1. 不満のない「人事評価制度」の作り方とは?人事評価者が注意すべきポイントを徹底解説

不満のない「人事評価制度」の作り方とは?人事評価者が注意すべきポイントを徹底解説

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 6ヶ月や1年など、定期的に行われる「人事評価」。

 業務遂行度や能力、業績などを査定する人事評価は、その後の賃金やポジションなどを決定する重要なものだ。

 社員の今後の人事や給料が決定する人事評価には、評価する側も評価される側も頭を悩ませる。

 今回は会社員たちのモチベーションにも関わる「人事評価」について、制度の仕組みから目的、人事評価制度を導入するメリット・デメリット、人事評価を行う際の注意点まで紹介していきたい。

目次
+ + そもそも「人事評価制度」とは?
+ + 人事評価制度を導入するメリットとは?
+ + 人事評価制度を導入するデメリットとは?
+ + 人事評価を行うときの注意点
+ + アメリカで変化する人事評価制度の実態
+ + 部下のモチベーションを維持する人事評価テクニック

そもそも「人事評価制度」とは?

「人事評価」では社員の能力や会社への貢献度、勤務態度などを評価する

 そもそも人事評価制度とは、社員の能力や会社への貢献度、勤務態度などを評価する社内制度のことである。 

 会社ごとに異なる指標で人事評価を行い、一定の評価をされることによって昇進や昇給などを決定づけていく。

 人事評価を行う期間は四半期、半年、一年ごとなど、企業によって異なるもの。

 多くの企業では評価期間における目標を設定し、その目標の達成度に基づいて人事評価を行っていく。

人事評価をする目的とは?

 では、企業が「人事評価制度」を導入する目的とは一体何なのだろうか?

 上司やマネージャーが部下の評価を行うような人事評価制度が導入される以前は、「年功序列」によって給与や処遇が決まっていた。

 年功序列で給与や処遇を決定すると、「スキルと給与が見合わない」「努力しても年次が上がらないと給与も役職も上がらない」など、さまざまな不満が生じる。

 一方で、人事評価制度では明確な人事評価の指標さえあれば「社員が目指すべき姿、数字」が社員に共有されるため、社員もそれらに向けて業務に励むことができるのだ。

 人事評価を行うのは、「昇給」「昇進」などの曖昧な指標を明確化する目的があるといっても過言ではない。

人事評価制度を導入する3つの目的

  • 社員の主体的な職務遂行や自己啓発を促し、人材育成と組織の活性化を図る
  • 適材適所の人事配置や給与への反映など、能力実績に基づいて人事管理をする
  • 目標に対して発揮した能力や目標達成度、目標への取組姿勢を適正に評価する

人事評価制度を導入するメリットとは?

 社員の不満になりやすい曖昧な昇給や昇進の指標を明確化する、というと人事評価にはメリットしかないように思える。しかし、人事評価にはメリットだけでなくデメリットも存在する。

 人事評価制度を導入することによるメリットとデメリット、その両面について見てみよう。

人事評価制度を導入することによる「メリット」

 人事評価制度を導入することによるメリットは大きく分けて3つある。

人事評価制度を導入する3つのメリット

  • 組織メンバーのモチベーションUP
  • 曖昧な給与・昇進・スキルの評価基準を明確化するきっかけになる
  • 具体的な目標と評価基準で部下を指導できる

 明確な基準を設けた人事評価制度を導入すれば、同時に会社メンバーそれぞれが仕事する上での大きな目標を持つことになる。

 目標や昇給基準を設定をすることで、部下はそれを達成しようというモチベーションに繋がり、上司はそれらの基準を下に公正で平等な評価をすることができるのだ。

 人事評価で定期的に上司から部下へのフィードバックを行うと、部下のモチベーションも維持しやすい。

 全員に平等な人事評価の基準を設け、組織内で指標をオープンにすれば「〇〇さんよりも仕事ができるのに給料、役職が低い」などの不満の解消にも繋がるだろう。

「人事評価の軸・基準」を組織全体に浸透させる

 また、人事評価の軸を組織全体を浸透させることができれば、メンバーに企業理念をきちんと理解してもらうことにも繋がる。

 メンバーの理念への理解を深めることで、より使命感を持って会社にコミットしてもらうことが可能になるのだ。

人事評価制度を導入するデメリットとは?

