1. 「創業者でも関係ない」 -Apple再興の裏にはジョブズ氏をも解雇する断固たる姿勢が存在した

「創業者でも関係ない」 -Apple再興の裏にはジョブズ氏をも解雇する断固たる姿勢が存在した



 人を雇用したり解雇する、という判断は会社にとってかなり重要な問題である。適切な人物を適切なタイミングで行わなければならない。その立場が上になれがなるほどその影響力は大きい。


 Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズ氏が一度Appleを解雇されたことは多くの人がご存知だろう。この話の裏には2人の人物が大きく関わっている。ジョブズ氏を解雇したジョン・スカリー氏と再雇用したギル・アメリオ氏である。ジョブズの解雇と再雇用がAppleに与えた影響は大きい。

スカリー氏はなぜジョブズ氏を解雇したか

 1983年、当時ペプシコーラの重役だったスカリー氏はジョブズ氏にヘッドハンティングされApple社社長に就任することとなった。その時の口説き文句はとても有名だ。


 “Do you want to sell sugar water for the rest of your life, or do you want to change the world?(=このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか。)”


 スカリー氏は引き抜き当初ペプシにたいする未練が残っていたようだが、ジョブズ氏の熱烈な交渉に折れる形となった。当時のジョブズ氏とスカリー氏の関係は良好で、“ダイナミック・デュオ”と呼ばれるほどだったという。


 しかしその後、ジョブズ氏はMacintoshの販売予測を誤り多くの在庫を抱え、創業以来初の赤字となってしまう。その結果多くの従業員が解雇されることとなったのだ。


 スカリー氏とジョブズ氏はMacintoshの価格設定に関しても対立した。「Macintoshの価格を下げたい」と言うジョブズ氏に対してスカリー氏は反対。ジョブズ氏は持論を言い続け、取締役会はスカリー氏に対してジョブズ氏を外す権限をスカリー氏に与え、ジョブズ氏は会社を追われることとなった。


 解雇当時のジョブズ氏は、会社経営に関してもそこまで優れているわけではなかった。彼が脅威の経営者としてAppleに君臨したのは、解雇されている間に様々なことを経験したからだとスカリー氏は語っている。


 自らをヘッドハンティングし、さらには創業者でもあったジョブズ氏を解雇したことに関して、スカリー氏は「他の道もあったのではないか」と話す。しかし、このときのスカリー氏の判断が当時の経営危機の状態からAppleを救ったことは間違いないだろう。

アメリオ氏はなぜジョブズ氏を再雇用したか

 アメリオ氏はApple再建に大きく貢献した人物である。研究者でありながらすでに二度の会社経営再建を達成したアメリオ氏は、1996年にApple社のCEOに就任。これはジョブズ氏らと共にAppleを創業したメンバーの1人、マイク・マークラに請われてのことだった。


 従業員のリストラや開発プロジェクトの削減などを進め、OSの制作も自社開発を断念した。そして次期OSの開発にあたっては外部からその技術を調達すると決定したのである。そしていくつかの候補から選んだのがNeXT社のOS「OPENSTEP」だった。そしてそこのCEOがスティーブ・ジョブズだったのだ。こうして1997年、アメリオ氏はNeXT社を買収しジョブズ氏を非常勤顧問という形でApple社へと呼び戻した。


 このOPENSTEPをベースに新OS「Mac OS X」をリリース、さらには採算の取れないものを断念し、アメリオ氏は見事Apple社の立て直しに成功するのだ。

Apple成功の影の立役者

 人事をする際に大切なのは企業文化を創造するという姿勢だ。創業者だから、自分を引き抜いたからという理由はもちろん判断基準としてはふさわしくない。人を雇ったり解雇する中で、企業文化を作り上げていくのだという意識を持つことが大切なのだろう。


 ジョブズ氏の解雇はAppleに多大な影響を与えたし、再雇用した際も同じことが言える。この時のスカリー氏、アメリオ氏の判断がAppleをここまで大きくした。ジョブズの成し遂げた裏で、この2人もAppleを立て直すことに大きく貢献したのだ。

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