1. 【書き起こし】コロプラ・GMO・スタートトゥデイの財務トップが語った「IPOストーリー、その後のIRの実際」

【書き起こし】コロプラ・GMO・スタートトゥデイの財務トップが語った「IPOストーリー、その後のIRの実際」


 IVS2日目、最初のセッションは「ファイナンス・IPO時ストーリー、その後のIRの実際」と題し、元アナリストのコロプラCSO・長谷部氏がコロプラの上場時のIR戦略を語るなど、なかなか語られることのないIRの裏側を語ってくれました。GMO・スタートトゥデイ・コロプラと成長を続ける企業の財務責任者はどのような考えを持ってファイナンスやIRを行っているのでしょうか。


 以下、書き起こし形式でお伝えします。

GMOのIPOストーリー

米島慶一氏(バークレイズ・アナリスト):  

 今回は、IPOストーリーということで、株価を見ながらセッションを進めさせて頂きます。早速なんですが、GMOさんです。99年のネットバブルの時に1.2兆円くらい行き、その後停滞しましたが、今年は非常に盛り上がってますね。


安田昌史氏(GMO・専務): 

 今回は、株式セッションという生々しいお話ですが、IRは売上があがるわけでもなく、社員も満足するわけでもないので、やる意味があるのか?と思うかもしれないが、それを今回はお話しようと思います。


 ネットバブルが弾けた時にIR担当役員になったのですが、1.2兆円の時価総額が80億円ほどになっていました。時価総額に応じて、メディアの方の対応が変わっていき、2004年には3000億円ほどまで上がりました。しかし、金融事業に失敗し、また下方修正を重ねる日々が続くことになりました。


 ただ、事業でのリハビリ期間をしっかりと置くことで、今年に入り非常に順調に推移しています。スタッフ・お客様・企業という3つの関係性の中で、しっかりとコミュニケーションをとり、ルールのなかできっちりしていくことが必要だと感じてまいりました。

スタートトゥデイのIPOストーリー

米島氏 : 

 なんか決算説明会みたいでしたね(笑) では、今度はスタートトゥデイさんです。スタートトゥデイさんは、順風満帆とはいえず、一度苦しい時期もありました。そこらへんをお話頂きましょう。


柳澤孝旨氏(スタートトゥデイ・CFO): 

 我々は、2007年に上場し、2008年より僕自身がCFOとしてやっております。2011年くらいまではずっと右肩上がりだったんですが、「Amazonには勝てないんじゃないのか?」やCEOのTwitter事件もあり、株価が下がってしまい、下方修正も出したんですが、トランザクション自体は20%成長していました。今年は、トランザクションの成長率は伸びていないのですが、株価は伸びており、株式市場は本当わからないなと思います。

コロプラのIPOストーリー

米島氏 : 

 次は、上場をお考えの方のタメになるようなお話をしたいと思います。 コロプラさんのIRで「びっくりしちゃった」とあり、僕らとしても非常にびっくりしました。そこらへん、長谷部さん、宜しくお願い致します。


長谷部潤氏(コロプラ・取締役CSO): 

 コロプラでの仕事としては、「裏の仕事」を請け負っています。事業計画の策定からKPIの分析、広告出稿、M&Aやおでかけ研究所というチームやソーシャルゲームインフォの社長もやっています。 僕は、2010年に副社長の千葉に誘われて、入社いたしました。その時は上場の意思はあっても、ムリだろうとは思っていました。IPOできたとしても50億~100億くらいかと思っていたら、初値で445億円、現在3118億円とびっくりな株価になっております。


 上場直前から上場までで言いますと、2012年4月に主幹事証券引受審査MTGを行い、上場ストーリーを描いたり、株価を決める上で重要な上場類似業者を当て嵌めていました。そこでSAPさんですよね?と言われて、非常に大変でした。上場時のバリュエーションは、この時点でかなり決まっていましたね。

