1. リリース戦略は非効率?ーインティメート・マージャーCEO簗島氏が語る「数字に基づく改善戦略」

リリース戦略は非効率?ーインティメート・マージャーCEO簗島氏が語る「数字に基づく改善戦略」


 売上やKPI、経営に関わる数字を扱いきることが出来るかどうかは経営状態を大きく左右する。必要なデータを適切な範囲で採取し、目標を決め指標として活用していくフローの中で果たしてその数字を活かしきれているだろうか。

 今回は、スタートアップへのシード投資を行うMOVIDA JAPAN主催のMOVIDA SCHOOLにて、GREE株式会社・株式会社フリークアウトを経て株式会社Intimate Mergerの代表取締役としてオーディエンスデータを用いた商品企画・活用の事業を展開する簗島 亮次氏が「ユーザー脱落率の視点」からデータと数字を正しく定め活用する方法を述べる。

日本で一番脱落率の高いページの作り方

 かつてのGREEの退会ページをご覧になった事があるだろうか。【本当に面倒なグリーの退会方法!!】などで取り上げられる程、退会がしにくく脱落率が高いページになっている。

 退会ページでの脱落率が高いという事は、既存ユーザーが減りにくい。一度退会を考えたユーザーも退会ページから脱落後一時期はサービスを使用しなくなっていてもまた興味のあるコンテンツが出た場合、アクティブなアカウントとして復活する見込みがあるのだ。

 リソースを割いてコンテンツのリリースを行い続け、新規ユーザーを確保していったとしても同じだけユーザー数が減っていれば元も子もない話になってしまう。そこでGREEの過去退会ページの分析から、「見て欲しいページ」「見て欲しくないページ」の作り方を追っていく。

1、TOPページ下の「ヘルプ」が退会への入り口

 踏んで欲しくないリンクはページフッター部分に設置する。つまり、踏んで欲しいリンクがある場合はTOPページUIのヘッダー部分に設置をするとCTRが上がる。

2、カテゴリの中の「登録・退会・紹介」の「退会」を選択する

 退会をクリックすると、ヘルプが表示されるようになっており「退会」に関する情報が一覧で出てくる。目的に似た情報を提示されているとユーザーが気をそらしやすくなるのだ。ただし、あくまでも複数の情報を出してコンバージョンを下げる場合は文脈が正しい中で行うことが大切だ。退会のヘルプに「登録するにはどうしたら良いか?」の文章が出ていては意味の通らないページになってしまいユーザーに不快感を与えて」しまうだけだ。

 実際に1ページに1つの情報を出した場合と複数の情報を出した場合では前者の方が圧倒的CTRを得る事になる。つまり、CTRを得たい場合には情報を分散させない事がポイントだ。

3、退会説明の「こちら」という文字リンクから次の画面へ進む


 「こちら」という文字リンクにはアイコンを合わせても下線が出るなどの事はない。当然だが見つけにくいリンクはクリックしてもらえない。また一つのWebページでクリック出来る場所を同じ形に統一しない場合コンバージョンは下がる。

4、退会アンケート10項目の中の3項目が退会出来る項目

 アンケート選択の画面が表示されるのだが10項目中程度のうち3項目のみが正当な退会理由として受理される。その他の選択肢は「どうしたらユーザーの悩みを解決出来るかというページ」へリンクしている。項目を増やす事により、選択をユーザーへ求め脱落率が上がる。またユーザーに情報を与えアクティブユーザーを増やす仕組みである。

5、更に退会アンケートをフリー項目として設けている

 フリーアンサーのデータは入力コストが高い。またこの項目には「※必須項目」などの記載はなく空欄でデータを送信しようとすると必須項目である注意文が表示される。

 入力コストが高い項目を設けることにより脱落率が上がり、さらに必須項目を設けることによって正当な退会以外を認めない仕組みだ。

 つまり申し込みフォームや登録画面を作成する際はむやみにフリーアンサーの項目を設置しているとコンバージョンが下がってしまう。また結果的に必須項目などを事前に知らせておかないとユーザーがストレスを感じる場合もある。

6、きちんと退会出来る

 フリー項目を入力してむやみにユーザーを追いかけたり、不必要な情報提供を行わないようにする。脱落率を下げる事はあくまでもユーザーの退会を強制的にやめさせる事ではない。またここでのサポートコストも念頭に入れる必要が出てくる。

 結果、この戦略を行ったところユーザーが退会ページを訪れた後、退会をする数が役半分に減ったそうだ。退会者数を減らす事によりコンテンツのACTを増やすというリリースをし続ける戦略ではないアプローチを同時に行っていく事は非常に重要なのではないか。

プロセスの明確化と改善プロジェクト

 上記のように戦略を行うとして、その際にありがちな注意項目が

1、達成したいKPIが決められていない
2、達成したいKPIが分解されていない
3、分解されたKPIがシステム上に存在しない
4、細かく分けられすぎていて数値目標が最終目標に対して影響がない
5、対象となるKPIの抽出に数日単位で掛かってしまう
6、KPIを出す為に都度月/人がかかる
7,導入したツール間で数値が合わない

 ということである。心あたりがあるものも多いのではないか。プロジェクトで「満足度を上げる」といったような目標をたてる、全体売上にKPIを設定してしまう、さらにKPIを出すために時間がかかってしまう。といったような事だ。このような事になってしまってはせっかく施策をたてても台無しである。

プロセスを明確化し、改善プロジェトを行うには下記を参考にすると良い。

プロジェクト化する必要があるか

そもそもどの程度の数字的改善がみられるプロジェクトなのか

改善対象のKPIが見える化されているか

適切な粒度でKPIを切り、アクションプランに移していくことが出来ているか

改善プロジェクトに責任者が1人存在しているか

AとBのサンプルが上がった時に最終的な意思決定をする配置をしていない場合、スピード感を損なう恐れがある

改善に必要なリソースがプロジェクトにアサインされているか


 改善案の評価を行うための承認会議を短いスパンで実施し、改善が完了したら速やかに解散または別の改善プロジェクトにキックオフすることも改善プロジェクトチームにおいては必要となる。

 データと上手く付き合っていくには、プロジェクトに対して最適な粒度でKPIを切ることが重要だ。そのKPIの設置基準が全体売上なのか1コンテンツの売上なのか、1コンテンツの機能による売上なのかプロジェクトによってどこまで細分化を行うかというところがプロジェクトの指標を決める。

【講師プロフィール】
株式会社Intimate Merger
CEO 簗島亮次氏
2010年、慶応義塾大学大学院を修了後、グリー株式会社に入社。同社ではGREEプラットフォームに関する機能の企画・開発を実施。2012年より株式会社フリークアウトに入社し、2013年から株式会社Intimate Mergerの代表取締役としてオーディエンスデータを用いた商品企画・活用の事業を展開。

U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する