1. 「上がる?」「下がる?」マルチタスクと集中力の関係性

「上がる?」「下がる?」マルチタスクと集中力の関係性

by Ian Sane
 マルチタスクとは複数のことを同時にすることを言います。現代ではパソコンでメールチェックをしながら電話をしたり、複数の案件を同時に抱えて仕事を進めるといったことは当たり前になっており、ある意味誰でもマルチタスクを行っていることになります。

 しかし、マルチタスクは集中力が続かず理論的には非効率だとも言われています。なぜでしょうか。

1. 集中力が続かない理由

 脳科学の研究で、マルチタスクは人間の脳には不向きであり、複数のタスク処理を同時に行うとパフォーマンスが著しく低下する、ということがわかってきました。理論的には複数のタスクを同時に行うよりも一つのタスクに集中したほうが効率がよいのですが、最近の研究によると、「人間は複数のタスクを同時に処理している自分に満足感を覚える傾向がある」ということもわかっています。

 実際、学生たちのグループで実験を行ったところ、シングルタスクのグループのほうがパフォーマンスは上でしたが、マルチタスクのグループのほうが満足感は高いという結果が出ています。このことから、効率がよいとわかっていても、人間は1つのタスクに集中できないということがわかります。これは集中力が持続しないためです。人間の集中力の持続時間は30分から90分と言われているので、それ以上に処理に時間がかかると目の前のタスクに飽きてくるためなのです。

 そのため、人は気になるタスクを同時に進めようとしてしまい、結果としていずれも完了まで集中力を継続させることができずにタスク処理のパフォーマンスが下がってしまうのです。マルチタスクの効率が悪いと言われるのはこのためです。

2. 慣性の法則-目標付近での集中力の向上-

 一方で、仕事をしていて終わりが見えてくると、勢いがついたり集中力が上がったりすることもあります。心理学でいう「目標勾配」という現象です。マルチタスクは集中力が続かないために非効率である、とも言われていますが、目標勾配現象のおかげでひとつのタスクの終り頃に集中力やテンションがアップしている状態だと、しばらくその状態が持続できるので、他の仕事もいつもより早く片付けることもできます。これがマルチタスクにおける「慣性の法則効果」と言われるものです。

 慣性の法則を利用するなら、完了間近の仕事と始まったばかりの仕事を組み合わせてみたり、一つの仕事が終わったあとに休憩をはさむのではなく、勢いがあるうちに他の仕事をやると早く進めることができます。

 以上が、マルチタスクと集中力の関係性です。マルチタスクは人間の脳では行うことができず、正確にはタスクのスイッチを切り替えて行う「スイッチタスク」であると言われています。そのため一つのタスクへの集中力がタスク処理効率を左右するでしょう。

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