1. ビートラックス CEO ブランドン氏が語るー日本発サービスが世界で通用するための「鉄則」

ビートラックス CEO ブランドン氏が語るー日本発サービスが世界で通用するための「鉄則」

 ビジネスのグローバル化が活性化する昨今、日本から世界展開を考える企業は後を絶えない。実際にワールドビジネスの中心地シリコンバレーでは、ビジネス展開を検討する日本企業が毎日といって良い程視察に訪れている現状だ。

 今回は、スタートアップへのシード投資を行う MOVIDA JAPAN主催のMOVIDA SCHOOLにて、btrax CEO Brandon K. Hill氏が語った「日本発のサービスが世界でヒットしない理由と解決策」についてまとめながら日本サービスが世界で通用するための「鉄則」を述べる。

日本と海外サービスの大きな違いは「User Experience」

 まず、日本発信のグローバルビジネスは世界であまりにも少なすぎるという現状を理解しておく事が必要である。高度経済成長期からものづくりを得意とし「MADE IN JAPAN」が高品質であるという概念は今や通用しない。しかしながら、世界展開を目指す人が少ないのかと言われれば、先にも述べたようにむしろ増えているのだ。

 では、なぜ海外に受け入れられるサービスになっていかないのか。海外発のFacebookやTwitter、UBERのよう日本で当たり前のようにユーザーに受け入れられているサービスは山ほど存在する中で。

 要因の一つとしては「日本企業のサービス展開の仕方」が背景にある。アメリカのスタートアップなどは至ってシンプルなサービス展開だ。GoogleのサービスはGoogleのみであるし、TwitterのサービスはもちろんTwitterのみ。しかし、日本のマーケットは狭く複数のサービスをもたないと会社のやりくりが厳しい状況にある。実際に身近な1つの会社が、沢山のサービスを持っている例は山ほど思い浮かぶことだろう。しかし、その展開の形では1つのサービスにかけるウェイトが減り「User Experience」は分散される一方だ。サービス的な視点から言えば当たり前の話であるが ノウハウや方向性を分散させないことは良いサービスを作る。

 上記を踏まえると、従来多く見る【サービスを日本展開→余裕を持つ→世界展開を行う】というフローよりも、世界展開を目指すのであればマーケットをはじめから広くとり【 世界展開を見据えたサービスの構築と展開】がポイントである。

海外展開のメリットとは

 根本に立ち戻るとサービスを海外展開することへのメリットはどれくらいのものなのか。マーケット規模からみると日本から世界展開をした場合、約10倍の展開の可能性が得られる。非常にわかりやすく言ってしまえば 沢山のユーザーや沢山のお金が集まる可能性が著しく上がるという事である。これは日本展開をしていく中では決して得られないメリットだ。

世界展開においてはマーケットの違いをより重要視すべき

 現在多くのシェアを誇る海外サービスが愛される理由には、世界というマーケットに寄り添ったプロダクトを初めから作っているという事があげられる。日本の場合で言うと初めから日本マーケットを意識してプロダクトを作る為、「日本ニーズにはあっているが、海外ニーズにあっていない」というものを生みやすい。このプロダクトを多少海外向けにしてもっていったところで国内で非常に優れたサービスだったとしても根本的に「使われない」という事実を目の当たりにする結果になるだろう。

 例えば日本で多く使われる無料通話アプリはアメリカでは実際あまり使われていない。なぜならアメリカでは携帯電話は定額無料通話が一般的で(一部制限はあるが)「無料通話」のサービスはニーズに一致しないからだ。

 世界展開を行う前に、まず展開を行う予定のサービスに関してその地域のニーズを捉えているかという事を重要視する必要がある。またこの観点で言えば、 マーケットに関わらずどの世界の人間であったとしても必要となるサービスは世界的に優れたサービスであると言えるだろう。

世界に通用するチームづくり

 海外に通用するものを作るには、海外に通用するチームづくりが非常に重要だ。しかしながら日本企業がシリコンバレーに参入してくる際に、絶対やってはいけないチームづくりを行おうとしてしまうケースは頻出している。海外展開において行ってはいけないチームづくりは以下の通りだ。

世界トップレベルのエンジニアを雇いたい

 シリコンバレーのエンジニアは確かに優秀である。せっかく海外で展開をするのだから海外レベルのエンジニアを雇いたいという気持ちはもっともだ。しかしながらシリコンバレーのエンジニアは初任給でも約1500万円という現状。これから海外展開をしていこうという企業にとって、これでは非常にエンジニアへのコストが高くなってしまう。果たしてそこに重点を置きすぎる価値は見いだせるのかきちんと検討する必要がある。

日本から海外経験のない役員を連れてくる

 日本でサービスを作った仲間と海外でもやっていこうと考え役員を数名連れてくるといったケースだ。しかし多くの場合、英語が話せない生活文化に親しみがないといったところから語学学校に通うところからの海外展開となってしまう。そうなってくるとゼロスタートどころか海外においてはマイナススタートとなってしまう為注意が必要だ。

社長自らが1人で展開

 社長自らが1人で海外展開を行うという場合「日本本社が忙しくなって日本へ戻る」または「日本に社長がいないので日本の他のスタッフの指揮が下がる」といったことで海外展開が失敗してしまうケースが非常に多い。

 また上記3点以外の問題点として日本と海外展開を同時に行っていく場合 リソースの比重が難しいということも日本の海外展開を妨げてしまう要因となっている。海外向けのプロダクトと日本向けのプロダクトがあったときに日本ユーザーの方が結局多くなり、日本向けにリソースを割いてしまうので結果的に海外展開は縮小してしまうというケースだ。

 ではどのようなチームを作っていったらよいのか。日本チームはやはり仕事に対して勤勉かつきめ細やかさでは世界的にコストとアウトプットの観点で非常に質が良い。日本でチームを作り海外にスキームを持つという企業が最近見受けられるがこれは賢い選択だと言える。現地に詳しいメンバーを選別し日本の良さを活かしたチームを作成するのが良いだろう。

日本企業が目指すべき海外展開の方向性

 現在日本発で海外に受け入れられているサービスの特徴は「世界で通用するプロダクト」もしくは「日本のバックグラウンドでしか作れないプロダクト」のどちらかに当てはまる。

 総じて言えばプロダクトを作る時点で世界のマーケットを見据え、良いチームづくりを行う事が日本発サービスを海外へ展開する「鉄則」なのではないか。海外から日本または世界へサービスを展開している企業は数多く存在する中で、日本企業にとってもマーケットシェアを拡大する可能性をはらんだ海外展開をビジネスのグローバル化にともなって行わない手はない。


【講師プロフィール】
Brandon K. Hill氏
サンフランシスコに本社を置くブランディング/UXデザイン会社、 btrax, Inc. CEO.
日本企業の海外向けブランディングやUXデザインを始めとしたサービスを提供。英語によるピッチコンテスト、Japan Nightなども開催している。

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