大を意図して作られました。すなわち、「女子挺身隊」は労働が目的として結成されたのであって、性の処理を担っていた従軍慰安婦とは全くの別物なのです。

 では(1)なぜ二つの言葉の誤用が起きたのか、(2)混同したことでどのような問題が生じたのか、について説明します。

―(1)なぜ「女子挺身隊」と「従軍慰安婦」を混同したのか?

原因は研究の乏しさにあった。当時、慰安婦を研究する専門家はほとんどなく、歴史の掘り起こしが十分でなかった。朝日新聞は、国内の工場で働いた日本人の元挺身隊員を記事で取り上げたことはあったが、朝鮮半島の挺身隊の研究は進んでいなかった。

出典: 「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視:朝日新聞デジタル
 上記の引用からも分かるように、歴史家の研究不足、そして記者の勉強不足ということが混同した要因でした。

―(2)言葉の誤用により、どのような問題が生じたのか?

92年1月の宮沢首相の訪韓直前、韓国の通信社が国民学校に通う12歳の朝鮮人少女が挺身隊に動員されたことを示す学籍簿が見つかったとする記事を配信。「日本は小学生までを慰安婦にした」と誤解され、対日感情が悪化した。

出典: 「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視:朝日新聞デジタル
 女子挺身隊と慰安婦とを混用したことで、12歳の子供までもが慰安婦として働かされたというような誤解を韓国側に生むことになり、それにより韓国人の”反日”感情が悪化する要因となりました。

 しかし、朝日新聞は2014年8月5日の報道で、「女子挺身隊は、戦時下で女性を軍需工場などに動員した『女子勤労挺身隊』を指し、慰安婦とはまったく別」と誤りを認め、記事の訂正に至りました。
 
 なお、読売新聞は90年代後半には誤りを訂正していますが、他紙も同様に、女子挺身隊と慰安婦を混合した報道をしていました。

なぜ今になって訂正?―日本人の”反韓”感情の上昇

 ここまでは、韓国の日本に対する”反日”感情の悪化の原因などについて述べてきました。現在でも韓国側の対日感情はあまり良くないままですが、それ以外の変化として、今日では日本側の”反韓”感情が増加していると言われています。そしてこうした影響を直に受けているのが、朝日新聞なのです。

 誤報を認めた背景には朝日バッシングによる部数減が大きい。(中略)「部数減が深刻で、朝日は急速にネット移行を進めている。新聞を読まない若者世代にアピール中ですが、実はネット上の調査で、朝日のイメージが“反日”“親中、親韓”と悪いため、そのイメージを払拭したい意向もあるようですね」

出典: 朝日新聞「慰安婦問題誤報訂正」なぜ今? - ライブドアニュース
 インターネットの普及により、紙媒体の新聞部数が著しく減少しているという背景のもと、朝日新聞デジタルという形でインターネットという新たなマーケットで勝負に出ようとしています。そうした中、ネット上の調査によると、若者たちの朝日新聞のイメージは”反日”、”親韓”となっており、昨今の韓国の態度に反発を示す日本の風潮を鑑みれば、朝日新聞は現在あまり良い状況にいるとはいえません。したがって、ネット上の新聞(朝日新聞デジタル)の普及を図りたい朝日にとって、若者からのイメージの払拭ができるかどうかは、今後のデジタル新聞の成長のカギとなりそうです。

 最近では、フジテレビが”韓流推し”をしたために、ネット上を中心に非難の嵐に遭い、反日イメージを重ねられて凋落するという出来事があり、ナショナリズム問題に関しては、朝日新聞も慎重にならざるを得ません。

 ネットの普及によって大手メディアがその不動の地位を脅かされている中、朝日新聞は生き残りを懸けた戦いを強いられています。”反日”、”反韓”、”親日”、”親韓”といったナショナリスティックな感情が、朝日新聞の今後を左右するとみられている状況で、今回朝日新聞が行った「従軍慰安婦」訂正は、今後の朝日新聞の行方にどのように影響していくのか見ものです。

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