1. “出向”の意味は?給与の扱いはどうなる? 出向後の給料&転勤との違いを徹底解説

“出向”の意味は?給与の扱いはどうなる? 出向後の給料&転勤との違いを徹底解説

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 企業に勤めていると「出向」を言い渡されることもあるだろう。出向する際にはわからないことも多いはずだ。

 今回は、出向の意味や出向先での給料・給与の扱いについて説明していきたい。

 本記事で出向に関する疑問を一つずつ解決していこう。

そもそも「出向」の意味とは

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「出向」の意味

 出向とは、「会社の業務命令などにより、所属は元の企業のままの状態で、子会社やグループ企業などの別の会社の業務に従事すること」を意味する。

 出向は通常、期限を設定されて実行されることが多く、いわゆる期限付き移籍に近い形だ。

出向した後の指揮命令権は「出向先」にある

 出向期間は基本的に出向先企業の一員として働くことになり、もともと所属していた会社の仕事を担当することはない。

 業務上の指揮命令権は出向先企業にあるため、出向してから業務内容が変わる場合もあるだろう。

 出向の理由はさまざま。出向をどのようにとらえるのかは、企業によって異なる

 出向を出世に不可欠なステップとして利用する企業もあれば、一度出向すると出世競争から外れてしまう企業もあるのだ。

押さておきたい出向の意味

  • 会社の業務命令などにより、所属は元の企業のままの状態で、子会社やグループ会社などの別の会社の業務に従事すること
  • 基本的に出向先企業の一員として働く
  • 出向のとらえ方は企業によって異なる

「出向」「長期出張」「転勤」「派遣」の違いとは?

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 「出向」は、所属する会社以外の場所で仕事をする「社外業務」のうちの一つ。

 そんな社外業務の中には、「長期出張」や「転勤」なども含まれるのだ。

 では、「出向」「長期出張」「転勤」の3つにはどんな違いがあるのだろうか?

「出向」と「長期出張」の意味の違い

 「出向」と「長期出張」の意味の違いは、「所属先」にある。

 長期出張は会社の一員として別の場所で業務に携わるため、転籍などは行われない。

 出向先に転籍する出向とは異なり、長期出張では長期出張を言い渡した会社に所属したまま社外業務を行う

 そのため、目的が達成されれば元の勤務地に帰って仕事を続けることになる。

 長期出張の期間に明確な規定はないが、長期出張扱いにすることで日当が変化することもあるため、会社によって「出向」「長期出張」の取り扱いが異なるのだ。

「出向」と「長期出張」の違いは「所属先」にある

  • 出向:出向先に転籍する
  • 長期出張:長期出張を言い渡した会社に所属したまま社外業務を行う

「出向」と「転勤」の意味の違い

 「出向」と「転勤」の意味の違いは、先と同じく「所属先」にある。

 転勤とは「同じ会社内の異なる勤務場所に、勤務地が変更になること」であるため、出向のように転籍することはない。

 転勤は持続性のある社外業務であるため、転勤後は新しい勤務場所で働くことになる。

 ちなみに、現在の住居から通勤可能な場所に勤務場所が変わった場合は「勤務先変更」と呼ばれるため、「転勤」とは少し異なるようだ。

「出向」と「転勤」の違いも「所属先」にある

  • 出向:出向先に転籍する
  • 転勤:同じ会社の異なる勤務場所に、勤務地が変更になる

「出向」と「派遣」の意味の違い

 「出向」と「派遣」の意味の違いは、「契約関係」にある。

 出向では、元の雇用主と労働者に雇用関係があり、出向元と出向先の間で出向契約が行われている

 労働者側からみれば、出向元・出向先の両方に対して労働契約関係がある状態なのだ。

 一方、労働者派遣では、使用者としての責務・権利は派遣元にあるが、労働者に対する権限は派遣先にある

 つまり、派遣では雇用者と使用者が異なるのだ。

 労働者派遣は出向とは違い、雇用関係は派遣元と労働者の間にのみ存在し、派遣先と労働者の間には使用関係のみ存在している。

「出向」と「派遣」の違いは「契約関係」にある

  • 出向:元の雇用主と労働者に雇用関係があり、出向元と出向先の間で出向契約が行われる
  • 派遣:使用者としての責務・権利は派遣元にあるが、労働者に対する権限は派遣先にある

 そのため、出向と派遣とでは、時間外労働に対する扱いも異なる

 出向では、時間外労働をさせるための協定は出向先のものが適用されるので、出向した労働者は出向先の労働者と同様に残業しなければならない

 労働者派遣は、派遣元事業場で残業を認めていなければ、派遣先で残業をさせることはできないのだ。

在籍出向と労働者派遣を判断する為の基準

  • 出向先が指揮命令権をもっていること
  • 出向先が賃金の一部でも支払っていること
  • 出向先の就業規則や36協定が適用されること
  • 出向先と出向労働者の間で労働条件の変更が可能なこと
  • 出向先で保険(社会・労働)に加入していること

出向先での給料・給与の扱いはどうなる?

