1. 残業手当の基準がよくわからないあなたへ。残業割り増し賃金計算方法のすべて

残業手当の基準がよくわからないあなたへ。残業割り増し賃金計算方法のすべて

  • 18235views
  • 0fav

 毎日残業しているけど給料明細を見て「あれ?なんか違っている…?」なんてことがあっては困りますよね。もちろん会社側の管理も重要ですが、「会社のことは信用ならん!」なんて人はしっかりと自分で残業代の管理をしておくことをオススメします。

 しかし、いざ計算してみようと思い立っても、割り増しがある残業やない残業があったり専門用語ばかりでよくわからない!なんて諦めてしまっていませんか。ここでは、法律の知識が全くなくても簡単に理解出来る残業割り増し賃金計算方法について解説していきます。

一般的な計算式はコレ!

 まずはじめに、一般的な残業割り増し賃金の計算方法を紹介します。

(残業手当の計算基礎賃金(賃金総額−法廷除外手当)÷1ヶ月平均所定労働時間)×残業時間数×1.25

出典:労務安全情報センター(これが正しい割増賃金の計算方法だ)

 これが一般的な計算式です。しかし、これを見ただけではよくわからないという人が多いのではないでしょうか。以下の項目で残業に関する知識を蓄えていきましょう。

法内残業と時間外労働って?

 前項で、「残業って1種類じゃないの!?」と驚いたあなたに法内残業と時間外労働の違いについて解説していきます。

法内残業

 まず始めに、法内残業とは法律の時間内で残業をするということを指します。

出勤9:00、退勤17:30、休憩1時間、の場合
この会社の所定労働時間は7時間30分なので、
8時間(法定労働時間)-7時間30分=30分
この30分間に行った労働が法内残業になります。

出典:自分で残業代計算表を作ってみよう!! - 残業代計算表の作り方
 つまり、会社が設定した労働時間を超えていても、労働基準法で定められた労働時間以内で行なわれた残業のことを法内残業と言っているのです。

 今回のテーマにそってお話をすると、法内残業は会社が独自に就業規則等に規定を定めていなければ割り増し賃金は支払われることのない残業に当たります。

時間外残業

 次に、時間外残業について字から予想出来るのは時間外で行なわれる残業ということですが曖昧でよく分かりませんよね。

労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、1週40時間までと定められています。この法定労働時間を超えて労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)時間外労働です。これが割増賃金の対象になります。

出典:時間外労働・休日労働・深夜労働 | 大阪労働局
 つまり、先ほどの法内残業とは対象的に労働基準法に規定されている労働時間を超えた残業のことを時間外残業と言っているのです。

 この残業は、変形時間労働制や特例事業を除いては割り増し賃金が支払われなければならないと法律に規定されています。

割り増し率のあれこれ

 残業にも種類があるということを理解したら、次は計算をする上で最も重要な割り増し率について解説していきます。実は一口に割り増し率と言っても、全て一定という訳ではないのです。労働別に割り増し率を見ていきましょう。

法内残業

 先ほど解説した法内残業。これには会社で就業規則に割り増し率が明記されていない限り、割り増しされることはありません。自分の会社の就業規則を確認してみましょう。

時間外残業

 これも先ほど解説しましたね。この割り増し率は25%以上です。

深夜残業

 深夜残業とは、午後10時〜翌朝5時までの時間帯に労働することを指します。この割り増し率は25%以上です。

時間外残業 + 深夜残業

 先ほどの時間外残業と深夜残業が合わさった場合の残業です。つまり、法律の規定以上の労働時間であり、さらにそれが午後10時〜翌朝5時に当たる場合です。この割り増し率は50%以上です。

休日労働

労働基準法では、休日は、1週間に1回あるいは4週間を通じて4日以上付与すること定められています。この法定休日に労働をさせた場合が、労働基準法の(法定)休日労働です。

出典:時間外労働・休日労働・深夜労働 | 大阪労働局
 つまり、法律で定められた休日に働いている場合がこれに該当します。この割り増し率は35%以上です。

休日労働 + 時間外残業

 これは、休日に法律の規定以上の労働を行なった場合です。この割り増し率は35%以上です。時間外残業は考慮に入らず、休日労働分の割り増し率のみが該当するのです。

休日労働 + 深夜労働 

 休日に深夜労働、つまり午後10時〜翌朝5時の時間に働いた場合を指します。この割り増し率は60%以上です。

これで計算の予備知識は完璧!

