1. リーダーシップとは“信頼”である:経営学の巨人・ドラッカーに学ぶ「リーダーシップの定義」

リーダーシップとは“信頼”である:経営学の巨人・ドラッカーに学ぶ「リーダーシップの定義」

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 経営学の巨人ともいわれる「ピーター・ドラッカー」。

 100年以上も前に生まれたドラッカーは「現代経営学」「マネジメント」を発明。彼の経営論やリーダーシップ論は、今でも多くのビジネスパーソンたちから支持を集めている。

 今回は、そんなドラッカーの言葉を通じて「リーダーシップとは何か」ということを学んでいきたい。

 ドラッカーからリーダーシップの考え方を学び、一般的に語られるリーダーシップ論とは違った見方でリーダーシップというものを捉えよう。

ドラッカーに学ぶ「リーダーシップ」の定義①

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リーダーシップの定義①:リーダーシップとは「仕事」である

リーダーシップは資質ではなく仕事である

出典:P.F.ドラッカー『現代の経営』

 ドラッカーは、リーダシップに必要な第一の要素を「仕事」であると定義している。

 生まれながらの「資質」「カリスマ性」などは、セールスマンシップのような“扇動的資質”に過ぎない。

 「組織の方向性を示す指導力、優先順位を決める判断力、基準を定める決断力——それらを“仕事として”発揮できる人が「リーダーシップのある人」なのだ。

「リーダーシップ」≠「生まれつきの才能」ではない

リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
もちろん、妥協することもある。

出典:P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

 リーダーシップとは「仕事」であり、生まれつきの才能ではないというのがドラッカーの考えだ。

 自らは設定した目標、優先順位、基準を、時に妥協しつつも維持することが、ドラッカーにとってのリーダーシップなのである。

ドラッカーに学ぶ「リーダーシップ」の定義②

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リーダーシップの定義②:リーダーシップとは「責任」である

リーダーたることの第二の要件は、リーダーシップを、
地位や特権ではなく責任と見ることである。
優れたリーダーは、常に厳しい。
ことがうまくいかないとき、そして何事もだいたいにおいてうまくいかないものだが、
その失敗を人のせいにしない。

出典:P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

 「最終責任は私にある」というハリー・トルーマン(アメリカ合衆国 第33代大統領)の言葉を“リーダーの本質を示す言葉”として引用したドラッカーは、リーダーシップの第二要件を「責任」であると定義した。

 「組織的活動におけるリーダーシップの本質が“責任”にある」という言葉は、リーダーは部下の行動を保証し、支援する存在でなければいけない、ということを意味している。

 リーダーが責任を取ることで「部下を激励し、前進させ、自らの誇りとする」状態が実現し、部下が自由に活動できるようになるのだ。

 リーダーが責任をとることが、より良い方向へと組織は進んでいくことが可能になるのだ。

ドラッカーに学ぶ「リーダーシップ」の定義③

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リーダーシップの定義③:リーダーシップとは「信頼」である

リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである

出典:P.F.ドラッカー『未来企業』

 ここでいう「つき従う者」、企業や組織でいう部下は、強制力をもって従わせられた者ではない。

 「信頼をもって、つき従う者」のことを指している。

 つまり、ドラッカーは「部下から信頼を集めるのがリーダーシップであり、部下からの信頼を集める人間こそリーダーである」と、リーダーを定義しているのだ。

 「部下からの信頼を集める人間=リーダー」という定義は、現代のビジネスパーソンでも大きく頷くような定義なのではないだろうか。

ドラッカーの「リーダー」に関する唯一の定義こそ「マネジメントの基本」

 信頼の上に成り立つリーダーシップは、上司と部下との関係において最も基本となる定義だ。

 ドラッカーは、「信頼によって成り立つリーダーシップ」を「マネジメントの重大な前提条件」と位置付けている。

 信頼こそがリーダーシップの基本であり、マネジメントの前提条件なのだ。

【まとめ】ドラッカーの定義から考える「リーダーシップの意味」

  • 「組織の方向性を示す指導力、優先順位を決める判断力、基準を定める決断力」などを“仕事として”やれること
  • 失敗を人のせいにせず、自らが責任を負うこと
  • 部下から「信頼」を集めること

「リーダーシップ」に悩める人に贈るドラッカーの名言

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ドラッカーが考える「本当のリーダー」

 上司と部下という関係、組織の中で働いていると、上司も部下も「本当のリーダーとは何か?」「その人(自分)は“本当のリーダー”なのか」と考えることもあるかもしれない。

 ドラッカーは「真のリーダー」を以下のように定義している。

真のリーダーは、他の誰でもなく、
自らが最終的に責任を負うべきことを知っているがゆえに、
部下を恐れない。

ところがエセリーダーは部下を恐れる。部下の追放に走る。

優れたリーダーは強力な部下を求める。
部下を激励し、前進させ、誇りとする。

部下の失敗に最終的な責任をもつがゆえに、
部下の成功を脅威とせず、むしろ自らの成功と捉える。

出典:P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

 責任を負えるからこそ、リーダーは部下を恐れない。

 自分の地位、立場などの“ポジション”を大事にしているエセリーダーなのか。はたまた部下を恐れず、誇りとする真のリーダーなのか。

 「本当のリーダーとは?」と悩んだときは、ドラッカーの定義した「真のリーダー」を基準に考えてみると、自分なりの答えが出るかもしれない。

ドラッカーが考える「リーダーに求められるもの」

 リーダーとしての素養を身に着けよう——そう決意しても、世の中には「リーダー論」なるものがごまんとある。

 数あるリーダー論の中でも、経営の巨人であるドラッカーは「リーダーシップを支えるもの」について以下のように説く。

リーダーシップは賢さに支えられるものではない。

リーダーシップは一貫性に支えられるものである。

出典:P.F.ドラッカー『プロフェッショナルの条件』

 「リーダー」を目指すビジネスパーソンの中には、頭の良さや知識量などの“賢さ”の部分に自信がない人もいるかもしれない。

 しかし、ドラッカーが説くように「リーダーには“賢さ”よりも“一貫性”」が求められるのだ。

 不器用でも、筋が通っていて一貫性があれば、人からの信頼を得られる。

 組織のリーダーやプロジェクトのリーダーに任命されたとき、「一貫性を持つ」ということを第一の行動指針にしてほしい。


 「リーダーに関する唯一の定義は、つき従う者がいるということである」という言葉はドラッカーの考えるリーダー像を最もよく表した言葉だ。

 ドラッカーはリーダーシップというものを、それ以前に考えられていたような「限られた人間だけが持つカリスマ性」というように捉えることはせず、あくまでも立場によって形作られるものと定義した。

 この定義において重要視されるのは、人が進んで付き従いたくなるような人間的魅力であり、強制力を伴わない支配ともいえるものである。

 「3つの定義さえ満たせばリーダーシップは成立する」——ドラッカーのシンプルな思考は、現代においても輝きを失っていない。

 本記事のドラッカーの言葉たちを参考に、今一度「リーダーシップとは何か」ということを考えてみよう。

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