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「御中」の使い方とは?様・行・係・各位との違いや、消し方・書き換え方法を解説

U-NOTE編集部

2018/07/02(最終更新日:2022/10/31)


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ビジネスシーンで郵便物やメールを出すとき、宛名に用いる「御中」や「様」。敬称の正しい使い分けがわからず、困っている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、郵便物の宛名マナーとして知っておきたい「御中」と「様」などの敬称の意味の違いを詳しく解説します。「宛名」の使い分けをマスターしたい人はぜひ参考にしてください。

本記事の内容をざっくり説明
  • 「御中」「様」の意味と使い分け
  • 御中と様・行・係・各位・殿の違い
  • 御中の使い方とは?他の敬称との使い分け方法を紹介

 

御中の意味とは

そもそも御中の意味がいまいちわからないという人もいるのではないでしょうか。

御中とは、相手に敬意を示す敬称のひとつであり、会社・組織・団体など、グループを対象に使う敬称です。

御中は、「〇〇に属する皆様」という意味を持っているため、個人名には使用しません。

「田中太郎 御中」のようには、使用できないことを覚えておきましょう。

【「御中」の意味】
会社・組織・団体など、グループを対象に使う敬称。
使用例:株式会社〇〇御中/財団法人〇〇御中

 

御中と様・行・係・各位・殿の違い

御中と同様に様・行・係・各位・殿は、頻繁に使用される「敬称」です。

人名や役職名につけるもので、相手に対して敬意や尊敬の念を示す「敬称」の違いは、社会人なら当然押さえておきたい内容です。

敬称の意味と使い方をそれぞれ詳しく確認していきましょう。

 

様の意味

「様」は個人に使用される敬称です。

「田中太郎様 御中」のように、「様」と「御中」の2つの敬称を重ねて使うのはNG。

敬称に敬称を重ねることは「二重敬語」と呼ばれる間違いになってしまいます。

また、「〇〇部長様」のような「役職」と「様」を重ねるのも二重敬語になるため、気をつけましょう。

【「様」の意味】
個人を対象に使われる敬称。個人宛にメールや文書に用いられる
使用例:株式会社〇〇田中様/営業部担当者様

「様」と「御中」はよく使用される敬称なので、その違いを覚えておくことは大切です。

御中は「グループ」を対象に使う敬称であり、「様」は個人を対象に使う敬称です。

どちらを使用するべきか迷ったときは、担当者の名前を知っている場合は「様」を優先することをおすすめします。

 

行の意味

「行」や「宛」は返信用封筒や返信用はがきの宛名として使用されます。

相手に向かって送る書類には「行」や「宛」は使用しません。自分が相手に送る書類では「様」や「御中」を使用することをおすすめします。

ビジネスシーンで返信用封筒をもらうこともあるのではないでしょうか。

ビジネスシーンでは「行」を「御中」に書き換えて返信しなければ、マナー違反と捉えられてしまいます。「御中」に変更することを忘れないようにしましょう。

 

係の意味

宛名に「係」を使用する場合は、 専門部署や担当者を対象にします。個人名や会社の後に「係」を使用することはできません。

また、送付先が営業課や人事部といったように「課」や「部」を使っている場合には使用できない場合も多いので注意しましょう。

「係」を使用する際は、一般的に「御中」と使用します。

係の使用例

  • 〇〇営業係 御中
  • 〇〇会社 経理係 御中

「係」は部署のように沢山の人がいるイメージがあるので、「皆様」という意味を持つ「御中」を使うと覚えておくことをおすすめします。

「〇〇係 御中 〇〇様」のようには使用しません。「御中」と「様」は同時に使用しないことを意識しておきましょう。

 

各位の意味

「各位」は、対象が1人ではなく複数の人へ一斉送信する場合に使用します。

「各位」の「各」には「大勢、みんな」という意味があり、「位」には「様」という意味があります。

そのため、「各位様」は意味が重なってしまうためNG。

「Aプロジェクト関係者各位」と目上の人に使用してもいいのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

各位には敬称の意味があるので、使用することは問題ありません。

特別な配慮をしたい場合は、「御中」や「様」を使用するようにすることをおすすめします。

「行」「係」「各位」の違い
行:返信用の宛名として書かれている宛名。書き換えて返信する。
係: 専門部署や担当者を対象とした宛名
各位:複数人を対象とした宛名

 

殿の意味

メールや書類で「殿」を使用しているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。

昔は「殿」という敬称は「様」よりも相手を敬うものとして考えられていました。

現在では「殿」よりも「様」のほうが格式が高いものであると考えられています。

そのため、基本的には「様」を使用し、「殿」を使用するのは立場が同等の人にとどめておくことをおすすめします。

 

御中の使い方とは?他の敬称との使い分け方法を紹介

前述したように、「御中」と「様」は対象によって使い分けが必要です。

しっかりマスターするためにも、それぞれの使い分けを具体例を用いながら確認していきましょう。

 

