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うわっ、私の残業代少なすぎ?残業代が出るケース・平均額を調べてみた【出張・接待】

U-NOTE編集部

2018/08/21(最終更新日:2020/06/30)


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「残業時間が増えても、思ったより給料が増えていない」という経験をした人も多いのではないでしょうか。

本記事では、残業・残業代の平均額・計算方法について詳しく解説します。

自分の残業代は正当な額なのかを知りたい人はぜひ参考にしてくださいね。

本記事の内容をざっくり説明
  • 残業の平均時給は「約1180円」平均時間は27.8時間
  • 管理職でも、残業代を貰える場合もある
  • 接待は接待の目的によっては残業代をもらえる

20代、30代のビジネスパーソンたちの残業代事情

転職サービス DODAが運営する「キャリアコンパス」の調査によると、20代の1ヵ月あたりの平均残業時間は27.8時間、平均残業代は32,815円です。

つまり、20代のビジネスパーソンたちは1時間の残業で、平均「約1180円」もらっているという計算になります。

厚生労働省の地域別最低賃金を見ると、最低賃金よりは100円〜400円ほど高いです。

参考:厚生労働省

同じ20代だとしても、残業時間は業界によって様々です。

本記事では、メディア業界・小売・外食業・管理職をしている人をクローズアップして説明していきます。

【20代の残業代事情】メディア業界で働く20代のAさん

うわっ、私の残業代少なすぎ?みんなの残業代の平均額を調べてみた 2番目の画像

まずは、メディア業界で働くAさんの残業事情を紹介します。

メディア業界と一口にいっても新聞や雑誌、テレビやラジオに携わるさまざまな会社がありますが、数ある業界の中でも残業や時間外労働が多いことでも知られています。

Aさんはどれくらい残業して、どれくらい残業代をもらっているのかをみていきましょう。

1ヵ月あたりの平均残業時間は31.0時間、平均残業代は4万8125円。

出典: 20代の残業事情 | 20代の”はたらき”データベース「キャリアコンパス」

上記から平均残業代を時給換算した額が「約1552円/1時間」です。

20代の平均的な時給と比較すると「+372円」と、平均的な残業代よりも高いことがわかります。

【20代の残業代事情】小売・外食業に勤める20代のBさん

うわっ、私の残業代少なすぎ?みんなの残業代の平均額を調べてみた 3番目の画像

百貨店やスーパーマーケットなど、日常生活に密着した業界である「小売業界」。

身近な存在でありながらも、小売業界の現状について把握できていない人も多いのではないでしょうか。

そんな小売業界で働くBさんの残業事情をチェックしてみましょう。

Bさんの平均残業代を、時給に換算すると「約600円/1時間」でした。

先ほどのように20代の平均的な時給と比較すると「−580円」、そしてメディア業界のAさんと比べてみると「−952円」です。

同じ世代であるにも関わらず、会社員のAさんとBさんは残業代においては差が大きく開いてしまっています。

残業はある程度避けられないものであると考え、残業代から職種を選ぶ方法も一つの方法でしょう。

企業によって残業代の異なる20代だが、30代の残業事情はどうなっているのでしょうか。次に、管理職のCさんの残業事情を見てみましょう。

【30代の残業代事情】30代・管理職のCさん

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課長や部長など部門のマネジメントをする役職などを指す「管理職」。

管理職を務めるCさんは、いくら長時間の残業をしたとしても「1円も残業代をもらっていない」とおっしゃいます。

これは法律的に問題ないのでしょうか。

労働基準法では、「管理の地位にある者(以下、管理監督者)」は労働時間等に関する規定の適用から除外されています

つまり、管理職であるCさんに対して会社側は残業代を支払う必要はなく、残業代を支払わなくても違法ではないということになります。

しかし、「管理監督者=管理職」という関係は成り立つのでしょうか?

次は、管理監督者とは何かについてご紹介します。

「管理職」と「管理監督者」は異なる

労働基準法において「管理監督者」は役職名ではなく、職務内容や責任、権限、勤務態様などの実態によって判断されるものと定義されています。

一般的に「管理職」というと、「課長」や「部長」などといった役職名から判断されるもののように思っている人も多いのではないでしょうか。

しかし、労働基準法における「管理監督者」の定義では、役職名からは判断しないと記載されています。

つまり、「管理監督者」と「管理職」は同じ意味ではありません

役職名で判断しない「管理監督者」の定義が法律的には正しいということを覚えておきましょう。

なので、Cさんが残業代をもらえていないことは、Cさんが、本当の意味で「管理監督者」ではないと、不当になります。

小売業、飲食業の管理職で残業代がもらえる場合とは?

