1. 仕事中に熱中症になったら労災に含まれる?仕事中の熱中症の危険性&労災条件を解説

仕事中に熱中症になったら労災に含まれる?仕事中の熱中症の危険性&労災条件を解説

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 猛暑日が続く中でビジネスパーソンの頭を悩ませるのが「熱中症」だ。

 外での仕事が多いビジネスパーソンはもちろん、炎天下で仕事しない内勤のビジネスパーソンも熱中症、脱水症になる恐れがある。

 ビジネスパーソンにとって大敵である熱中症だが、かかってしまった場合は“労災”に含まれるのだろうか?

 今回は熱中症、脱水症と労災の関係について解説していきたい。

仕事中における熱中症の実態とは?

 仕事中に熱中症にかかってしまったとき、読者はどのような対処をとるだろう?

 「できることなら安静にして休んでいたいが、仕事中に休むわけにはいかない」と、そのまま無理をして仕事をする人もいるのではないだろうか。

仕事中に熱中症にかかる人は増加傾向

 しかし、仕事中に熱中症にかかってしまって大変な事態に陥ってしまった人は、下記の表を見ればわかるように年々増加傾向にある。

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厚生労働省 資料参照

 熱中症による死亡者は、3年前と比較すると減っているものの、休業4日に及ぶ業務上疾病者の数は年々増加しているのだ。

 「炎天下での長時間作業」が原因で熱中症になるようなイメージがあるかもしれないが、熱中症による死亡事故が起きたのは建築現場、工場、車内などさまざま

 死亡者が出た時間帯は9時以前〜18時台以降と幅広く、必ずしも「炎天下」でかかる病ではないことがわかる。

 構成労働者が公表している熱中症による死亡事例をいくつか見てみよう。

熱中症による死亡事例①:30歳代 土木事業者

 熱中症による死亡事例の1つ目は、気温30度超えの屋外での事例。

 合計8時間の屋外作業によって、30歳代の方が熱中症によって命を落とした。

被災者は災害発生当日午前8時から、伐採された木等の運搬作業を、気温 30℃を超える屋外において行った。
適宜休憩をとっていたが、作業終了後の午後4時頃に被災者が倒れているところを発見された。
日陰で安静にさせたが、嘔吐と痙攣を起こしたため、救急車で病院に搬送された。その後、死亡が確認された。

出典:職場における熱中症による死傷災害の発生状況

熱中症による死亡事例②:40歳代 廃棄物処理業

 熱中症による死亡事例の2つ目は、高温環境で起きた事例。

 家庭ごみの収集中という状況を考えると、車内と屋外を行ったり来たりしていたと予測できる。

 常に炎天下で作業していなくても、熱中症によって命を落とすリスクはあるのだ。

被災者は家庭ゴミの収集を行っていたが、午前 11 時頃に突然倒れた。ただちに病院に救急搬送されたが、約2時間後に死亡が確認された。
当日は午前 11 時頃に既に気温が 31℃を超えており、高温環境における作業であった。(原文の誤字のみ修正)

出典:職場における熱中症による死傷災害の発生状況

熱中症による死亡事例③:70歳代 建築工事業

 熱中症による死亡事例の3つ目は、家屋の解体工事現場で起きた事例。

 被災者は熱中症によって倒れ、その際にコンクリート床上に頭部を強打。転倒時の衝撃によって頸髄を損傷し、7日後に亡くなった。

 発症する場所によっては、熱中症による意識不明、ふらつき、目眩などが致命的な症状になりうるのだ。

被災者は災害発生当日、平屋建家屋の解体工事現場で、熱中症により倒れ、コンクリート床上に頭部を強打した。
保護帽を着用していたが、あご紐が緩かったため、転倒時に外れた。病院に搬送され治療を受けていたが、頸髄損傷により7日後に死亡した。

出典:職場における熱中症による死傷災害の発生状況

仕事中に熱中症になった場合はどうする?

