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「寸志」の意味とは?金額・渡し方・封筒の書き方を解説【歓送迎会マナー】

U-NOTE編集部

2020/01/27(最終更新日:2021/03/09)


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ビジネスシーンで耳にすることがある「寸志(すんし)」について、「聞いたことはあるけれど何のことなのかよくわからない……」という方も多いのではないでしょうか。

今回は寸志の意味から、渡す場合の適切な金額、封筒の書き方マナーなど、ビジネスマンとして確認しておきたい寸志の内容について詳しく解説していきます。

本記事の内容をざっくり説明
  • 寸志は「心付け」「心ばかりの贈り物」の意味
  • 目上の人から部下や後輩への贈り物として使われる
  • 寸志を渡す際の、封筒やのし袋・表書き・渡し方にはルールがある
  • 寸志をもらったときには、「ご厚志」に言い換える
  • 寸志は税務上「賞与」と同じ扱いになる

 

「寸志」の基本知識

入社して間もない新卒者や社内で若い世代のビジネスマンにとって、あまり馴染みのない「寸志(すんし)」。最近では利用されるシーンが少なくなってしまったため、「寸志」について知らない方も増えています。

まずは、「寸志」の基本知識について解説していきます。例文や使われるシーンを確認しながら、イチから学んでいきましょう。

 

寸志とは「心ばかりの贈り物」という意味

「寸志」は、別名「心付け(こころづけ)」とも呼ばれる言葉です。心ばかりの贈り物という意味を持ち、古くから自分の贈り物を謙遜する言葉として用いられてきました。

辞書上での「寸志」の意味
  • 1.いささかの志。寸心。
  • 2.心ばかりの贈り物

日本では相手に贈り物を渡す際に「つまらないものですが…」「ご笑納ください」といった言葉を用いることも多いですよね。もちろん、これらの表現は本当につまらないもの、大したものではないと思っているわけではありません。受け取った相手が過度な負担を感じないための、心遣いの一種なのです。

「寸志」も同様の意味を込めて使われている言葉です。

 

「寸志」の読み方・使い方の例文

「寸志」は、「すんし」と読みます。例文を参考に、どのような使い方をするのか詳しく確認していきましょう。

<寸志を使った例文>

  • 今年入社する部下の歓迎会で「寸志」を渡す
  • 食事会に急遽出席できなくなったため、「寸志」だけでも手渡す

さきほどご紹介したように、「寸志」は渡す側が謙遜の意味を込めて使う言葉です。受け取った側を含む第三者が誤って使用すると、「心ばかりのものを貰いました」「〇〇さんが心ばかりのものを用意してくれました」と言っている感覚になってしまうので注意しましょう。

<「寸志」を使った、誤った例文>

  • 〇〇部長から寸志をいただいた
  • さきほどの歓迎会では、寸志をいただき、誠にありがとうございました

後ほど詳しく説明しますが、これらの場合は「寸志」ではなく「ご厚志」と言い換えます。

 

「志」「ボーナス」「賞与」「お礼」との違い

「寸志」と似た言葉として、志・ボーナス・賞与・お礼があります。似ている言葉に思えますが、詳しい意味や使い方はそれぞれ異なるので注意してくださいね。

【「志(こころざし)」の意味や使い方】
一般的に目標や信念を表す言葉として用いられている「志」ですが、シーンや使い方によっては相手からの行為や親切心を表します。

使用例:〇〇さんのお志に心より感謝申し上げます

【「ボーナス」の意味や使い方】
ボーナスは年末や夏季に、正規給与とは別に支給される特別な賞与金のこと。

使用例:今年の夏のボーナスは、給与の1.5倍だ

【「賞与」の意味や使い方】
賞与はボーナスと同じような意味を持つ言葉で、夏・冬・期末時期などに支給される一時金のこと。支給額が確定しておらず、業績や会社の状況によって変化することもある手当金です。

使用例:今年は営業成績が良かったから、期末に賞与が支給された

【「お礼」の意味や使い方】
お礼は、相手がしてくれたことに対して感謝の気持ちを表すこと。気遣いをうけたときや贈り物をもらったときに、言葉やモノを贈って表現します。

使用例:先日の〇〇のお礼の品です

 

「寸志」が使われる場面

ビジネスシーンでは、付き合いやマナーの一環として「寸志」が用いられることもしばしば。使用されるシーンを確認していきましょう。

<「寸志」が使われるシーン例>

  • 新入社員や転職してきた社員の歓迎会
  • 送別会
  • 忘年会
  • 新年会
  • 社員旅行
  • 社内で行われる各種宴会

 

「寸志」は目上の人に使うのは失礼にあたる

社内の歓送迎会や各種宴会で使用される「寸志」。意味や使い方を知って「いつもお世話になっている先輩や上司に渡したい!」と感じたビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

しかし、「寸志」を贈る場合には相手と自分の立場をしっかり確認しましょう。本来「寸志」は目下の人間から、目上の人間に対して使うことは失礼と認識されています。あくまで役職についている人間が部下や後輩に対して贈るものなのです。