小売業や飲食業で管理職を務めている人は、「職務内容、責任と権限」「勤務態様」「賃金などの待遇」について確認してみましょう。

飲食店の「店舗管理者」は、管理監督者ではない場合が多いです。

以下の判断要素に当てはまる場合、管理職であっても残業代が支払われるべきです。

「職務内容、責任と権限」についての判断要素

「職務内容、責任と権限」については採用・解雇・人事考課・労働時間の管理によって判断します。

<採用>
店舗に属するアルバイト・パート等の採用に関する責任と権限が実質的にない。

<解雇>

店舗に属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれていない、関与しない。

<人事考課>

人事考課制度がある企業において、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれていない、関与しない。

<労働時間の管理>

店舗における勤務割表の作成、所定時間外労働の命令を行う責任と権限が実質的にない。

「勤務態様」についての判断要素

「勤務態様」については以下で判断します。


<遅刻、早退等に関する取扱い>

遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる
。

<労働時間に関する裁量>

営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務に自ら従事しなければならない。

<部下の勤務態様との相違>

管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど、労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている。

「賃金等の待遇」についての判断要素

「賃金等の待遇」については、以下で判断します。

<基本給、役職手当等の優遇措置>
基本給、役職手当等の優遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となると不十分である。

<支払われた賃金の総額>
一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である。

<時間単価>
長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト・パート等の賃金額に満たない。

一般企業の管理職で残業代がもらえる場合とは?

小売業、飲食業の管理職についてご紹介してきました。

次は一般企業の管理職で残業代が貰える場合をご紹介します。

当てはまる人は残業手当が必要!管理監督者か否かを判断する3つのポイント

東京労働局では以下の条件に当てはまる人は、社内で管理職とされていても残業手当や休日出勤手当が支払われるべきとしています。

一般企業で管理職を務めている人は、下記の東京労働局が呈する管理監督者の判断要素を満たしているのか否かを確認してみましょう。

当てはまる人は残業手当が必要!管理監督者か否かを判断する3つのポイント
  • 経営者と一体的な立場で仕事をしていない
  • 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けている
  • その地位にふさわしい待遇がなされていない

管理監督者であっても「深夜割増賃金」は支払われるべき

さらに付け加えると、管理監督者であっても深夜割増賃金は支払われるべきものです。

もしも、管理監督者で22時〜5時まで勤務することがある場合は、深夜割増賃金が支給されているかどうかを給与明細で確認しましょう。

業務時間外の「接待」は残業代が出るの?

管理職の残業代について説明してきました。

次は、業務時間外の「接待」について紹介します。

仕事としての接待は、残業代は出るのでしょうか。

法律的に業務時間外の「接待」は残業になる

「仕事で拘束された時間のどこまでが、労働基準法の『労働時間』として認められるのか。学説や行政解釈は、その範囲を『労働者が使用者の指揮監督のもとにある時間』と定義付けています」

出典: 勤務時間外の「取引先との会食」 残業代は請求できる?|弁護士ドットコム ...

業務時間外に行う接待は、法律的に残業として認められ、残業代を請求できるとされています。

ただし、全ての接待が残業として認められるわけではありません。注意しておかなければならないポイントがいくつかあります。

顧客との関係を円滑にすることが目的の場合は残業代は出ない

では、どのようなことに注意すべきなのでしょうか?

一つ目は接待の「目的」です。

会食中に商談がなされる等業務に関わる行為があれば労働時間となりますが、一般的な会食接待であれば顧客等との関係を円滑にする事が主旨ですので、当人には負担になるでしょうが労働時間として取り扱う必要はございません。

出典: 接待時の残業手当 - 『日本の人事部』

接待の目的が、顧客との関係を円滑にすることだった場合、その接待は残業として認められず残業代は請求できないとのこと。

接待を残業代として、請求したい場合はまず接待の目的が何なのか、明確にしておけなければならないでしょう。

会社からの「参加指示」が出たら労働時間になる

また、会社から「接待に参加するように」と指示がなければ、業務時間外の接待は労働時間として認められず、残業代を請求できないともされています。

労働時間として判断されるのは、会社が強く参加指示を行っている場合に限られるものと考えられます。

出典: 『接待』は労働時間か? - サービス残業対策サポートセンターQ&A

以上のことをまとめてみると、業務時間外の接待が労働時間として認められ、残業代を請求するためには、下記のポイントが重要になります。

「判断のポイントは、(1)義務性、(2)業務性、(3)指揮監督性の3つをすべて満たすかどうかです。」

出典: 勤務時間外の「取引先との会食」 残業代は請求できる?|弁護士ドットコム

この3つのポイントが満たされているかどうかで、業務時間外の接待を残業代として請求できるかが変わってきます。

3つのポイントから、自分が参加した接待に残業代がつくかどうか、判断しましょう。

出張中の勤務時間や、残業代はどう計算するの? 

普段の仕事と違って、出張の場合どうなのでしょうか。

次は、出張中の勤務時間や、残業代についてご紹介します。

出張中の勤務時間の算出方法

出張の際の勤務時間は、労働基準法上では所定労働時間での労働とみなします。

そのため、会社での一日の労働時間が8時間であれば、8時間労働ということになります。

出張中の仕事は直接管理できないため、法的上の文言でも「みなす」という表現を用いています。

出張申請時に、業務内容や移動スケジュールなどを申請内容を上司や管理職の人がチェックします。

業務内容はもちろん、出張日数に応じる日当の金額、移動スケジュールの確認なども事前に報告しなければなりません。

移動時間に残業代はつくの?

