1. 「起業前にサービス作りを経験しろ!」- いざ独立。自分の会社を作ると何が起きるのか。【1日で学ぶ経営者への道】

「起業前にサービス作りを経験しろ!」- いざ独立。自分の会社を作ると何が起きるのか。【1日で学ぶ経営者への道】

 クラウドサービスの普及やシード投資家が増えたこともあり、起業しようという志のある若者が最近増えてきたように思う。しかし、一歩踏み出せていない人も多くいるだろう。実際に会社を設立するとどうなるのだろうか。

 先日、“創業期から事業成長期を経てM&Aや上場”といった経営ストーリーを、全6セッションで学ぶことのできる「Incubate Fund Days 2013 Conference Day」が開催された。その全ての内容を6回に分けてお届けする。第1回目は起業して間もない若手の起業家4名から語られた、起業までの経緯や現在の課題を記した。

<登壇者>
株式会社ietty  小川泰平氏(写真右から2番目)
株式会社レレレ 山本大策氏(同3番目)
株式会社Prosbee 笠井レオ氏 (同4番目)
株式会社Grood 原口悠哉氏(同5番目)

そもそもの起業の経緯と起業までの準備

小川氏:
 住友不動産に入社した時から、5年で辞めるという考えは持っていた。4年が経ったあたりの時にそろそろやめなきゃいけないなと思い、「起業」だなと思い、ITに関するビジネスモデルを10個から20個考えて、その中でもイケてそうな案を友達の会社を実際に使ったりして勉強していた。ただ、いざ自分たちで会社をやると考えた時に外的なエビデンスがないと怖くて踏み出せないという思いがあったので、何かしらのエビデンスがもらえそうなインキュベイトキャンプに参加し、起業に至った。

山本氏:
 僕自身、起業したいという思いは持ってなかったんですよ。ただ、自分が作ったサービスで世の中を変えるということに関しては興味があった。そのための準備として、サービスのアイデアを書き留めておき、年に1個か2個試すというのを繰り返していた。そして、その中の一つであるコーヒーミーティングが当たり、ユーザーもついてきていたので、インキュベイトキャンプに参加し起業することになりました。

笠井氏:
 起業するまでに2つの準備をしてきました。一つがスタートアップから大企業まで幅広くインターンしました。例えば、Whyteboardという会社のインターンでWebサービスの作り方、資本政策を学んだりしました。もう一つは自分で実際にサービスを立ち上げてみたことです。当時は大学の講義ノートを売買するというようなサービスを作ったりしていました。そういった経験を繰り返して、現在起業に至っています。

原口氏:
 大学の時にメディアを作って、そこでそこそこ収益を上げられていたことは振り返ってみて良かったなと思います。社会人として就職してからは、起業するということが分かっていたので、300円のお弁当を昼と夜用に2つ買って食べるなど、かなり節約して起業資金を貯めたりしていました。

起業する前にサービス作りは経験しておくべき

 多くの起業家は一度はサービスを作り、そこでの失敗を活かした上で起業をしている。登壇者の中で唯一、サービスを作らずに起業をした小川氏。そこで苦労したり、損したことは何だったのだろうか。

小川氏:
 すごく損したなと思いますよ。自分は根が不動産屋なので、周りにエンジニアの友達もいなかったし、サービスを作るとなると外注するしか方法がなかった。ディレクション経験もないまま、いざ外注してみたら思っていたものと違うものが上がってきたりした。

「失敗しても何とかなるだろう」

 大企業から起業するといった際に、迷いなどはなかったのだろうか。住友不動産に勤めていた小川氏とリクルートに勤めていた山本氏は、大企業からの独立をこう語った。

山本氏:
 大企業から出ることによる心配はあまりなかった。自分はエンジニアでそれなりにスキルもあったので、失敗しても何とかなるかなと思っていた。そういうところでの安心感はあった。大企業・ベンチャーにしろ、3年周期くらいで飽きがくるので、大企業にいなくても変わらずに起業していたと思う。

小川氏:
 悩んだことはあまり無いけれど、金銭面に関して多少の悩みはあった。しかし、そんなにお金に執着するタイプではなかったので、切るところ切っていけば良いかなと思っていた。サラリーマンが向いていなくてサボってばかりいたので、このままいても給料上がらないし、右肩下がりだろうなという認識があった。それもあり、思い切ってスタートアップの世界に飛び込めた。

ベンチャーは会社のフェーズを大きくするところを経験できる

 前職がベンチャー企業で、そこから起業するというパターンも多くあるだろう。起業する際、ベンチャー企業での経験は役に立つことがあるのだろうか。前職がVOYAGE GROUPであった原口氏は、ベンチャー企業で働いていて良かった点を語った。

