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日本人は本当に働きすぎ?海外と日本の働き方や労働時間を徹底比較

U-NOTE編集部

2018/08/21(最終更新日:2021/01/30)


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「日本人は働きすぎだ」——メディアを通して耳にする海外からの声。諸外国のイメージ通り、日本人は本当に働きすぎなのでしょうか?

本記事では本当に日本人が働きすぎなのか考えるべく、海外の働き方と日本の働き方を比較していきます。

日本企業で働き、日本人の同僚と1日を過ごし「働きすぎかどうか」を客観的に知ることができないという人は、本記事を読みながら自身の働き方を振り返ってみてはいかがでしょうか。

本記事の内容をざっくり説明
  • 日本人は本当に働きすぎ?データから見る日本人の働き方
  • ドイツ・スウェーデン・アメリカの働き方

 

日本人は本当に働きすぎ?データから見る日本人の働き方

海外の働き方と日本の働き方を比較して、日本人が働きすぎかどうかを考えるためにも、まずは日本人の働き方について確認してみましょう。

日本人は働きすぎなのか?という疑問を解決するにあたって、重要な指標となるのが「有給消化率」と「年間の平均労働時間のデータ」です。

 

【日本人の働き方データ①】2017年、日本人の有休取得率は「50%」

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 2017年に行われたエクスペディアの調査によると、日本人の有給取得率は50%

有給の支給日数が「20日」と、アメリカやメキシコ、近隣国である韓国、香港、シンガポールなどよりも恵まれているにも関わらず、休みを十分に取得できていないことがわかります。

消化率も2年連続最下位と、不名誉な結果に終わっています。「働き方改革」が打ち出されていても、しっかり有給を取得できる人は少ないようです。

 

【日本人の働き方データ②】日本人の年間労働時間は1,710時間

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OECDが出した2017年の平均年間労働時間は「1,759時間」。2017年、日本の年間労働時間は「1,710時間」。

OECD(経済協力開発機構)の2017年労働時間調査では、世界の労働時間平均は「1,759時間」

そんな中、日本人の年間労働時間は1,710時間と、世界の労働時間平均を下回っている。日本はOECD加盟国と比較しても労働時間が少ないということになるのです。意外な結果だと思った方も多いのではないでしょうか。

しかし、OECD調べの「年間労働時間」の中にはサービス残業といった公にできない数値は含まれていません。

さらに、「男性の労働時間」「女性の労働時間」が混在しているため、時短でパート・アルバイトをしてる人も含まれていることになります。

男女平等を測る指標である「ジェンダー・キャップ指数」が世界的にも下位な日本において、フルタイムで働く女性は残念ながら多くありません。

上記を考慮すると、日本人の労働時間「1,710時間」というのは正確な数値ではないということがわかります。

 

日本の平均労働時間を上回っているかチェック!

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OECD調査による日本人の平均労働時間は、あくまでも「目安」として考える必要があることがわかりました。

実際に、あなたの年間労働時間は何時間なのか、大まかでいいの計算してみてください。

もし、年間労働時間が世界平均の1,710時間を大きく超えるようであったら、「働きすぎ」には要注意です。

データから見る日本人の働き方

  • 2017年、日本人の有休取得率は「50%」
  • 日本人の有休消化率は「50%前後」を推移
  • 日本人の年間労働時間は「平均1,710時間」

 

海外の働き方例1【ドイツの場合】

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日本の働き方の現状を確認した後は、海外の働き方について確認していきましょう。

まずは、自動車・鉄鋼・化学・機械などの産業が有名で、EU最大の経済大国であるドイツ。

勤勉に働いているイメージがありますが、実際は働きすぎてはいないのでしょうか。

 

ドイツの年間労働時間

実は、ドイツの年間労働時間は、OECD諸国でもかなり少ないほうです。

日本の年間労働時間は平均1,733時間だったが、なんとドイツの年間労働時間は1,363時間という結果に。

日本とドイツでは、年間で約370時間もの差がついている計算になる。1日の労働時間を8時間とすると、46.25日も休みが多いことに。

なぜ、このような差がでるのか、ドイツの働き方を探っていきましょう。

 

ドイツの休暇事情

ドイツの働き方で注目したいのは「長期休暇」です。ドイツでは、4週間続けてバカンスを取るのは珍しくありません。

断っておくが、病欠は有給休暇とは別の休暇である。病気のときは、病欠を取ればよい。医師の診断書があれば、最長6週間までは病欠でき、その間は給料も支払われる。有給休暇は、あくまでも楽しみ・休養のために使うものなのだ。

出典:「仕事が残ってても休みます」経済大国ドイツの人の働きかた
 

ドイツでは病欠と有休をそれぞれ取得でき、労働者の私生活の時間を大切にする制度があります。

日本では病欠を有休カウントすることが多い傾向にありますが、ドイツでは病欠と有休をしっかり区分けしているのです。

 

ドイツの働き方

また、ドイツでは「自分の仕事は全うするが、自分の仕事ではない場合きっぱりと断る」傾向にあることもポイントです。

現代社会の日本人には難しいかもしれませんが、自分以外の仕事を断るドイツ人の働き方は生産性を高める上で参考にする価値はあるでしょう。

人に頼まれた仕事を断れずに仕事が積み重なっていき、残業時間が増してしまう……ということもドイツではあり得ないことなのでしょう。

働き方を変えるためには「自分の業務範囲」を明確にすることで、自分の仕事とそうではない仕事に線引きをすることも重要なのかもしれません。

ドイツ人の働き方

  • ドイツ人の年間労働時間は平均1,363時間
  • ドイツでは病欠と有給の両方を取得できる

 

