1. 【書き起こし】東洋経済オンライン、YahooなどのトップがIVSで語ったスマートフォン時代のメディアの今後

【書き起こし】東洋経済オンライン、YahooなどのトップがIVSで語ったスマートフォン時代のメディアの今後


 キュレーションサービスが話題になるなど、これからますます変化していくことが予想されるメディア。スマートフォンの台頭で紙媒体はどうなるのか?など、今起こっているメディアの変化を様々なメディアを運営する方々が語ってくれました。

紙媒体に抱くイメージ

 メディアには、4つの役割があります。オピニオン媒体、コンテンツ媒体、広告宣伝媒体、コミュニティ媒体の4つです。この多機能なメディアがインターネットによって、ぐちゃぐちゃになっています。ヤフーさんも日経新聞とはまったく違うメディアになっています。 ヤフーの高利益率を調べると、やはり仕入れコストがとても低い。


 新聞社の記事作成コストを考えるとヤフーを目指すことは出来ない。そして日経新聞電子版というカタチを生み出しました。現在、200万人の会員と30万人の有料会員がいます。今は、モバイルが出てきたことで今後の大きな流れになるなというところです。 では、佐々木さんに紙の媒体を聞きたいと思います。


佐々木氏(東洋経済オンライン):

 新聞と雑誌の違いは宅配があるかですね。雑誌の売上は、スマホにとられていますね。雑誌を買うには、ファンと暇つぶしがあるんですが、暇つぶしはスマホにどんどんとられています。


藤代氏(日本ジャーナリスト教育センター):

 東京での紙媒体はかなりなくなっている印象ですね。ただ私がやっている地方では、紙は全然大丈夫で、5年後も生き残っていると思いますね。高齢者の方は、スマホやタブレットを使うのが難しいので、そこの層が今後増えていくと考えると、紙がなくなるというよりは分断化が起きる気がします。


古川氏(nanapi):

 紙とネットは全然違うと思っていて、僕らは検索をやっていたのですが、PCでは前のめりで検索するのに対しては、スマホではあまり検索されないと思っています。なので、ちょっと紙に近いようなイメージを抱いています。むしろ紙はもう一度復活するのではないかとも思っています。


友澤氏(Yahoo):

 媒体社がなくなるとはあまり思っていなくて、デジタルになるにつれてコンテンツと媒介が別れて行くと思っています。ヤフーは、コンテンツは作っていないので、媒介です。コンテンツは、紙でもネットでも使えるので大丈夫ですが、媒介は特化しないと難しいかもしれません。

東洋経済オンラインの改革について

 今後、どんどんネットに移っていくとは思うんですが、東洋経済オンラインの改革についてお話を聞きたいと思います。今まで改革は、何回もやってきたと思うんですが、今回は社内での危機感など何が違うんでしょうか?


佐々木氏:

 雑誌落ち込みによる危機感は強いですね。その中で紙とネットの違いを認識するのは大事だと思っています。社内のベンチャーのようなカタチでゼロベースでネットに合ったコンテンツを考えたので、成功したと思っています。

外部からネット用の記事を集めているか?


- 日経でも電子版をやっていますが、外部からネット用の記事を集めると記者としては自分たちの職が奪われていると思うんじゃないですか?


佐々木氏:

 そこは気にせずやりました。甘いことはせず、あえてやっているところもあります。その中で今後、目利き能力が重要だと思っています。


藤代氏:

 私も日経新聞でやっていて、ジャーナリストで競争が起きるのは本来いいこと。書くモチベーションは変わってきており、旧来メディアの人はお金をかけないといいコンテンツはできないと思っていると思います。 



- それでいうと、ヤフーニュースはインパクトがあって、日経新聞よりヤフーニュースにでるほうがインパクトがあることがありますよね。


友澤氏:

 ヤフーニュースの編集でいうと、目利きに特化していて、コンテンツを作る人とはちょっと違うスキルで動いてますね。


古川氏:

 僕らは、最初CGMサービスとして始まりました。ただ、楽しくて書く人は偏ってしまうんですよね。にんじんの切り方を楽しく投稿する人はいないので、丁寧な写真つきな投稿をクラウドソーシングで作っています。



- どうやってクオリティを担保してるんですか?


古川氏:

 写真をつけて、と依頼すると変なのは投稿されにくいですね。また新聞とかでも間違いは結構あると思っていて、間違いの率は一定の割合であると思うので、それをどう直すかに力を注いでいます。 例えば、資生堂さんは顔の洗い方にとても詳しくて、広報の方にお願いすると快く出してくれたりします。また間違った知識が広まるとまずいと思っている企業さんも出してくれます。

今後の新しいメディアとは?

- 今では、誰でもブログを立ち上げて、メディアになると思うんですが、今後の新しいメディアとは?


佐々木氏:

 もちろん専門家のメディアも必要なんですが、役割が分断されてきたなと思います。書くのが一流なだけの人よりも、現場で一流の人のコンテンツのが面白かったりします。また、喋るのが上手い人はライターを呼べば面白いコンテンツになります。


- では、誰がメディアの大元をやるのかというところはどうでしょう?


