1. 企業が経営戦略を定める際に生じうる2つの限界

企業が経営戦略を定める際に生じうる2つの限界

 もう何年も前から日本の市場の成長の限界は指摘されており、業種の幅を広げたり海外に拠点を作る企業が増えているように思います。元から製造業を中心として、日系企業は東南アジアなどに古くから進出してきましたが、金融やサービスといった業種も海外展開が進んできました。またインターネットを活用した決済や取引などこれまで思いもつかなかった仕事の可能性が広がっています。

 既存の業種・市場に望みがなかなか見えない中で、現状維持に甘んじず絶えず成長を求めていくために必要なこととは何なのでしょうか。新しい市場にはあらゆる可能性が広がっているように思えますが、その中に生じる「限界」について考えたいと思います。

課題1:人的限界

 その会社には、経営戦略を実行するのに必要な人材は揃っているでしょうか。余剰人員はいるのでしょうか。それとも現在の社員の業務量を増やすのでしょうか。

 どんなに素敵なビジネスアイディアを思いついたとしても、実行するための人材がいなければただの絵に描いた餅です。例えばインドやトルコ、ブラジルといった新興国の経済に注目が寄せられています。トルコなどは国民の半数以上が30歳未満と大変有望な市場です。しかし、どんなに有望な市場だとしてもその市場を理解し、確実な実行力を持つ人材を確保するのは容易ではありません。企業として人材確保はとても重要なことですが、人的限界の壁も高くなってしまいます。

 新人は、1人前に育つのに最低5年近くかかると言われています。それでは中途採用はどうでしょうか。ある程度その市場に特化した人材と言うのは対価を多く求められるだけでなく、意思疎通を図るために新人を育てあげることとは別の苦労が伴います。いずれにせよ、人的な資源には限界がありその限りある資源を最適な場所に機を逸さずに投入することが求められます。

課題2:金銭的限界

 事業拡大の時に、新しい課題に対してどのように投資を行っていくつもりでしょうか。余剰資金はありますか?増資を行いますか?銀行から借り入れを行いますか?いずれにせよ、全く新しい課題に取り組んで成果を得るためには時間が必要です。また、投資を回収しきってキャッシュフローをトータルでプラスにするためにはさらに時間が必要でしょう。資金は無限にあるわけではありませんので、どれだけ拡大させようとしても必ずこの金銭的限界にぶつかります。

 そこでやるべきことは「自分が今実行しようとしている経営戦略は数多考えられる戦略のうちで一番投資効率が良い戦略である。」ということを自分なりに確かにすることです。投資効率を測る物差しとしては「できるだけ早く元手を回収できそう」かもしれませんし、「これからの成長の余力が一番大きい」かもしれません。自分が取り組む戦略を「査定=バリュエーション」を行なって、仮定の上でもよいから有効であることを示していく必要があります。

 以上が2つの「限界」です。これらの課題をいかに乗り越えていくかということが、事業拡大ができるかどうかの分かれ目になります。

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