1. フランス人は日本人よりも早く"大人"になる。|「バカロレア」から見る教養の育ち方

フランス人は日本人よりも早く"大人"になる。|「バカロレア」から見る教養の育ち方

  • 11199views
  • 2fav


 5年後のセンター試験廃止説が濃厚になり、日本の教育の変革を叫ぶ声が多く上がるようになった昨今。日本のようなペーパテストでは、その人の真の実力・能力が見極められないという声がよく聞こえるようになりました。


 そんな中で、教養というものがより一層注目されはじめ、重視すべきであるという風潮もできつつあります。では教養とは一体何なのか。あまりにも漠然としたもので定義しづらいものですが、それを紐解くヒントがフランスの「バカロレア」にあります。


フランスの教育システムの中心「バカロレア」


 そもそも、バカロレアとはなんなのでしょうか?バカロレアとは、フランスの高等教育を受けるために必要な資格・国家試験のことです。
種類は大きく「一般バカロレア」「専門バカロレア」「工業バカロレア」の3種類に分けられ、中でも一般バカロレアは科学系・人文系・経済社会系の3つに分けられています。


 フランスではこのバカロレアの成績を元にして進学先を決めるのが一般的になのですが、試験問題が日本のそれと大きく異なっているので紹介します。


「言葉は道具でしかないのか」


 バカロレアは日本のセンター試験のようなマークシート方式ではなく、提示されたテーマに対する自分の考えを論述してくという形式で成り立っているのですが、中でも4時間かけて試験される哲学の問題が非常に興味深いのです。


 2012年度の問題を見てみましょう。

<理系>
・政治に関心を持たずに道徳的に振る舞うことはできるか
・真実を探す義務が私たちにはあるか

<社会経済系>
・認識を欠いた場合、解釈できるか
・自然な欲望は存在するのか

<人文系>
・言葉は道具でしかないのか
・人は働くことで何を得るのか

出典: バカロレアにSAT センター試験とどう違う? - ハフィントンポスト


 非常に哲学的な問いばかりで、学生はおろか社会人でさえも本質的な答えを導き出すことは難しいのではないでしょうか。ここから見えてくるフランスの人材育成方針とは「自分の頭でじっくり考え、自分の言葉で答えを導く論理的思考力」なのではないかと思います。


 そのため、フランスの学校教育は

・音楽の授業と歴史の授業が並行して行われる

・「感情を自覚するためにはどうすればいいか」という授業がある

・高校生の時点から経済学を勉強する

などといったことを普段からしています。こういった教育をすることにより、1つの物事を見るときに様々な知識を結集させ多方面から捉える事ができるようになるといいます。こういったことが、俗にいう「教養」というものなのでしょうか。


フランス人は、日本人より早く"大人"になる


 なぜフランスでは、ここまで哲学的思考が重視されるのでしょうか。その理由は2つ考えられます。


 まず1つはそれは歴史上フランスが求めてきた「自由・平等・民主主義」というものが根底にあるということ。日本では「合理化・効率化」が重視され歴史を歩んできたために、今の教育制度があると言えます。


 2つ目に、フランス人は18歳になると免許を取ることができ、選挙権も付与され、親も子どもに口を出さなくなると言います。つまり、フランスでは高校卒業と同時に成人(大人)とみなされ、後のことは全て自分で考えなければならなくなります。そのため、早い段階で幅広い知見を身につけさせるためにバカロレアをはじめとした哲学的な教育に重きを置いて展開されるのです。


フランスの学校で教えられていること


 フランスの学校で教えられていること、それは「知識を広め、真の大人になる」ということです。それが社会で働く際に直接的なスキルとして活きるかどうかは定かではありません。おそらく、そうではない場合の方が多いでしょう。しかし、幅広い知見が身についていて色々な見方ができるということは、そもそも人間としての厚みがでてきます。


 日本では元来の勤勉な国民性より、どうしたらいかに効率的に生きていけるかが重視され、追求した結果今の教育システムがあります。しかし、そこに対して疑問の声が上がり始めているということは、次第に国民の性格も変化しつつあるのではないかと思います。


 もし、あなたが人間としての厚みを持たせより本質的に内面を鍛えたいと思うのであれば、フランス式教育を学んでみたらいかがでしょうか。

 


U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう
この記事を報告する