海外の働き方例2【スウェーデンの場合】

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ノーベル賞やIKEAなどのインテリア・雑貨、H&Mなどで有名なスウェーデン。

高い税率による手厚い社会保証、女性の社会進出なども有名な国でもあります。

次は、スウェーデンの働き方を確認していきましょう。

 

スウェーデンの休暇事情

スウェーデンの働き方でまず知って欲しいのは休暇の事情です。特に育児休暇では以下のように定められています。

スウェーデンでは,1974年に「親休暇法」が定められた。休暇日数は1974年に180日であったが,その後改正を重ねて長期化していった。現在は,子が8歳になるか基礎学校の第1学年を終了するまでに,合計480日間を取得できることになっている。

出典:第3節 労働分野における女性の参画 | 内閣府男女共同参画局
 

上記のように、スウェーデンでは子供が8歳になるまで、480日間の休暇を取得できます。

女性の社会進出が進んでいる理由も、国が定めた労働の法律が背景にあるのでしょう。

スウェーデンでは,育児休業取得者の約36%が男性であり,男性の割合が高く,男性も育児に参加する者が多い状況にある

出典:第3節 労働分野における女性の参画 | 内閣府男女共同参画局
 

また、スウェーデンの育児休暇取得者の約36%が男性であることから、男性も育児休暇をしっかり取得できる土壌があることがうかがえます。

 

スウェーデンの働き方

また、スウェーデンでは残業時間が圧倒的に少ないことも特徴的です。

OECDの調査から、スウェーデンでは残業をする人の割合はわずか「1%」しかおらず、OECD加盟国の中でも最低値だといいます。

ワークライフバランスを大切にするスウェーデンらしさが現れているといえるでしょう。

スウェーデン人の働き方

  • 育児休暇は480日間
  • 育児休暇取得者の約36%が男性
  • 残業をする人の割合1%



海外の働き方例3【アメリカの場合】

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最後に確認したいのは、ビジネス面でも、日本に大きな影響を与えているアメリカの働き方です。

経済における世界の中心といっても過言ではないアメリカの働き方は、いったいどのようになっているのでしょうか。

 

アメリカの休暇事情

まずは、アメリカの休暇事情について確認してみましょう。欧米では長期間のバカンスを楽しんでいるイメージがある人も多いと思いますが、アメリカの有給休暇事情はどうなっているのでしょうか。

年次有給休暇制度における継続勤務要件:法令上の規定なし
年次有給休暇の付与日数:連邦法上の規定なし
年次有給休暇の連続付与:法令上の規定なし
年次有給休暇の付与方法:法令上の規定なし

出典:基礎情報:アメリカ(2013年) 4. 賃金・労働時間・解雇法制|労働政策 ...
 

実は、アメリカは年次有給休暇の取得について法令では各企業へ義務づけていません

アメリカ人の多くが有給休暇の権利を持っていないだけではない。たとえ付与されていても、消化できずにいるケースも多い。不況のあおりを受け、労働者が職場での賛同を得られなかったり、職を失うのではないかと不安を抱いたりしているのも一因だろう。

出典:「有給休暇」日本よりアメリカのほうが悲惨? - ハフィントンポスト
 

日本でも有給休暇は取りづらい状況ですが、アメリカでも多くの労働者は有給休暇を取得しづらいようです。

 

アメリカの働き方

2015年の調査では、世界5位の労働生産性を保つアメリカ。

この生産性の高さは、ジョブ・ディスクリプション制により、各人の職務内容が決められていることからだと推測できます。

ジョブ・ディスクリプション制とは、企業が通常業務において職務の目的や内容を詳細に記載する書類のこと。

採用の際にジョブ・ディスクリプション制を利用する場合には、欲しい人材の条件が明確になることで生産性の向上を図る狙いがあります。

幅広く業務をこなすことが多い日本と異なり、明確に仕事内容が決められることで自分の仕事に集中できるのでしょう。

自分の仕事の範囲がはっきりしていることは、定時上がりのしやすさにもつながります。

日本で残業が多く働きすぎる理由の一つとして「仕事の範囲が曖昧なことが原因」であるということが、アメリカの働き方から考察できるでしょう。

アメリカ人の働き方

  • 年次有給休暇の取得を各企業に義務づける法令がない
  • ジョブ・ディスクリプション制:企業が通常業務において職務の目的や内容を詳細に記載する書類
  • ジョブ・ディスクリプション制により生産性が高く、定時に上がりやすい

 

世界の働き方も参考にしながら、働きやすい環境を整えていこう

本記事のまとめ
  • 日本人の有給休暇取得率は世界と比較して低い
  • 世界の労働時間平均は年間1759時間
  • ドイツ・スウェーデン・アメリカなど他国とは法整備も異なり、学べることも多い

本記事では、働き方に大きな特徴のある3カ国を例に、日本人は働きすぎなのか、検証を試みました。

3つの国を見ただけですが、今回の結果からヨーロッパは国が率先して働きやすい環境を整えているように見受けられます。

もちろん、現在の日本人の有給消化率の低さなど、労働時間の長さは良いことではありません。より働きやすい環境を作るためにも、改善していかないといけない部分も多いでしょう。

しかし、外国の働き方を文化の違う日本にそのまま持ってきても破綻する可能性があります。

各国の働き方を参考にしつつ、日本の風土と文化にあった働きやすい環境を自分たちや下の世代のためにも整えていくことが大切です。

 

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