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企業のマーケティングにおける「後追い戦略」がもたらす効果と注意点

Shingo Hirono

2014/04/08(最終更新日:2014/04/08)


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by MikeBehnken
 マーケティングには様々な手法が存在しますが、その中の一つに「後追い戦略」というものがあります。後追い戦略とはその名の通り「他の企業が成功した戦略を後からなぞる」戦略です。後追い戦略は卑怯、という考え方もありますが、必ずしもそうとばかりは言えません。ケースによっては後追い戦略が最適なマーケティング戦略である場合もありますし、後追い戦略にしかないメリットも存在するのです。今回は、マーケティングにおける後追い戦略の効果を紹介します。

初期費用が不要

 マーケティング戦略にはコストがつきものですが、最もコストがかかるのがプロジェクトの初期段階。そのプロジェクトに必要な情報を収集・分析し最適な戦略を練る必要がありますから、初期費用はどうしても高くついてしまいます。後追い戦略を採用した場合、この初期コストをゼロあるいは非常に低く抑えることが可能になるのです。

 大手飲食チェーン店が開店したエリアを狙って近所に店をオープンする、という後追い戦略を採用している飲食チェーンが実在しますが、このケースではエリアが飲食店の開業に向いているかどうかの調査にかかる費用を節約することに成功しています。先行企業がコストをかけて調査した結果として新店舗を開店するエリアを決めているのですから、後追い戦略として同じエリアに開店すれば調査にかかるコストにただ乗りできるのです。

リスクの回避

 後追い戦略では、常に先行企業の成功を確認してから市場に参入することになります。全く新しい商品やサービスを販売する場合、市場において消費者がどのような判断を下すのかは大きなリスクになりますが、後追い企業は先行企業の売り上げや消費者の反応を確認してから市場に参入することが可能です。

 新しい商品やサービスはまったく消費者に受け入れられないというリスクを抱えていますが、後追い戦略を採用することによって先行企業をモデルケースとして利用することが可能になり、市場に潜むリスクを回避することが可能になります。

 ただし、この場合は先行企業による優位性を許してしまうことになり、必ずしも後追い戦略が優位とは限りません。リスクを恐れるあまり市場への参入が遅れてしまうと、先行企業がすでに市場の独占的支配を完了してしまい、後から企業が参入する余地が無くなっている可能性があることも理解しておきましょう。

開発費の抑制

 先行企業をモデルケースとして生かすことができれば、より良い製品を低コストで開発することが可能です。その製品が革新的なものであれば新しい市場への参入が可能になり、先行企業が掘り起こした新たな顧客層を活用することが可能です。この場合の後追い戦略は、「商品の開発→改良→発展」というサイクルを短縮する効果が期待できますが、革新的な製品の場合は先行企業が特許という形で優位性を獲得するため、後追い戦略の効果は限定的なものにとどまります。


 マーケティングにおける後追い戦略はあまりいいイメージを持たれておらず、どちらかというと否定的にとらえられている戦略です。しかし、後追い戦略の方が正しいマーケティングであるケースも少なくありません。

 企業の利益を考えれば、リスクとコストは最小限に抑えることが求められます。後追い戦略はリスクとコストの両方を抑えることが可能になる戦略です。使い方さえ間違えなければ有効な場面の多いマーケティング戦略なので、頭から否定せずに一つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。

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