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出向における給与元の扱い

 税務上、給与の支払いは「どこに労働を提供した結果得た給料か」をもとに課税関係などを決定する

 そのため、出向先でフルタイム勤務する場合は基本的に「出向先が負担する」ということになるのだ。

 上記のような出向者への給与は「給与負担金」——税法上における「損金」の扱いで会計処理される

 出向者への給与が「給与負担金」が損金に算入される場合、

出向先が給与を支払う場合に知っておきたい「損金」のこと

  • 会社から出ていく費用や損失などのこと
  • 損金に算入されるもの:「原価」「費用(販売費、一般管理費、その他)」「損失」

 出向先でフルタイム勤務をしている人の給与を出向元企業が全額負担する場合には、「寄付金(出向元→出向先)」という扱いになる。

出向元が給与を支払う場合に知っておきたい「寄附金」のこと

  • 【法人税で「寄附金」扱いされるもの】
    「金銭や他の資産の贈与」「無償による経済的利益の供与」「資産の低廉譲渡」「低廉の経済的利益の供与」
  • 寄附金は多額の「追徴税金」を伴う

 出向者の給与を出向先企業が払うのか、出向元企業が払うのかは、その時の取り決めによって異なる

 出向する前に出向元と出向先の給与負担関係を確認しておくといいだろう。

出向者が「出向先企業の役員」になっている場合の給与

 では、出向者が出向先企業で役員となっている場合の給与はどうなるのだろうか?

 役員報酬とは、役員の仕事に対して利益の有無に関係なく会社が支払うものだ。

 つまり、会社運営のための経費であるため、税法でも「損金」という扱いになるのが一般的である。

 一方で、会社の業績向上に貢献した人に支払われるボーナス(賞与)は損金不算入となるので、出向先企業で役員となる人は覚えておこう。

出向先企業が役員給与を「損金に算入するための要件」

  • 出向先企業の株主総会、社員総会またはそれに準ずるもので、役員の給与額などの決議がされていること
  • 出向者の「出向期間」「給与負担金(給与)の額」があらかじめ出向契約などで定められていること

出向における給与水準は「出向先」「出向元」どちらに合わせる?

 出向後の給与は、基本的に「出向先の給与水準に合わせて給与額が決定」する。

 出向者は給与水準以外にも就業規則などは出向先企業に従うことになるため、籍の所在以外は出向先企業の社員と同じように扱われることになるだろう。

出向理由によって異なる給与の扱い

 ただし、必ずしも給与水準を出向先企業の水準に合わせているわけではない。

 給与の取り扱いは出向先企業と出向元企業の話し合いによって決定されるため、以前と同じ給与水準のまま出向することもあるのだ。

 経営不振の子会社を立て直すために出向で送り込まれるようなケースでは、出向者は出向元企業で働いていたころと同じ水準の給与を受け取るのが一般的である。

 また、出向先企業が給与を支払う場合でも、出向元企業の給与水準に満たない部分のみを出向元企業が負担することも可能だ。

 出向先が経営不振でボーナスが出ないような場合でも、出向元企業でボーナスが支払われている場合は、ボーナスを受け取ることもできる。

 このように、出向時の給与の扱いに関しては、その時の出向理由によって扱われ方が大きく異なるのだ。

出向における給与水準とは

  • 基本的に出向先の給与水準に合わせて給与額が決定する
  • 出向理由によっては、出向元企業で働いていた頃と同じ水準の給与になる

出向先に転職するのはあり? 知っておくべき出向のルール

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出向における「法律上」のルール

 法律上のルールとして、出向先に直接転職をするということを禁止している規定はない。

 しかし、その他の法律上のルールから、出向先に転職することは芳しくない

 なぜなら、出向先が現在勤めている会社と競合関係にあると、社員の持つノウハウや会社の情報が流出して、元の会社に損害が及ぶ可能性があるからだ。

 そのようなときに、元の会社の就業規則で取り決めがある場合は、民事上の損害賠償責任などの法律上の責任を問われることがある。

法律上の出向のルール

  • 出向先への直接転職を禁止する規定はない
  • その他の法律上のルールから、出向先に転職することは芳しくない

出向における「社会的」なルール

 法律上、出向先に転職することは違法ではないと先述したが、社会的ルール面から見ても、先と同様にあまり芳しいものではない。

 転職そのものは社員の自由だが、出向先となると問題が生じる可能性がある。出向元からすると「人材の引き抜き」という損失になりかねないのだ。

 出向先に転職を考えている場合は、出向元ときちんと相談を重ねることをおすすめしたい。

社会的な出向のルール

  • 出向先への転職はあまり芳しいものではない
  • 出向先への転職は出向元と相談することが望ましい


 大きな企業に勤めている場合、どんな人にも言い渡される可能性がある「出向」。

 意味や給与のルールなどをきちんと確認して、どんな状況でも力を出せるように準備していこう。

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