日頃の感謝の気持ちを伝えたいからといって、上司や目上の方への贈り物に「寸志」と書くことがないよう徹底してくださいね。

 

目上の人に使うときの寸志に似た意味の言葉

前述したように、「寸志」は目下の人間が目上の方に贈り物を渡すときにはNGとされています。では、上司や先輩にお礼の気持ちを伝えたいときにはどうすればよいのでしょうか。

実は、目上の方に使える「寸志」と似た意味を持つ言葉が4つあります。謝儀・御礼・ご挨拶・松の葉を利用して、スマートなお礼の伝え方をマスターしましょう。

目上の人にも使える、感謝の気持ちを表すフレーズ
  • 謝儀(しゃぎ)
  • 御礼(おれい)
  • ご挨拶(ごあいさつ)
  • 松の葉(まつのは)

「松の葉」は、小さな松の葉に包むほどわずかなものという意味を持つ言葉です。日本では、古くから相手先に訪問する際に持参する手土産や贈り物の包み紙の上に記載される習慣がありました。

 

寸志の表書き・宛名書きの正しい書き方

では、「寸志」を用意することになった場合は、どのように準備すればいいのでしょうか。せっかくなら、正しいマナーを守って渡したいものですよね。

次は、「寸志」を渡す際の正しい表書きや宛名書きをご紹介します。筆ペンの色から宛名の位置までじっくりこだわって、できるビジネスパーソンに成長していきましょう。

 

ポイント1.筆ペンの色は「濃墨」のものを選ぶ

「寸志」を渡す際には、現金をそのままの状態で渡すのは厳禁。のし袋や封筒に入れたうえで、表書きをしましょう。

「寸志」を記載する場合には、ボールペンや鉛筆ではなく筆ペンの使用がベター。表書き用の筆ペンには一般的に「濃墨」と「薄墨」の2色が用意されていますが、「寸志」を書く場合には濃墨を使用しましょう。筆ペンではなく、筆を使用する場合にも同様です。

日本では結婚式・歓迎会・お祝いなどには濃墨を用いて、弔事の場合には薄墨で書くことがマナーとされています。誤って、薄墨を使用すると失礼な印象を与えてしまう可能性もあるので注意しましょう。

 

ポイント2.水引の上の中央に「寸志」と書く

のし袋を用意した場合には、「寸志」の表書きは水引の中央に書きましょう。水引はのし袋の用いられている飾りのことで、紅白や金色の帯紐でさまざまなかたちが表現されています。水引の中央から大きくずれないように注意しながら、まっすぐ丁寧に表書きを記入しましょう。

仮に、目下の人間から目上の方へのお礼の品を贈る場合には、のし袋の水引中央に「松の葉」「御礼」と添えると良いでしょう。また、「寸志」に加えて氏名や肩書を記入する場合には、表書き同様に濃墨の毛筆や筆ペンを使用してくださいね。

<宛名別の書き方チェック>
宛名「個人名のみ」:水引の下部の真ん中に個人名を記す
宛名「個人名+肩書」:真ん中に個人名、その右上に小さく肩書を記す
宛名「会社名+個人名」:真ん中に個人名、その右上に会社名を記す
宛名「会社名のみ」:水引の下部の真ん中に会社名を記す

社名と部署名を記載する場合のように宛名が長くなってしまう際には、社名が真ん中にくるような書き方を意識するのがおすすめです。「株式会社」「合同会社」などはやや文字サイズを小さくして右上に記載すると、全体のバランスが良くなります。

当然のことですが、誤字脱字がないように丁寧に書いていきましょう。

 

寸志を包む封筒・袋の選び方

表書きの書き方や筆ペンの色と同じように、「寸志」を包む封筒や袋の選び方も重要です。

渡すシーンに適した封筒や袋を用意するよう、心掛けましょう。

 

冠婚葬祭に関係する場合は「花結びののし袋」or「赤棒のし袋」

一般的に寸志を包む場合には「花結びのし袋」を使うのがよいとされています。何度も帯紐を結び直せる花結びのし袋には「何度あってもよいこと」という願いが込められており、ご祝儀・御礼・出産祝いなどのお祝いシーンで用いられています。

また、もう少しランクダウンした「赤棒のし袋」の封筒でも問題ありません。赤棒のし袋は封筒型になっているのし袋のことで、飾りである水引が省略されています。赤色の細い線が印刷されているのが特徴で、簡易的なお祝い用の封筒として用いられることも多いものです。

ただ、冠婚葬祭で寸志を渡す場合には「花結びのし袋」を使用するのが最適です。最近ではあらかじめ「寸志」と文字が記入されている封筒も販売されています。表書きを書く余裕がない場合は、文字入りの封筒を活用してみるの一案です。

 

仕事関係の場合は「白い封筒」でもOK

前述したように、冠婚葬祭で寸志を渡す場合には「花結びのし袋」もしくは「赤棒のし袋」を用いるのが適しています。しかし、仕事上の付き合いがある相手に渡す場合には「白い封筒」に表書きをして寸志を渡すのもOKです。

もちろん手元に「花結びのし袋」や「赤棒のし袋」があれば使用してかまいませんが、白い封筒しかない場合は封筒に表書きをして手渡しましょう。

 

寸志の金額の目安・相場はいくら?