出張には日帰りの場合と宿泊の場合があります。

ここでよくある疑問が、移動時間に残業代は発生するのかということです。

移動時間では、会社から業務命令が下っている場合は残業代の対象となります。

しかし、業務命令がなれけば残業代の対象とはなりません。

単に移動だけの場合は労働基準法上では休憩しているものと認識されるからです。

つまり、終業時間内に会社に戻れる予定なら通常の出勤になり、遠方への日帰り出張の場合でも、移動中は業務の対象にはならないので、夜遅く帰宅することになっても残業手当の申請はできません。

しかし、出張についての規定で日当を支給する旨の取り決めがある場合は、出張規定により日当の申請ができますので、就業規則や出張規定を確認して下さい。

残業代ってこんなに差が開いていて大丈夫なの?残業代の計算方法は?

うわっ、私の残業代少なすぎ?みんなの残業代の平均額を調べてみた 5番目の画像

次は、上記の例のAさんとBさんの残業代に差があることについて説明します。

「残業代に差が開いている」ことが「法律的に違法か否か」を検証してみましょう。

就業規則に定められた所定労働時間をオーバーしたのが「時間外労働=残業」

そもそも会社には「就労規則」という決まりがあります。

就労規則では、会社独自の労働時間や賃金等が定められており、その中の一つである「所定労働時間」からオーバーした労働時間が「時間外労働」となります。

「時間外労働=残業」となった場合には、割増賃金が支払われます。

時間外労働における割増賃金の計算方法は以下の通りです。

残業代の計算方法は?

(1ヵ月の給与÷1ヵ月の平均所定労働時間)×割増率×残業時間=残業代

出典: 第2回給与計算教室 ~残業代を計算してみよう - みんなの給与計算教室

上記の計算式通りに残業代を計算しても、依然としてAさんとBさんの残業代には差が生じてしまいます。

なぜなら、1ヵ月の給与と1ヵ月の平均所定労働時間が会社によって異なっているからです。

フレックスタイム制の残業時間の計算方法

フレックスタイム制は、定められた労働時間を超えてもいい事になっています。

それでも、1ヵ月のトータルの労働時間は労働基準法の制限内で行われるものです。

この1ヵ月の労働時間の計算方法は、「7日で40時間」を目安とします。

例えば、31日の月の場合、31日÷7日×40時間=177.1時間となります。30日の月では、30日÷7日×40時間で171.4時間、29日の月だと同様の計算で165.7時間、28日の月は160時間という事ですね。

特例措置対象事業(卸売業や小売業、病院や老人ホーム等で、常時雇用する労働者の総数が10名以下の会社)の場合は一週間に44時間なので、少し計算方法が違いますが、その場合でも上記の計算式に当てはめれば、1ヵ月の労働時間の上限の時間が導き出せます。 

30分以上の残業時間の切り捨ては法律的にNG

第二十四条  賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

出典: 労働基準法

労働基準法の第24条には、 賃金は全額支払う必要があると示されています。

ここの解釈がポイントで、「全額支払う」ということは、 給料が発生している時間を切り捨てはならないという解釈ができます。つまり、本来は残業時間の切り捨てはいけないということになります。

しかし、現実的に、1分、もしくは1秒単位で給料を計算することは難しいですよね。そのため、厚生労働省も通達を出しています。

1. 1か月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
(中略)
3. 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、2と同様に処理すること

出典: 職場のトラブルQ&A ~時間外労働の端数処理~ | 福井県ホームページ

現実的には、 30分以上の残業時間の切り捨ては許されていません。たとえば、1ヵ月の残業時間が40時間35分だとしたら、41時間分の残業代を支払う必要があります。

月60時時間以上の残業は割増料金が必要 

平成22年に労働基準法が改正されて、条文が増えました。

第三十七条  (中略)ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

出典: 労働基準法

条文によると、 残業時間が月あたり60時間を超えた場合は、賃金を5割増し以上で支払う必要があると記述があります。以前は、一律で25%増となっていましたが、大きく増額されています。

AさんとBさんに残業代の差が生じた原因は「給与と平均所定労働時間」

1ヵ月の給与と一括りにしても、会社ごとに異なる「手当」が支払われています。

「家族手当や通勤手当、住宅手当」などがあります。

また、1ヵ月の平均所定労働時間は、会社の休みの日数が数字を左右します。

つまり、平均所定労働時間や給与に含まれる手当などが会社によって異なるため、AさんとBさんとの間に残業代が生じていたのです。

ビジネスマンとして残業代の計算方法を把握しておこう

本記事のまとめ
  • 出張や接待は「条件」によって、残業代が支払われるべき
  • (1ヵ月の給与÷1ヵ月の平均所定労働時間)×割増率×残業時間=残業代である
  • 職種や会社によって残業代は違ってくる


自分がもらっている残業代は、AさんやBさんと比較してみてどうだったでしょうか。

上記のことから、労働基準法を守っていても、会社や職業によって残業代には差が開いてしまうということがわかります。

もし自分の残業代に疑問を感じたら「就業規則」を見直してみるとよいでしょう。もしかしたら就業規則の中に、会社と交渉できるポイントがあるかもしれません。

 

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