人事評価制度を導入する3つのデメリット

  • 目標や昇給、昇格の基準を明確化することが難しい
  • 人事評価エラーが生じる
  • 評価者への不満が生じる

 「成果主義」という言い方もされる人事評価制度には、上述したデメリットが3つある。

 人事評価制度のデメリットは、導入する企業への注意点とも合致するため細かく紹介していきたい。

人事評価制度を導入するデメリット①:「目標や昇給、昇格の基準を明確化することが難しい」

 まず「目標や昇給、昇格の基準を明確化することが難しい」という点について。

 目標や基準設定を行うのが人間である以上、明確な指標を設けることは非常に難しい。

 高すぎる目標設定、個人のスキルや職種の指向性に見合っていない指標はモチベーションの低下に繋がってしまうため、目標設定をする際には細心の注意を払う必要がある。

人事評価制度を導入するデメリット②:「人事評価エラー」

 2つ目のデメリットである「人事評価エラー」は、先程の評価指標や抽象的である程に起こりうる問題である。

 心理的影響に左右して、公正で公平な評価ができていないことによって生じる「人事評価エラー」。

 人事評価では評価するのが人間であるため、無意識的、もしくは意図的に感情のフィルターがかかってしまうのにも無理はない。

 人的評価エラーにはハロー効果や寛大化・厳格化傾向、中心化傾向など、さまざまな種類があるため、公正な判断を下すには客観的な視点が必要になってくる。

 ここで主な人的評価エラーの種類をいくつか見てみよう。

評価者が注意しておきたい「人的評価エラー」6種類

  • 【ハロー効果】有名大学を卒業していたり、TOEIC900点など、人の優れた一面に影響されて、他の面も高く評価してしまう
  • 【中心化傾向・極端化傾向】極端な評価による部下からの反感などを避けて無難な評価で済ませることによって、評価対象者の正しい特徴を掴めなくなる
  • 【期末効果】評価を行う直前の期間で大きな失敗or成功をした印象が残り、評価対象期間を平均的に評価できなくなる
  • 【寛大化傾向・厳格化傾向】寛大化傾向では、部下によく思われたいという気持ちが働き、寛大な評価を。厳格化傾向では「自分が部下と同じくらいのときは……」と部下の役割以上に厳格な評価をくだしてしまう
  • 【対比誤差】自分が長けていない能力を高く評価、自分が長けている能力を低く評価しすぎてしまう
  • 【論理誤差】「有名大卒だから、理解力もあるだろう」など、一つの事柄から関連付けたことによる「思い込み」「推論」から評価をしてしまう

人事評価制度を導入するデメリット③:「評価者への不満が生じる」

 人事評価制度を導入するデメリットの3つ目は「評価者への不満が生じる」ということ。

 評価対象者である部下が自分の人事評価に納得行かない場合、評価者の働きぶりや能力を疑問視することが起こりうる。

 評価をされる部下と上司の間に信頼関係がなければ、その傾向は一層強まるだろう。

 人事評価する立場である人間は、自分も常に部下に見られていることを意識して行動するなど、部下との信頼関係を築く必要があるのだ。



人事評価を行うときの注意点

 上記のデメリットから、人事評価制度を導入する際には以下のような点に注意する必要がある。

 人事評価を行う立場の人は、以下の5点に注意した上で人事評価を行ってほしい。

人事評価を行うときの5つの注意点

  • 評価項目、目標や基準などを具体的に設定する
  • 他の社員と比較評価せずに「絶対評価」を徹底する
  • 結果だけでなく“プロセス”も重視する
  • 人事評価制度の指標を組織メンバーに明示する
  • 「人事評価エラー」が起こることを理解し、エラーが起きないように対処する

アメリカで変化する人事評価制度の実態

 人事評価はきちんとした指標や基準を設けなければ、かえって社員の不満になってしまうことは理解してもらえただろう。

 近年、アメリカでは従来の評価制度を見直し、「ノーレイティング」を導入する企業が増えているという。

 2015年には、全米で総収入が上位500の会社が選ばれる「フォーチュン500」の約10%が、ノーレイティングを導入しているという調査結果が出ている。

 アメリカの大企業が続々と導入しているノーレイティングとは、一体どんなものなのだろうか?

アメリカ企業で続々と導入される「ノーレイティング」とは?

 ノーレイティングは、読んで字のごとく「評価しない」という制度ではない。

 多くの日本企業などが行っている「A,B,C」などといった社員の成績評価や、期間ごとに社員を評価することを撤廃する動きをノーレイティングという。

 Googleやマイクロソフト、アクセンチュアなどの大企業もノーレイティングを取り入れており、従来の目標管理や評価プロセスの変革に挑んでいる。

「ノーレイティング」導入後の動き

  • 従来の人事評価制度における「成果」「人物評価」のランク付けを廃止
  • MBO(目標管理制度)を見直し、職場でのコミュニケーションを強化
  • 3ヶ月、半年、1年などの評価期間や目標の廃止。目標設定はリアルタイムで行う
  • フィードバックは期末ではなく、リアルタイムで行う

