1. 「“何を”やるかよりも“誰と”やるかが大切」- 3名の起業家が語る、起業する前に知っておくべきコト

「“何を”やるかよりも“誰と”やるかが大切」- 3名の起業家が語る、起業する前に知っておくべきコト


 IVSウィンターワークショップ2013のセッション2は「Let's start up !」と題し、WiLの伊佐山氏、SearchManの柴田氏、 nanapiの古川氏の3名が登壇し、起業の経緯から起業するために必要なことなどについて語ったので、その内容を書き起こし形式でお伝えする。

数字で見る日本とシリコンバレーの違い


伊佐山 元氏(WiL CEO):

1,240億円 vs 2兆9,700億円

 この数字は、2011年度の日本のVCの投資額と米国VCの投資額の比較したものです。日本とアメリカのGDPは、2.6倍の差だが、投資額は24倍という大きな差になっています。

1,240億円 vs 5兆3,000億円

 先ほどの数字に米国のエンジェルの投資額を含めると、このような数字になります。米国のエンジェル投資額は2兆円規模で、リスクマネーの供給量は43倍という状況です。

0.2%→21%

 米国では、GDP0.2%以下の投資がGDPの21%の価値を生んでおり、民間の雇用数にすると約11%にも及びます。つまり、ベンチャー企業に投資を行うことで、雇用者は増えていき経済に良い影響を与えているのです。

650→340,000

 この数字は、米国最大の住宅リフォーム・建設資材・サービスの小売チェーンであるThe Home Depotが上場した時の従業員数と現在の従業員数の違いを表したもので、TOYOTAの連結従業員数が30万人なので、スタートアップの成功は、それ以上の雇用を生み出しているのです。

138→31,500 イーベイ 
2,521→160,000 スターバックス 
1,153→97,000 マイクロソフト 
3,021→53,861 Google

 The Home Depot以外の企業の従業員数を見てみても急激に従業員数が増加していることが分かります。新しい企業が生まれ、そこに投資をし成長させていくことで、雇用数を増やしているのです。

20代 vs 40代

 これは、ベンチャーを起業する平均年齢です。ベンチャーは若者だけの特権ではなく、実はアメリカのほうが所謂おっさんベンチャーに投資がされています。その理由は、アメリカではITやゲーム以外の起業が多く、大企業で問題意識を抱いて起業する方が多いからです。

日本とシリコンバレーの企業の時価総額差

・11兆円 vs 33兆円 

 

 これはGoogleと日本のネット企業上位50社の時価総額の差です。


・11兆円 vs 19兆円 


 これは、日米の2000年以降に創業した代表的なベンチャーでの比較です。


・84兆円 vs 33兆円 


 これは、Googleと日本の時価総額トップ10社との比較です。さすがに日本のが多いですね。


・84兆円 vs 85兆円 


 しかし、1995年以降に創業したアメリカの代表的なベンチャーと日本の時価総額トップ10社を比較すると、たった11社ほどで抜いてしまいます。

シリコンバレーで起業するということ

柴田 尚樹氏 (SearchMan 共同創業者):


 まず、2006年3月に修士を卒業し、4月にほとんどがコンサルや外資に行く中、楽天に入社。入社した楽天では、ここで営業をしないと一生しないと思い、あまりやりたくなかった営業として研修を受けた。その後、社長室で新規事業を立ち上げ、3~4割程度の打率でヒットさせていった後に、2009年に博士を取得して、東大で空いたポストとして助教授になり、シリコンバレーへスタンフォード大学の研究員として派遣された。


 しかし、このままでは楽天を辞めるのではないかと思われ、楽天の執行役員にもなり、非常に複雑な人生となってしまった。そして、2011年に東大もスタンフォードも楽天も退職し、なぜか起業することに。シリコンバレーで起業したが、ビザがなく大変だった。また実際にサービスを出してみたものの、目標としていた100万ダウンロードに全然届かなかったため、BtoCからBtoBに切り替えることにした。しかし、シリコンバレーで友達が全然いなかったため、仲間が集まらないという問題が発生してしまった。今は、一人にジョインしてもらい、CEOを交代しながら、AppStore最適化などを行う「SearchMan」というサービスを提供していて、現在18,000人ほどの開発者に使ってもらっている。

nanapi起業までの経緯

古川 健介氏(nanapi 代表取締役):


 僕の起業の経緯なんですが、高校時代の夢はサラリーマンで、1度きりの人生なので安定して暮らしたいと思ってたのですが、19歳の浪人生の時に、受験の情報不足を感じて大学受験の掲示板を作りました。そのサービスは、あっという間に1000万PVを越えて受験生や予備校の先生がみんな知っているサービスとなり、そこから次第にインターネットに惹かれていきました。ただ3億PVほどになっても、全然儲からなかいと分かったため、そのサービスを売却し、ちゃんとしようと思いリクルートに就職しました。


 そこで気づいたのは、サラリーマンはすごく良いということです。休んでも給料が出るし、クビにならない。ただ、成長感に疑問を感じ、会社を辞めました。起業した理由は、今の仕事の7割は10年後にはなくなるとも言われており、今後変化に強くならないとこれからは勝てないだろうという思いからです。実際、起業するということは常に変化に対応していかなければなりません。


 ここからは仲間選びの話なんですが、和田という中学・高校の同級生と起業しました。よくビジネスパートナーと起業しろと言いますが、まず仲が良かったので、一緒に起業することにしました。他の理由を挙げるならば、楽天の経験でインフラに強く、風邪もひかないということですね(笑)


 そして、後にヤフーの小澤隆生さんという方に「ハウツーサイトをやってみないか」と誘われ、「やります!」と言い、簡単に始まりました。というのも、経験を積んだ起業家と一緒にやるのが重要だと思っていて、何をやるかより誰とやるかが重要で、自分の趣味・趣向とも合っていました。

Who:起業は誰とやるべきか?