古川氏:

 最近だと、GunosyやSmart Newsがあるので、メディアとしてサイトがある必要があるのかと疑問になってきていますね。コンテンツの出し手である役割なので、個人のジャーナリストのサイトがあればいいのではないかとも思っています。そしてそれを目利きする役割があればいいのではないか。


藤代氏:

 メディアって誰でも立ち上げることができるし、ニュースメディアだけがメディアではなく、古川さんのように社長がメディア化している場合もあると思うんですね。ヤフーはどうでしょう?


友澤氏:

 儲けるためにコンテンツを作るか、自分のスキルアップのためにコンテンツを作るかの2つかなと思っていて、今後色んな人が参入して、色んな人が脱落するのではないかと思っています。


藤代氏:

 さっきのセッションで、楽天の長いサイトで購買意欲が湧くのも、一つのメディアだなと思いました。


友澤氏:

 そうですね、目利きという編集力が重要になっていて、今後エッジを立たせないとメディアは難しいと思います。

ネットメディアで苦労している点


- 今まで、インフラが必要だったのがメディアだが、インターネットによって誰でもメディアに参入できるようになった。この戦いでどう永続的にやっていくのかというのが問われていますが、苦労している点はなんでしょうか?


佐々木氏:

 やっぱり広告が伸びているんですが、紙と比べると単価がとても安いですね。それをどう伸ばしていくのかという研究に励んでいて、日経新聞というような立場であれば課金が可能なんですが、僕らは広告を伸ばそうと思っています。また僕らは、紙と年齢層を分けたので難しいですが、日経ビジネスは紙と上手くシナジーを生もうとしてますね。


友澤氏:

 やっぱり、ネットでの広告は検索連動型広告とディスプレイ広告の2つがあって、ディスプレイ広告であればクリエイティブ向上によって伸びていくのかなと思っています。


藤代氏: 

 大槌みらい新聞では、色んなメディアの価値に気付いて、今後それに伴う色んなマネタイズの可能性を感じました。

メディアの新しい広告手法はあるのか?

友澤氏: 

 メディアで食えなくなった人がマーケットプレイスに移っていくなど、競争力でどう勝っていくのかが重要だと思います。



 - 今では、モバイルによって位置情報が分かって、どこの○○がいいのかという切り口はできないんでしょうか?


古川氏:

 例えば、ディズニーランドはこう回ると楽しいよとかはやりたいなと思っていますね。こういう新しいアプローチをしないと難しいなと思っていて、今ではこのメディアだから読まれるという価値を作りにくいので、切り口を頑張っていきたいと思っていますね。


- 動画広告についてはどうでしょう? 


友澤氏: 

 海外と日本で大きく違うのは、Facebook普及率ですね。また、コンテンツと媒介が分かれているのはアメリカで、ごっちゃになっているのが日本です


藤代氏: 

 日本でもっとディストリビューションが増えていけばいいと思うんですよね。


- 今までは、ネットの世界だなと思うんですが、テレビの世界は手付かずですよね?放送波の中で収めようとしているテレビ局とマルチスクリーンの波はどうでしょうか?


友澤氏: 

 色んなスクリーンの役割がきっちり分かれてきたなと思っています。そしてマーケットを大きくしていくというのがヤフーで、日本では一番いい進め方だと思うので、テレビ局を買ったりはしないですね。


佐々木氏:

 ネット企業でコンテンツを本気で作るところが出てきたら面白いなとは思いますね。


関口氏:

 こう作ったほうがいいのではないかとネット企業からありますか?


古川氏: 

 まずあるのは、テレビのコンテンツをしっかりネットに持ってくることが必要かなと思います。NHKでは、番組をテキスト化をして、1分くらいで分かるようにまとめていたりしています。圧倒的に一番やっていますね。


- こうやれば儲かるというのはありますか? 


佐々木氏: 

 とにかく広告ですね。課金を色々研究しましたが、僕らの層では小さく終わってしまいそうなので、まだまだ時間はかかると思っています。そしてメーター制はくると思いますが、そのモデルが成立するメディアは少ないですよね。


藤代氏: 

 やっぱりコンテンツをただ売るだけというのは難しいと思います。どこも書いてないとかそういう価値がないと難しいですよね。どこを見ても同じものは淘汰されていきますね。アメリカでは、アグリゲーターがコンテンツを育てているので、日本でもそういった社会になって欲しいですね。


友澤氏: 

 課金については、個人では可能性がありますが、それでメディア的なコンテンツを売って数百億稼ぐのは難しいと思いますね。ただデジタルではPDCAが早いので、そこで試せばいいと思います。


古川氏: 

 最近は物販に興味があって、ほぼ日刊イトイ新聞は手帳とかタオルを売っていたりするので、僕らもオリジナルな商品を売ったりするとコンテンツでお金を稼ぐ必要はないかなと思っています。


<スピーカー>
東洋経済新報社 東洋経済オンライン編集長

佐々木 紀彦 氏


株式会社nanapi 代表取締役

古川 健介 氏


日本ジャーナリスト教育センター代表理事

藤代 裕之 氏


ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー マーケティングイノベーション室 室長

友澤大輔 氏

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