歓迎会や宴会時に「寸志」を用意する際、どうしても気になってしまうのが包む金額ではないでしょうか。金額が少なすぎるのも、多すぎて相手を恐縮させるのも避けたいもの……。

では、「寸志」を渡す場合にはいくらが最適なのでしょうか。目安や相場の金額を確認していきましょう。

 

主役でも寸志を出すことがある

「なにかを贈る側=主催者側」とイメージしてしまいますが、場合によっては主役が寸志を用意することもしばしば。歓迎会に招く側だけでなく、歓迎される側の主役も寸志を利用してお金を払う場合があるのです。

もちろん、目上の人間から渡すものという特性上、若手社員や新入社員が主役の歓迎会では寸志は必要ありません。また、異動してきた人や転職してきた人が主役の歓迎会でも、主役が寸志を出すケースは少ないでしょう。

参加メンバーや宴会の内容によって、誰が寸志を包むのかは異なります。迷ってしまう場合はに、幹事や同じ役職・立場の人に寸志を包むか聞いてみるのも一案です。

 

相場の金額は5,000〜10,000円

一般的に、寸志の相場は「5,000円〜10,000円」とされています。しかし、相場はあくまで目安の金額。状況に応じて最適な金額を包むようにしましょう。

ひとつの目安となるのが、「宴会の会費と同額程度」もしくは「会費より少しだけ多めの金額」です。あまりに高額な寸志を包んでしまうと、受け取った相手が戸惑ってしまう可能性もあります。適切な金額を考えて、スマートに贈りましょう。

ただし、現金以外のものを贈る場合には相場のとおりでなくても構わないとされています。

 

寸志の渡し方・渡すタイミング

ご紹介したように、寸志には正しい表書き・のし袋・適切な金額などさまざまな決まりやマナーがあります。では、寸志を渡すタイミングはいつ頃が正しいのでしょうか。

寸志は、会が始まる前に幹事に渡すのが一般的なマナーです。寸志の金額が多い場合には歓送迎会よりも前の日に幹事へ渡すケースもありますが、基本的には歓送迎会の開始前に渡すのが最適なタイミングであると覚えておきましょう。

 

寸志をいただいたときの対応方法・報告の仕方

寸志は渡した側が謙遜して使う言葉なので、受け取った側が使用するのはNG。失礼な印象を与えてしまう可能性もあるので注意しましょう。寸志をいただいをいただいた場合には、寸志を別の言葉に言い換える必要があります。

寸志へのお礼として言い換えて使用する言葉は「ご厚志(ごこうし)」もしくは「ご芳志(ごほうし)」です。厚志や芳志は漢字のとおり「志(こころざし)」の意味で、相手からの深い思いやりを指します。そのほか、いただいたチュエーションによって「ご寄附」や「お志」での言い換えも可能です。

<ご厚志、ご芳志の使い方>

  • 「先日はご厚志を頂戴し、心よりお礼申し上げます。」
  • 「本日の歓迎会にあたり、〇〇部長よりご芳志をいただきました。」

 

寸志の勘定科目・税金は「賞与扱い」

はじめて寸志をもらったとき、「税金の申告は必要なの?」「そのままにしておくと所得隠しになってしまうの?」と心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。

寸志をもらった場合、税務上は賞与扱いとなり給与課税の対象となります。賞与をもらったときと同様に税務上の処理を行いましょう。仮に、現金以外の資産を支給された場合にも、同じように処理をしてくださいね。

一方で、経営者側が自身のポケットマネーから従業員に寸志を渡した場合には「贈与扱い」となります。贈与の場合には、年間贈与金額が110万円を超えるまでは従業員は非課税処理可能です。

企業に勤めている場合には、自身で税金処理を行う機会は少ないはず。処理を誤らないように、処理方法や勘定科目をしっかり確認しておきましょう。

 

ビジネスマナーとして「寸志」の取り扱いを知っておこう

本記事のまとめ
  • 「寸志」は心ばかりの贈り物を意味する言葉
  • 目上の人から目下の人間への贈り物に使われている
  • 寸志は、税務上は賞与と同じ処理になる
  • 寸志を受け取った側は、「ご厚志」や「ご芳志」と表現する

ビジネスの場で使われることがある「寸志」。受け取った側も渡す側も正しいマナーを身に付けて、スマートな寸志の受け渡しを行いましょう。

本記事でご紹介したように、寸志は贈り物を謙遜したへりくだった表現です。受け取った側は「ご厚志」や「ご芳志」と言い換えることによって、相手への感謝やお礼を丁寧に伝えましょう。

渡す側になった場合には、金額・使用するのし袋・表書きマナーに要注意。もらった相手が気持ちよく受け取れるように、正しい渡し方を知っておいてくださいね。

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