人事評価制度の導入時よりも「フィードバック」と「対話」を増やす

 人事評価制度の問題点であった「成績評価の目的化」、期中のコミュニケーション不足による「社員のモチベーションや成長意欲の低下」。

 ノーレイティングでは、上記の課題を解決するために「A,B,C」などによる社員の成績評価の廃止、MBOの見直しを行う代わりに「職場でのコミュニケーション」を強化する。

 今までの評価者はマネージャーとして日常的に、部下が担当している業務をリアルタイムでフィードバックしていくのだ。

 フィードバックする際にはプロセス管理ではなく、メンバーと対話してキャリアを一緒に考えていくことがマネージャーの仕事となってくる。

 人事評価制度よりも“人のモチベーション”に注視し、「人と組織のパフォーマンスの最大化」することがレーティングの本質なのだ。

「ノーレイティング」における昇給、昇進の決め方

 ランク付けなどの明確な基準がなくなると、昇給や昇進を決定する指標が曖昧になるのでは?と疑問視する人もいるかもしれない。

 ノーレイティングを導入する企業が行う代表的な報酬額の決定方法が、上から原資を渡されたマネージャーが給与を決定するというもの。

 昇進については人事評価制度と同様に、業務遂行における能力や適正を総合的にリアルタイムで判断していく。

 ノーレイティングでは、今までもよりも社員と密にコミュニケーションをとることで、給与や役職に関する交渉もしやすくなる。

 個々人に見合った給与や役職を与えられる可能性が以前よりも高くなるのだ。

部下のモチベーションを維持する人事評価テクニック

 複雑で難易度の高い人事評価——人事評価のコメントの仕方によって、部下のモチベーションは左右されるものだ。

 では、部下たちのモチベーションを上げるためにはどのように人事評価をすればいいのだろうか?

 最後に部下のモチベーションを維持するための3つのテクニックを見ていこう。

人事評価テクニック①:「承認、感謝の言葉」をかける

 やる気が出る言葉というのは人によって異なるが、どんな人にも共通して「承認」「感謝」の言葉はモチベーションに結びつきやすい。

 とくに自信のない社員にとって「職場における自分の存在意義」を実感させることは非常に有用である。

 承認や感謝の言葉を人事評価で使う際には、具体的にどのような行動や成果に対して承認、感謝しているのかを明確にしよう。

 どんな行動をすればいいのか、どれくらいの成果を出せばいいのかを示すことで、来期における社員のやる気も引き出せるはずだ。

部下のモチベーションを上げる「承認、感謝の言葉」のポイント

  • 部下の仕事によってチームや自分が助かっている点を伝える
  • 部下の仕事に対する周囲の評価を伝える
  • 部下の仕事に挑む姿勢などを承認する

人事評価テクニック②:「成長に向けたフィードバック」を行う

 承認、感謝の言葉で単純に褒めるだけでは、なかなかモチベーションは上がらないという人もいる。

 そのような部下の人事評価をする際には、努力の方向性や次のステップを提示することをおすすめしたい。

 現状できている部分を認めつつ、次の段階やネクストキャリアに踏み込むためには何が必要なのか?不足しているのか?というところを部下と一緒に考えてみよう。

 次に頑張るべきことやネクストアクションが明確になることで、来期も高いモチベーションで仕事に挑んでくれるはずだ。 

人事評価テクニック③:「モチベーションが下がる評価」を覚えておく

 部下のモチベーションが上がる評価の仕方を覚えるのはもちろんだが、人事評価において「モチベーションが下がる評価」を認識することも重要。

 2016年にリクルートマネジメントソリューションズが実施した人事評価制度に対する意識調査の結果を参考に、以下にモチベーションが下がる評価の代表例を挙げよう。

 マネジメントする上司は、部下に以下のような人事評価をしないように気をつけてもらいたい。

モチベーションが下がる評価例

  • 仕事量や仕事の責任などを考慮しない人事評価
  • 相談をしてもダメ出しをするだけで、アドバイスのない人事評価
  • 仕事内容が不透明な上司からの人事評価
  • 評価コメントの根拠がよくわからない、納得できない人事評価
  • コミュニケーション不足な上司からの人事評価


 人事評価とは、上司から部下へ伝えるメッセージのようなもの。

 公正に公平に評価を行い、丁寧なフィードバックをすることで部下のモチベーションが上がり、チーム全体、ひいては会社の利益に繋がっていくのだ。

 年功序列から脱却して人事評価制度が普及した今、「評価の在り方」について改めて考えてみる必要がある。

 本記事をきっかけに、部下を評価する立場である人たちに「公平で公正な評価基準」「部下とのコミュニケーション量」を再考してもらると幸いだ。

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