コロプラの「びっくりした」IRの裏側

長谷部潤氏(コロプラ・取締役CSO):

 IRとは、フレンチでのサーブの如くです。またエンジニアはシェフで、どういったものを持っていくのかが任されています。まずやるべきことは、ボトムアップで数字をスパイスにして組み立てたメニューを決めることです。


 例えば「弊社は、社員100名中、開発が80名であり、ノウハウ共有が進んでおります。」というように、外注費用が低くて、コストカットが進んでいることが分かりやすく伝わるようにすることです。またStoreのランキングでも、何位にどれくらいの期間いたのかをポイントで表し、全体で見た時の会社の強さを伝えます。


 そうしたら、メニューを持っていきます。その際、写真ではなく文字で表現することが重要で、ロジカルで美しい一覧性のあるメニュー構成で妄想させることが必要になってきます。


  コロプラは上場前から「お皿を出す順番」を考えていました。その出す順番は「スマホ売上比(IPO時)→ネイティブアプリ→複数のアプリ展開」です。その際はスマホ普及率が30%程度だったことを説明し、ブロードバンドの普及率に伴う、主要ネット企業の株価の推移を重ねることで、説得力を上げることができました。


 そして、その時はスマホ売上比率が87%(当時、50%でも高い)と非常に高い数値であったため、成長が見込めることが分かりました。 IPO時は、スマホ売上比率だけを説明し、それを美味しく食べた後に次のお皿を出すことにしました。次は、2Qでネイティブアプリについて語ることにして、「ブラウザと違い、ぬるぬるとした操作感を実現することができます」と説明し、とにかくスペシャリティであることを詳しく解説したのです。


 こうして、ここでなければ食べれないと徐々に思わせていくようにしました。まずは、スマホの波に乗っていただけると語り、次にネイティブアプリを出せるのはいくつもありませんと絞っていきました。最後に、複数アプリのポートフォリオを独自の戦略として説明しました。今思うと、ここが重要であったと思います。「弊社は乗っているだけ→やっているだけ→弊社しかできない」というようにIRのまとめ方を想定し、事業の整理をすることでアプリを当てる確度は高まっていきますと語りました。 最初からネイティブアプリと言っても、機関投資家はわかりません。徐々に分かるように話していくことが大切です。


 それでは、ホールテーブル配置図についてお話します。 セルサイド(売買の仲介者)には、大和証券や野村證券などのアナリストがおり、バイサイド(売買の依頼者・株主)には、国内機関投資家などいます。力関係としては、セルサイドのアナリストとバイサイドのアナリストがMTGをして、その結果をファンドマネージャーに社内レポートとして伝わり、セルサイドの評価を行っていくような感じです。


 規模と格については、100億円未満では個人主体で機関投資家は困難になり、100億~500億では中小型ファンドが参加し、1000億までのいくと外国人が参加し、ファンド全般が参加するようになります。1000億を超えてくるとカバレッジが開始され、3000億を超えるとカバレッジが多数になっていくのです。結論としては、時価総額はつくれます。 IRをさぼっていると、マイナスのほうに作られてしまい、しっかりやっているとプラスのほうに作ることもできます。

マーケットとのコミュニケーションの取り方

米島氏 : 

 「時価総額はつくれます。」はかなり名言でしたね。


武田氏: 

 ちょっと突っ込みどころのないプレゼンでしたね。これはものすごく綺麗なストーリーで、マーケットを理解した上でコミュニケーションをとり、フレンチでのサーブの役割をやってらしたと思います。 逆にお二人は、マーケットとどういうコミュニケーションをとっているか教えてください。


安田氏: 

 株価が伸びているスタートトゥデイさんとコロプラさんの共通点は、優秀なアナリストが入っているということなので、優秀なアナリストを入れればいいのかという話になってしまいそうですね。

 

武田氏: 

 よく、皆さんにどうしたらカバレッジされるんですか?と聞かれますが、やはり市場がどう動いているのかということを知っているかだと思います。


柳澤氏: 

 弊社では、初めてカバレッジしてもらったのが時価総額500億程度の時で、その時のアナリストの方が今財務に入ってもらっています。そして、そこから日々学ぶことを繰り返して、ダイレクトに投資家を知っているということが大きなということも感じた。


米島氏 : 

 資本市場と対話する時に、わかってくれないと感じる時があると思うんですが、それはどうやって乗り越えていますか?