 ある程度の知識が固まってきたところで、最後の本詰めの作業に移りましょう。以下の計算式を使うに当たってまだしていない部分の説明をしていきます。

(残業手当の計算基礎賃金(賃金総額−法廷除外手当)÷1ヶ月平均所定労働時間)×残業時間数×1.25

出典:労務安全情報センター(これが正しい割増賃金の計算方法だ)

残業手当の計算基礎賃金

 残業手当の計算基礎賃金は、上記にも記載があるように1ヶ月あたりの賃金の総額から法廷除外手当を引いたものです。専門用語ばかりであまりにも難しく感じてしまいますね。法廷除外手当とは、会社からそれぞれ支給されている手当のことで、以下のようになっています。

残業計算から除くもの
1.家族手当
2.通勤手当
3.別居手当
4.子女教育手当
5.住宅手当
6.臨時に支払われた賃金(慶弔金・見舞金など)
7.1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与・報奨金など)

注)上記手当について、全社員一律同額で支給されている場合は、除かず計算に含めます。

POINT
営業手当、役職手当、地域手当、店舗手当、運転手当など、
会社によって、さまざまな名称の手当が設けられていますが、
これらは、上記「残業代計算から除く」7項目に該当しないので、基礎賃金に含め計算されます。

出典:自分で残業代計算表を作ってみよう!! - 残業代計算表の作り方
 これらの手当を1ヶ月に貰った賃金の総額から引いた金額が残業手当の計算基礎賃金となるのです。

1ヶ月平均所定労働時間

 1ヶ月のうちの労働日数は毎月で異なっていますよね。20日の月もあれば21日の月もあります。そこで、1年間を平均して1ヶ月の所定労働時間数を出す必要があります。

 平成13年(365日)の場合
 (365-年間総休日日数)÷12×1日の所定労働時間数

 例:年間休日105日、1日の所定労働時間7時間のケースを当てはめると、
 (365-105)÷12×7=151.6時間が1か月の平均所定労働時間数となります。

出典:労務安全情報センター(これが正しい割増賃金の計算方法だ)
 上記のことに加えて、それぞれの残業に合わせた残業割り増し率をかけてあげれば計算が出来るようになりますね。

実践してみよう

 では最後に、今までのことをきちんと理解出来ているか確認するために練習問題を解いてみましょう。

XさんがY社で月給30万円で働いていました。
Xさんの年間の休日数は101日でした。
雇用契約上の労働時間は,朝9時から18時(休憩1時間)でした。
しかし、ある日、会社の命令で24時まで仕事が長引いたとします。
ここでXさんがY社に請求できる当日の賃金は総額いくらになるでしょう?

出典:残業代に関する知識(残業代の計算方法)|残業代問題相談所
 ここでは手当の金額は分からないので考慮に入れずに、1ヶ月の平均所定労働時間と割り増し率が何%であるかを考える必要がありますね。

まず,時間給を計算します。
所定労働時間8時間で,年間の休日の数が101日ですから,1ヶ月平均の所定労働時間は
8時間 × (365日ー101日) ÷ 12 で,176時間となります。
さらに,月給が30万円ですので,時間給は
30万 ÷ 176 で,約1705円となります。

次に,これを基に,割増賃金を計算してみましょう。 まず,通常の給料として,8525円(1705円×5時間)の支払請求権が発生します。 さらに、19時から22時までの分の時間外手当として、本来の時間給の25%分、すなわち426円の割増手当を1時間ごとにしはらわなければなりません。 それに加え、22時から24時は本来の時間給の50%分、すなわち1時間あたり853円の割増手当を1時間ごとにしはらわなければなりません。 そうすると、Y社はXさんに対し, 8,525円(超過分の時給)+426円×3(22時までの時間外手当)+853円×2(22時以降の時間外手当) =11,509円を支払わなければならなくなるわけです。

出典:残業代に関する知識(残業代の計算方法)|残業代問題相談所
 きちんと正解出来ましたか?今回身につけた知識を生かして自分がどのくらい残業してどのくらいのお金を貰う必要があるのかをしっかりと把握できるようにしましょうね。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する