体調が回復したら医療機関に相談しに行く

 勤務困難な熱中症にかかった場合、医療機関での治療、十分な休養をとる必要がある。

また、 熱中症・熱射病・日射病になり 症状が回復しても必ず診察を受けることが大切です。 休息や水分補給で回復したつもりでも、身体に何か影響が残っていたり、熱中症が再発するおそれもあります。 症状が重い・軽いは自分で判断をせず、 熱中症・熱射病・日射病 だと感じたら、回復した後でも必ずご相談ください。

出典:熱中症・熱射病について | 三鷹 内科 みたかヘルスケアクリニック

 また、熱中症は症状が回復したとしても、体に何かの影響が残ったり、熱中症が再発したりする恐れもあるそうだ。

 めまい、頭痛、吐き気、倦怠感など、暑さに加えてちょっとした異常を感じたら、医療機関に相談することをおすすめしたい。

仕事中の熱中症と労災のカンケイ

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 仕事中に熱中症にかかった場合、労災認定を受けることができれば療養補償や休業補償が給付されることになる。

 では、どういった場合に熱中症が労災認定されるのだろうか?

そもそも労災とは?

 仕事中の熱中症と労災の関係を見る前の前提として、労災がそもそも何であるかというのを知っておく必要がある。

労働災害とは、労働者の業務上または通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡のことです。下記2つに大別できます。
 業務災害  労働者の業務上の負傷・疾病・障害・死亡
 通勤災害  労働者の通勤途上の負傷・疾病・障害・死亡

出典: 労働災害の基礎知識・労働災害とは?(社)安全衛生マネジメント協会

 いわゆる「労災」とは厚生労働省が管轄している保険制度で、業務上に生じた災害から労働者を守るためのものである。

 会社や使用者に申請を反対されたとしても、労災申請をすることが可能。

 被災した場合には、勤務地を管轄する労働基準監督署に労災申請しよう。

熱中症に関する労災の認定基準

 労災の認定基準をしっかりと満たしていれば、熱中症を労災に含むことができる。

 そして、熱中症が労災認定される基準には「一般的認容要件」と「医学的診断要件」の2つがあり、どちらか一方の基準を満たしていることが求められている。

 実際に熱中症にかかったら、自分のケースはどちらに当てはまっているかどうか確認してみてほしい。

熱中症に関する労災の認定基準①:「一般的認定要件」

 以下の3つの要件を満たすことで、熱中症が一般的認定される。

【熱中症の労災認定】一般的認定要件3つ

  • ①労働環境や仕事をしている時間に熱中症の原因があること
  • ②熱中症の原因と症状に因果関係があること(発症した時間と労働時間に因果関係があるかどうか等)
  • ③業務に起因しない他の原因で発症したものでないこと

熱中症に関する労災の認定基準②:「医学的診断要件」

 医学的診断要件は、医師によって「熱中症」と明確に診断された事実があるかどうか、ということ。

 先にも述べたように、「熱中症かもしれない……」という症状が出たときには医療機関にかかるようにしておきたい。

 医師からの診断書があれば、熱中症の医学的診断要件をすぐに満たせる。

 医師が「熱中症である」と診断を下す判断材料は以下の通りだ。

【熱中症の労災認定】医学的診断要件3つ

  • ①気温や湿度、服装などの作業条件の把握
  • ②けいれん、意識障害等の一般的症状の視診、体温の測定
  • ③脳貧血、てんかん、頭蓋内出血などによる意識障害などとの鑑別



熱中症にかからないための対処法

 仕事中に熱中症にかかった場合、一定の条件が満たされれば労災に含まれるということは理解してもらえただろう。

 とはいえ、熱中症は命を落としかねない病気でもある。健康的に仕事をするためにも、未然に防いでおきたいところだ。

 熱中症にかからないためにも、以下のような基本的な対処法は確実に行ってほしい。

熱中症を予防する6つのポイント

  • 部屋の温度、湿度をこまめにチェック
  • 室温28℃を超えないようにエアコン、扇風機を活用する
  • のどが乾く前にこまめに水分補給をする
  • 外出のときは体をしめつけない涼しい服装で、日傘やサングラスで日よけ対策をする
  • 適度に休憩をとる
  • 日頃から栄養バランスのいい食事&適度な運動による体力づくりを行う

 「身体が資本」という言葉があるように、仕事をしていく上で健康維持はとても大切なこと。

 いくら高い仕事の能力を持っていても、体調が優れない状態では十分なパフォーマンスを発揮できないもの。

 真夏でも100%の力を発揮できるように、日頃から熱中症対策をしていこう。

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