柳澤氏: 

 楽天さんやAmazonさんとなにが違うんだと言われることが多くて、業界の人はわかっても、投資家の方はわからないことがあります。また国内では、比較できる他社がおらず、海外でのIRを進めてはいました。


安田氏: 

 当社の事業セグメントは多岐にわたっているため、細かいKPIとかまでは追いきれません。なので、ソフトバンクさんのように1スライド1メッセージで12文字以上書かないようなルールの中で、簡単にしていくということですかね。

参考にしている企業のプレゼン

米島氏 : 

 この会社のプレゼンは参考になる!という会社さんはありますか?


長谷部氏: 

 過去も今も、サイバーエージェントさんです。(即答) サイバーエージェントさんのIRは、かなり参考にしています。 よくあるのが、前はあった説明が急になくなっていたりすることがありますが、そういったこともありません。


武田氏: 

 先程もありましたが、産業側の見方とIR側の見方は違います。 長谷部さんがすごいのは、IR側からの見方はもちろん、産業側からの理解も持っています。 例えば、AppStore内でのランキングのポイント化など指標を作ってしまうことができるという上場企業は、意外に少ないと思っています。


米島氏 : 

 やはりどこを見るのかという指標が株価を決めるので、指標を作れるのはすごいと思います。


安田氏: 

 コロプラは素晴らしいんですが、さらにソーシャルゲームインフォの数字も素晴らしいなと思っています。 いいなと思った資料を使おうとすると必ず資料のランキング内にコロプラさんがいらっしゃるので、上手いなと思いました(笑)

時価総額が上がることに関して、どう考えているか

GREE青柳氏: 

 事業会社の3人に質問です。時価総額が上がることの怖さはどう考えていますか?


安田氏: 

 それは、私もかなり考えるテーマなんですが、時価総額3000億となっているときに、100億の損失を出してしまい、多くの株主の方が離れていきました。その信頼を取り戻すのに、5年間かかりました。時価総額を上げ過ぎないというテーマについては、ステークホルダーマネジメントとして株主に期待値と結果のギャップを感じさせてはいけないと思っています。IRとしては、言えないことが沢山あるなかで、会社とマーケットを同期して、コミュニケーションをしっかりとることを大事にしています。


柳澤氏: 

 まだうちは6年位でこれというものはありませんでしたが、昨年下方修正を出したことがありました。今感じていることとしては、そういった時でもコミュニケーションを絶やさないというのが基本的ですが、重要な点だと思っています。それを継続することで、悪い時もいい時も理解してもらえるかなと思います。


長谷部氏: 

 フレンチでいうと、出している料理は変わらなくても、評判が評判を呼び、行列ができたりします。そこで調子にのって価格をあげることが、実際の企業価値との乖離に繋がります。実際の食材の価値を上げていくことをやっていくなかで、実際に価格をあげたほどの価値があるのか?ということを確認していくことが必要だと思います。そこをコントロールする意識が重要だと思います。


米島氏 : 

 皆さん、ありがとうございました。




<登壇者情報>


株式会社コロプラ 取締役 最高戦略責任者(CSO) 長谷部 潤 氏


GMOインターネット株式会社 専務取締役 安田昌史氏

 

株式会社スタートトゥデイ 取締役 CFO 柳澤孝旨氏 


Moderator: 

バークレイズ証券株式会社 ディレクター、 インターネット・通信担当アナリスト 米島慶一氏


UBS 証券株式会社 エグゼクティブディレクター 武田純人氏

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