「御中」の使い方

ご紹介したように「御中」は、会社・組織・団体などのグループを対象に使う敬称です。以下の使用例を参考に、正しい使い方をチェックしましょう。

<「御中」の使用例>
(正)ABC株式会社 営業部営業一課 御中
(正)ABC株式会社 御中
(誤)ABC株式会社 営業部御中 営業一課御中

御中を複数回重ねるのは避けましょう。

部署名や課名を書く場合には「御中」は課名の最後につけてください。また、社内グループやメンバーを対象にメールや文書を送る際には御中ではなく「各位」を使うこともしばしば。社内のグループ相手には「関係者各位」「営業部営業一課各位」といったように記載しましょう。

 

「様」の使い方

ご紹介したように、「様」は個人を対象に使用される敬称です。使用例を参考に、個人宛にメールや文書を出す場合の使い方をチェックしていきましょう。

<「様」の使用例>
(正)ABC株式会社 営業部 田中花子様
(正)ABC株式会社 田中花子様
(誤)ABC株式会社 営業部御中 田中花子様

上記のように、「御中」と「様」は併用避けましょう。

会社・組織・団体名の後に役職名をつける場合には、役職名・名前・様の順で記載します。

 

特定の職種は「先生」とする場合がある

個人宛の敬称は「様」を使用しますが、特定の職業に従事している方には「先生」と記載されることも多いのです。送る機会はさほど多くないかもしれませんが、使用例や注意点を確認しておきましょう。

<「先生」の使用対象例>

  • 学校の教師、塾の講師などの教育関係者
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 弁護士
  • 医者
  • 作家
  • 議員や政治家

<「先生」を使用する場合の注意点>
「様」や「殿」との併用は二重敬語になってしまうため注意しましょう。

(誤)〇〇先生殿
(誤)〇〇先生様

 

「御中」の書き方・使い方は?返信封筒での「行」の消し方

返信用封筒に入れて書類や文書を送付する場合、宛名の部分に「行」と印刷されていることも多いのではないでしょうか。

しかし、「宛名を書く手間が省けて便利!」と感じてしまってはNG。「相手の名前+行」のまま送ってしまうと、配慮や敬いに欠けた印象を与えてしまう可能性があります。必ず「御中」や「様」などに変更しましょう。

では、すでに「行」と印刷されている場合には、どのように「御中」や「様」に書き換えれよいのでしょうか。

 

「行」「宛」は自分宛てのときに使う

すでにご紹介したとおり、「行」「宛」は返信用封筒などの自分宛てに返ってくるものに使用します。

よく目にするからといって、「行」「宛」を相手行きの封筒に書くことはNG。

「返信用封筒で送ってきたのか?」などと要らぬ困惑をさせてしまう可能性もあるので気をつけておきましょう。

 

返信用封筒は「行」を「御中・様」に書き換えることがマナー

前述したように、返信用封筒にあらかじめ「行」や「宛」と記載されている場合には書き換えが必須。誤ってそのまま送付してしまうと、ビジネスマナー違反となるので注意してください。

ときには、「行」「宛」の前に担当者名の印鑑が押印されていることもありますよね。しかし、担当者名の印鑑がある場合にも同様で、「行」「宛」を書き換えないまま送付してしまうのは失礼に当たります。担当者名のあとに「様」を書き足して、相手への敬意を示しましょう。

 

「御中・様」への書き換え方法

返信用封筒にすでに「行」もしくは「宛」と印刷されている場合、二重線を引いたうえで「御中」「様」と書き足しましょう。二重線は線を日本の線を丁寧に引き、曲がったり長さが違ったりしないよう注意してください。

会社名+行となっている場合
  • (元)〇〇会社営業部宛
  • (修正後)〇〇会社営業部(宛=二重線で訂正)御中
個人名+宛となっている場合
  • (元)〇〇会社営業部 山田行
  • (修正後)〇〇会社営業部 山田(行=二重線で訂正)様
すでに印鑑や手書きで、担当者名が記載されている場合
  • (元)〇〇会社営業部行 山田(印鑑)
  • (修正後)〇〇会社営業部(行=二重線で訂正) 山田様

返信用封筒を利用する場合も、記載されている宛名に合わせて「様」や「御中」を使い分けていきましょう。

 

「御中」に関するよくある質問

これまでご紹介したように、「御中」や「様」には差出人からの敬いの気持ちが込められています。ビジネスマナーとして覚えておくと、失敗が少なくなるでしょう。

最後に、「御中」に関するよくある質問や疑問を4つご紹介します。誰しも一度は迷ってしまう「横書き封筒の場合にも、御中を使うの?」「メールでも御中と記載して問題ない?」など、気になる疑問と正しい対応をチェックしていきましょう。

 

メールでも「御中」を使うの?

