1. 『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』の著者、河野英太郎氏が語るリーダーシップの本質

『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』の著者、河野英太郎氏が語るリーダーシップの本質


 組織やチームの生産性を上げるためにもリーダーシップを持つことはとても大切だ。しかし、リーダーシップを持つことには才能が必要だったり、自分にはできないと思って諦めてしまっている人も多いのではないだろうか。


 そんな考えに警鐘を鳴らすのが、『99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ』や『99%の人がしていないたった1%の仕事のコツ』で60万部のヒットとなった河野英太郎氏だ。彼はIBM時代に多くのノウハウを身につけ、現在はデロイトトーマツコンサルティングに勤めている。今までの経験で蓄積したノウハウから、今回「UNDER30東京仕事会議」で講演いただいた「リーダーになるためにすべき1%の仕事のコツ」についてまとめた。

今すべての人にリーダーシップが求められる理由

 リーダーは決して選ばれた人に与えられる肩書きではない。むしろ全ての人が持つべきものである。その理由として、仕事効率をあげる必要があることがあげられる。現在少子高齢化の進行により我が国の労働人口は年々減少している。そのことに対する解決策は様々あるが、私たちにできることの1つとしてあげられるのが仕事の生産性を上げることだろう。


 日本人は真面目だと言われ、「仕事ができる」というイメージが持たれがちだが、実は労働生産性という点で見ると世界的に低い水準にある。主要先進7カ国の中では第7位であり、イタリアやドイツよりも低い。これは投入した時間に対するリターンが少ないことを示している。

 「まじめとみじめは一字の違い」という言葉があるが、日本人は真面目にやればやるほど結果が出ると思っている。それは100%間違いではないかもしれないが、行き過ぎると「ただ効率が悪い」となってしまうのだ。

 組織やチームとして効率よく結果を出すためには、リーダーシップを持つことが求められるのである。

 また、すべての人がリーダーシップを持つことは負荷分散にもつながる。チームのメンバー全体がリーダーシップを持っていれば、1人に負担が集中することがなくなる。チームとして高い成果を出しているところはこのことが共通点としてあげられるだろう。

基本に立ち返ることが求められる


 リーダーシップを持つために前提として持っておくべきなのが「back to basic」、つまり基本に立ち返るということだ。

 例えば、高い理想を持ちチャレンジすることは奨励すべきことだ。しかしその時に大切なのが、その理想を今すぐに達成しようと思わないことである。そうすると自分がすべきことが誰にもできないことであったり、「自分とは何なのか」という“自分探し”が始まってしまう。

 今の自分にできることは何なのか。その基本に立ち返って今この瞬間にできることを確実に行うことが必要だ。これはリーダーになろうと思った時にも同じことが言える。リーダーがすべきことはたくさんあるが、私は基本的なことを世の中に訴えようとしているのである。

リーダーとマネジャーは違う存在

 “リーダー”と言うと、「忙しそう」や「管理を押し付けられて毎日残業」というイメージを持ち、結局リーダーにはなりたくない、と思ってしまう人が多いように思う。これはリーダーとマネジャーが曖昧になってしまうことから起こる誤解である。


 そもそもリーダーとは、新しい価値を想像する人物である。つまり変革社でありプロフェッショナルな存在なのだ。それに対し、マネジャーは決められたことを確実に実行し管理する立場の人間である。両者は決してイコールの存在ではないのだ。


 マネジャーは命令や指示によって部下とコミュニケーションをとる。しかしリーダーはそもそも部下と上司という関係性ではなく、リーダーとプレイヤーという立場で命令はしない。信頼や納得といったもので人を動かすのがリーダーなのだ。


 私が定義するリーダーは「変化を見極め組織の向かうべきビジョンを掲げ、関係者を動機付け、ビジョンに向かわせる人」である。関係者への動機付けは“性善説”に基づき行う。


 性善説に基づいて相手をやる気にさせるためには、一挙手一投足を管理するやり方ではいけない。相手のことを信じ、ミスする可能性があっても任せるべきなのだ。もしかしたら裏切られるかもしれない。しかしそれでも相手を信じる姿勢が大切だ。相手のやることをすべて管理する「マイクロマネジメント」はメンバーの成長を妨害してしまう。

リーダーとメンバーの関係は上司と部下の関係ではない


 リーダーとメンバーの関係が上司と部下の関係と同じだと思っている人もいるかもしれない。しかしこれは異なっている。そもそも上司が偉いものだという考えには根拠がないのだ。私はこのような関係性を「特別権力関係」と呼んでいる。


 「上司の命令に従えないのか?」や「何なのかよく分からないけど上司、先輩の言うことだから聞いておこう」という台詞はリーダーとメンバーの関係性の中には出てこない。「上司だから」ではなく、自分の成果によって人を導けるのがリーダーだと言えるだろう。

メンバーを育てることが求められる

 先ほども言ったが、リーダーシップは限られた人に求められるものではなく、チーム一人一人に求められるものだ。“If you were in my shoes, what would you do?”という慣用句があるが、これは「僕の立場に立って考えてみろ」という意味だ。


 リーダーシップを分散させられるチームは強い。「リーダーはこういうことを思っているだろうな」とメンバー全員が考えられることがチームの効率を上げることにつながる。「これは自分の仕事じゃない」と言ってしまうままではいけない。


 そのためにはメンバーを育てていくことが求められる。その時に必要なのが次の7つのポイントだ。


○失敗しても挽回の機会を与える

○褒める

○あれこれ言い過ぎない

○ねちねち言わない

○信じて任せる

○メンバーのやりやすい環境を作ってあげることが優先

○最優先事項は自分の状態を最善に保つ


一番大切なのは最後のポイントだ。疲れていたり時間がなさそうな人に話しかけようと思う人はいない。いいリーダーは暇を装い、上機嫌でいることが大切だ。メンバーはたとえ一定期間ではあってもリーダーに自分のキャリアを任せることになる。安心して任せられるリーダーというのはいつでも上機嫌なのだ。また、自分が非常に忙しいときでも暇に振る舞うことは組織を円滑に進める上で重要である。


 最後にみなさんに次の言葉を贈りたい。

“I do not shrink from this responsibility.” by John F.Kennedy

 (私はこの責任から尻込みすることはない。)


 この内容は10月24日に行われた「SHAKE100×Discover U30東京仕事会議 【20代限定】はじめて部下を持つ人のための 99%の人がしていないたった1%のリーダーのコツ」をまとめたものである。



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