1. 【会計士Xの裏帳簿】消費税増税の影響はまだ不明?来年の4月以降が資金繰りの正念場

【会計士Xの裏帳簿】消費税増税の影響はまだ不明?来年の4月以降が資金繰りの正念場

 今年4月の消費税増税の影響について、楽観論・悲観論が様々な形で報道されていますが、それらの情報は主に、増税後の消費の冷え込み、売上の減少に関することのようです。しかし、増税の影響は売上の減少だけではありません。

「預り金」が手元に残っていない事態も

 消費税は「預り金」的な性格を持っており、消費者から受け取った税額を手元にプールして、原則として事業年度終了後に納付します。いうまでもないことですが、消費税は会社が赤字であっても納める義務があります。

 そこで懸念されるのが、申告期に手元に現金がなく、納税により資金がショートしてしまう事態。消費税率がアップしたことでその危険性は高まることになります。とくに、消費者や親請け事業者へ増税分の価格転嫁が十分にできていない事業者は、納税時の衝撃は想定よりも大きなものとなることが考えられます。

 期中に4月を迎えた企業は、以降の売上について8%の税率が適用されます。そして、日本に最も多い3月決算企業は、今期の課税売上にかかる消費税がすべて8%で計算されます。企業全体について、8%への増税の影響の全貌があらわになるのは、3月決算企業が納税を行う来年4月以降です。

10%への再増税年末の判断で大丈夫?

 消費税が預り金的な税金であること、納税のための資金を確保しなければならないことは、税理士はもちろん、経営者にとっても当たり前の話です。しかし、中小経営者には実感があると思いますが、資金繰りは現在のキャッシュの額を前提にして行うところがあるのも現実です。

 「お金に色はつけられない」という言い回しにも表れるように、特に赤字企業は、手元にあるキャッシュは運転資金に回ってしまいがち。かなりの数の経営者が、増税による納税資金ショートの重大性を見誤っているのではないかと心配しています。

 キャッシュが回っているように見える会社が実はすでに危険水域にあり、納税期に至って危機が表面化するようなことがあれば、多数の倒産が発生してしまうことも考えられます。税理士は顧問先の納税額を早めに概算し、資金繰りについて注意喚起を行う必要があるでしょう。

 消費税は、来年の10月以降、8%から10%への増税を予定しており、その可否判断は今年の年末に行うこととされています。しかし、納税の困難さという観点から見ると、年末は増税の影響がまだほとんど顕在化していない時期。足元の景気だけではなく、来年4月以降の企業の資金繰り悪化の可能性を考慮して増税を判断する必要があるのではないかと感じるところです。



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