書面ではなくメールでやり取りする場合、メールの文頭に担当者名や社名を記載することも多いのではないでしょうか。迷ってしまうことも多いかと思いますが、たとえメールであっても「御中」や「様」を使うのはビジネスマナー。送付相手によって、正しい敬称を使い分けましょう。

メールでの敬称使用例
  • 件名:Aプロジェクトの進捗確認
  • ◎本文:株式会社〇〇会社営業部 田中様

 平素よりお世話になっております。わたくしは、△△商事の佐藤と申します。

 本日は「Aプロジェクト」の進捗の件でご連絡致しました。現在は~~

 

御中は、本文の最初の一文目に記載するのがベター。本来メールの件名は「相手が受け取ったときに本文を想定できるように記載するもの」なので、件名に宛名を記すのはおすすめできません。

また、書面に記載する場合と同様で「御中」と「様」の併用や、「株式会社〇〇 田中御中」「株式会社〇〇 営業部様」といった記載は正しくないので注意しましょう。

 

横書きの場合はどうしたらいいの?

封筒やはがきが横書きタイプのものの場合、敬称の書き方は変わるのでしょうか。

横書きの封筒に記載する場合にも、縦書きと同様に「株式会社〇〇御中」「株式会社〇〇営業部 田中様」と記載してかまいません。個人宛なのか、会社や部署宛なのかを判断したうえで、使い分けていきましょう。

また、横書き封筒に「行」や「宛」とあらかじめ印刷されている場合にも、縦書き封筒と同じように二重線で訂正しましょう。二重線で訂正する場合には、訂正線をまっすぐ並行に引き、同じ文字サイズで「御中」「様」と追記します。

書き換える「御中」や「様」は、二重線で訂正した文字の真下もしくは右に続けて書くとバランスがよく見えますよ

 

「様」と「御中」を両方を使う・併用することはあるの?

会社名や部署名と個人名をあわせて記載している場合、どこに敬称をつけるべきか迷ってしまうもの。むやみに「御中」や「様」をつけてしまうと、誤ったビジネスマナーとなってしまうので注意しましょう。

これまでご紹介した「御中」や「様」の使い方を参考に、下記の3つの宛名から正しいものを選んでみましょう。

<次の1~3で、正しい宛名の書き方は?>

  1. 株式会社〇〇営業部 行
  2. 株式会社〇〇御中 営業部 田中様
  3. 株式会社〇〇 営業部 田中様

正解は、3の「株式会社〇〇 営業部 田中様」です。一見正解にも思える、2の「株式会社〇〇御中 営業部 田中様」は、御中と様を併用しているのでNG。丁寧な書き方に思えますが、敬称を併用するのは誤ったビジネスマナーなので注意しましょう。

 

会社宛てだけ?学校や個人宛にも「御中」と使ってもいいの?

お子さまがいる方や、教育機関とのやり取りが多いビジネスマンは、学校に送付する場合の敬称に迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。

【次の1~3で、正しい宛名の書き方は?】

  1. 〇〇小学校 行
  2. 〇〇小学校 様
  3. 〇〇小学校 御中

上記例題の正解は、3の「学校名+御中」です。違和感のある書き方に感じる方もいるかもしれませんが、「御中」は会社名や部署名だけでなく官庁・病院・学校宛の手紙でも利用できるので安心してくださいね。

<個人宛の誤った敬称例>
(誤)〇〇小学校 田中先生御中
(誤)〇〇小学校 田中御中
(誤)〇〇小学校御中 田中様
(正)〇〇小学校 田中様
(正)〇〇小学校 田中先生

送付相手に個人名を記載する場合には「御中」ではなく、「様」を使用します。ただし、教師・弁護士・医師・議員などの特別な仕事に従事している相手には、例外的に「先生」を使用しても問題ありません。

【学校宛に書類を送る場合の豆知識】
子どももつビジネスマンの場合、学校宛に入学願書を含む各種書類を送付することも多いはずです。願書や入学に必要な書面などを送付する場合には、封筒に赤字で内容を記載するのがベター。「入学願書在中」といったように、受け取った相手が内容物を推測しやすいように工夫しましょう。

 

企画書で「御中」を記載することもある?

企画書の表紙に「御中」と記載することもあります。

企画書に「御中」と書くことによって、礼儀正しさが伝わります。

取引先や営業先などの会社に企画書を送る場合だけではなく、プレゼンの場でも表紙に御中と書くことで印象が代わってくるでしょう。

 

宛名のマナーはビジネスマンの必須スキル

本記事のまとめ
  • 「御中」は企業や部署宛、「様」は個人宛
  • 返信用封筒の「行」「宛」は二重線で訂正が必要になる
  • メールでも御中が使用できる

郵便物やメールの宛名は、受け取った相手が最初に目を通すもの。手紙の文面も重要ですが、宛名マナーを知っておくことはビジネスマンとしての必須スキルのひとつです。

ついうっかり宛名のマナーが守れていないと相手への敬意が伝わらず、「失礼な人だな……」と悪い印象を持たれてしまう可能性もあります。

誤字脱字に注意するだけでなく、郵便物やメールの宛名マナーにも気を配っていきましょう。

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