- では、まず誰とやるべきかについて、伊佐山さんどうですか?


伊佐山氏: 

 僕も古川さんと同じで、友達と始めました。僕がビジネス側で、二人がエンジニアでした。喧嘩することもあるんですが、仲がいいと許せてしまう。WiLを始める時に、楽天に三木谷さんや孫泰蔵さんにも相談しましたが、起業する上で信頼できる仲間とやるのが大事という結論になりました。僕の中で信頼できるの基準は、後ろから刺されてもしょうがないと思えることですね。もちろん、全部が全部相性ではなく、自分が持っていないものを持っている人とやることも大切です。


- では、仲間集めで大変だったという柴田さんはどうでしょう?


柴田氏: 

 僕は友達が少ないので、日本でやっていても大変だったと思いますが、お二人と違うのは、「同じクラスにいても、こいつとは絶対友達にならないだろうな」という人と始めました。そっちのほうが、補完しやすく、僕には合っているなと思いました。


伊佐山氏: 

 それはドMですね…。やっぱりベンチャーって大変じゃないですか。その環境では、笑いがとても重要で、一緒にいると些細なことで笑える仲間がいいと思います。今一緒にやっているメンバーも、ツッコミでクスっとしたりしています。


古川氏: 

 今、社員が30人くらいいるんですが、友達になれるかは大事にしています。リクルートの先輩が一番相性の合うやつと合わないやつを入れろと言っていて、多様性は重要だと思う部分もあるので、もう少しで相性の合わない人も入れてみようと思います。和田と一緒に始める時は、メッセージで「会社辞めようぜ」「いいぜー」という感じで始まった。何をやるかが決まっていると、それがダメだった時に「じゃあ解散するのか?」となるので、誰とやるかが大事だと思います。

What:何をやるべきか?


- では、なにをやるかはどうですか?


柴田氏: 

 みんなどうやって起業のアイデアを思いついてるか分からず、シリコンバレーで有名な起業家たちに「何でその事業を始めたんですか?」と聞いてまわっていました。その時は、「あまり大それたことを考えず、身の回りで困ったことを自分のテクノロジーで解決しなさい」と言われ、そういった所から始めていきました。


古川氏: 

 アメリカは問題を解決する文化なんですが日本で面白いのは、日本は例えば初音ミクであれば、初音ミクで音楽を作るというより、初音ミクで何ができるかという考えが多いというところです。


伊佐山氏: 

 やはり、自分がストレスを感じたことでないと熱中できないと思いますね。 最近であれば、鍵はスマートフォンでいいと思うので、そこに問題を感じています。

メッセンジャーアプリはイケると思う


- 最近、いいなと思っているベンチャー企業はありますか?


古川氏: 

 イラストSNSのpixivですね。 僕は都市の文脈があり、企業ができると思っていて、そういった点でpixivは東京だからこそできたサービスだと思っているので、良いなと思います。


柴田氏: 

 ロキトンというアプリで管理する鍵の会社なんですが、鍵をなくしたいというのはありますね。


伊佐山氏: 

 鍵をなくしたいというもの以外には、お金も持ちたくないですね。面白いのは、(メッセンジャーの)スタンプですね。アメリカにいるので、あまりLINEは使わないんですが、今まではスマイルマークだけだったものが、スタンプがくるとサプライズがあるじゃないですか。あれはアメリカ人でもいけるんじゃないかと思っています。 

起業資金は、身内から借りられる

- ベンチャー企業がVCからお金を入れるのは怖くないんですか?


古川氏: 

 小澤さんという方から「このお金を渡すから、失敗したらあげる。成功したら、条件は任せる」と言われました。つまり「これは浪費だ」と。


柴田氏: 

 VCは2年以上よく知っているか、半年以上一緒に仕事をした人から選ぼうと思っていました。 やっぱり自分のことをよく知ってくれている人じゃないと怖いですよね。


伊佐山氏: 

 昔は、起業するのに1億くらい必要な時代でしたが、今はクラウドなどで1000万くらいで済む。1000万くらいであれば、ちょっとお金を持っている友達の親2人くらいから出してもらえるはずで、それが出来ないような信用力ではまだ起業するべきタイミングではないのかもしれない。

2人での起業は成功確率が上がる


- なぜ一人で起業しないんですか?


古川氏: 

 二人いれば、力が倍になるからです。


伊佐山氏: 

 理由は簡単で僕が一人だったとして、僕が轢かれたら終わりじゃないですか。なにかあった時に、頼れる人がいるのは大事です。


柴田氏:

 シリコンバレーで一番やっちゃいけないとよく言われていることは、一人でやることですね。僕は9ヶ月くらい一人でやっていたんですが、ベンチャーはほとんどが失敗するので、とにかくツライです。ツライ時に一人でいるよりは、二人でいた方がが成功する確率は高くなります。

起業家精神は全員が持ち合わせるべき


- では、一番最後にメッセージを


柴田氏: 

 みなさん、新しいことを始めて、新しい価値を社会に生み出したいと思ったら、是非スタートアップをやってください。


古川氏: 

 僕、起業家の人が好きなんですが、起業家の人はなにか問題があった時に文句を言うのではなく、どうやって解決するか言うんですね。そうなりたい人は、起業すればいいかなと思います。


伊佐山氏: 

 僕は、ここにいる人の全員が起業したほうがいいとは思いません。みんながみんな有名なスタートアップでやるのではなく、起業家精神を全員が持ち、より世の中のためになることを選べばいいと思います。

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