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能力不足では解雇されない?能力不足によって解雇をされる時の理由

Tobayashi

2014/05/11(最終更新日:2014/05/11)


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by pgpdesign (paul)
 使用者(企業)が労働者を解雇する理由の一つとして、能力不足があります。能力不足とは、労働者が本来使用者(企業)に対して提供するはずの労働が提供できない、いわゆる債務不履行の中の「不完全履行」と呼ばれる状態、つまり賃金に見合った働きができていないということです。 ここでは、どのような能力不足が解雇理由になるかについて考えてみたいと思います。

能力不足の定義 

 一般に、能力不足は以下の2つと定義されます。 

 1.能力不測の程度が甚だしいこと。
 2.該当する労働者と同じような能力の労働者が他に存在しないこと。

 例えば、「入社以来一貫して営業成績が他の社員に比べてダントツに悪い」、「入社以来一貫して顧客からのクレームが他の社員に比べてダントツに多い」などです。しかし、そのような労働者は実際にはなかなかいません。 

 通常は一時期でも他の社員と比べて優れていた時期があったり、他の労働者と同等に業務を行える時期があるものです。その場合、上記の2項目を客観的に証明することは非常に困難になります。よって、能力不足の定義は非常に難しい問題であると言えます。

能力不足が解雇理由となる条件

 仮に上記の能力不足に該当する労働者がいた場合でも、能力不足で解雇とするには、以下が明確になっていなければいけないとされています。 

1.就業規則の解雇理由に明記されていること。 
2.使用者(企業)が該当する労働者の能力で遂行可能と思われる業務を与えたり配置を考慮するなど、解雇を可能な限り回避するように努力していること。 
3.使用者(企業)が該当する労働者に対して教育し、能力不測の是正機会を与えてもその能力が改善されないこと。 

 使用者(企業)には、その能力不足を改善させる義務があるということです。しかし、これらも使用者(企業)によっては部署構成やコストなどの問題から、明確に証明することは難しいとされています。

能力不足は解雇理由になりにくい 

 能力不足は、さらに2つの理由によっても解雇理由になりにくくなっています。 

1.採用段階でその能力を一度は認めたことになるから。 
2.日本の採用環境は、新卒中心でプロフェッショナル採用は少ないから。 

 まず、採用されたということは採用過程でその能力を認めたことになるという見解があります。 したがって、そのあとに能力不足を言い出すのはおかしいということになります。 

 また、日本の場合は雇用の中心にあるのは新卒採用です。中途採用で専門的な人材を採用したとしても、例えば職務を限定して採用するなどの採用方法は少なくなっています。 そうなると、能力不足を解雇理由とすることが難しくなるのです。 

 これが専門的な人材、もしくは最初から高いレベルを求めるマネージャー職として採用された場合は、比較的能力不足を証明しやすくなります。しかし、そのような専門的な人材は自らの意思で退職や転職を考えることが多く、逆に解雇されるまで残ろうと考える人材は少ないと言えます。

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