原口氏:
 起業すると思っていたし、会社にも伝えてあった。ただ2年〜3年働いてから判断するという条件の上で採用していただいた。元々リブセンスの村上さんとは同じ年で、自分が入社した時に村上さんが上場してとても焦って起業が早まったところはある。VOYAGEに入って良かったと思っている。VOYAGEには数多くの事業会社があり、様々な会社の立ち上がりや会社を大きくしていく方法、様々な人のマネジメントを見ることができた。

紆余曲折を経て、今のビジネスモデルが完成した

原口氏:
 元々、音声×写真のSNSを作ろうと思っており、スマホ×音声というところで色々やっていた。声優の卵と収録を行ったことがあり、その時に声優さんがしんどい生活を送っているということを聞いたのと、ソーシャルゲームを見てみると音声が多く使われていて動画マーケティングも盛り上がっていることから、声優に特化したクラウドソーソング「Voip」を始めた。

笠井氏:
 自分の場合は、事業プランを一緒に作っていたような感じです。ただ、本のプレーズを共有するサービス「Booklap」をやりたいと思った理由は3つあり、1つ目が本を読むのが個人的に好きだったということ。2つ目が共同創業者の池田知晶が出版業界に繋がりがあったこと。3つ目が前に作った大学の講義ノートの売買サービスから着想を得たということです。

山本氏:
自分の場合はモノが先にあって、後はちゃんと使えるかなという確認作業だった。ティザーサイトを使ってロゴとコンセプトを決めて、「使いたい人は登録してね」といった形で2ヶ月間運営していたら500人くらい集まったので、アイデアは問題ないだろうと思っていた。

小川氏:
 さっきもお話した通り、住友不動産時代から幾つかビジネスモデルは考えていた。インキュベイトファンドの和田さんに初めて会った朝の勉強会で自分が一番イケてると思っていた「カレンダーUI」のビジネスモデルを話してみた。しかし 「それは分かったから、他にないの?」と言われ、今のiettyの片鱗らしきビジネスモデルを話したところ、それをもっと深掘ってほしいと言われたのがきっかけで今のiettyがある。

困ったことは毎日降りかかってくる

 起業をすると日々、多くの困難が起こることだろう。4名の起業家はいかにして困難を乗り越えたのだろうか。実際に経験した困難とそれをどうやって乗り越えたのかを語ってもらった。

原口氏:
 困ったことは、人を採用することに慎重になりすぎて、人手が全く足りなくなってしまったこと。バッと大きい注文を頂いていたのだが、当時の自分は人件費が会社を殺すと思っていたので、本当に忙しくなったら人を採用していこうと思っていた。ただ、その時に本当に忙しいと採用する暇がないということに気がついた。人手が足りないという状況を乗り超えるための解決方法が「とにかく働く」だった。今は新しく人を何人か採用して、早め早めに事業を運営していこうと考えている。

笠井氏:
 一番困ったことを色々と考えてきたんですけど、一番はなかったなと思います。ただ、毎日困ったことはたくさんありました。困ったときは、チームのメンバーや株主の方、支援してくれる方の力を上手く借りながら乗り越えられたかなと思います。

山本氏:
 去年の9月くらいに、コーヒーミーティングを「どうマネタイズするのか?」と聞かれることが多かった。その質問の回答を用意しなければという考えで頭が一杯だった。多少無理矢理ではあったんですけど、企業向けのプランで数ヶ月やってみたりしていた。今振り返ると、その数ヶ月は遠回りだったなと思う。最終的なゴールは「自分のサービスで世界を変える」というビジョンだったが、目先の利益を追うことでサービス自体がつまらなくなってしまったというのを実感した。

小川氏:
一番困ったのは、思ったようにプロダクトが出来上がらなかったり、プロダクトが出来るスピードが上がらないという外注の問題。これは内製化しなければヤバいなと感じた。採用しようとしてもなかなか上手くいかず困っていたが、インキュベイトファンドの和田さんの紹介で今年の4月に一人採用することができた。一人入ってくれた後は採用はスムーズに進んだ。もう一回起業するなら、絶対に創業メンバーにエンジニアを入れる。

起業家は目線を高く持ち、自分を信じきることが大事

 最初から何でも完璧にこなすことのできる起業家はいない。何かしらの課題を持ち、その課題を解決するために試行錯誤を繰り返していることだろう。4名の起業家がそれぞれ経営者として課題に感じている部分を語った。

原口氏:
 自分が課題だなと感じている部分は2つ。1つ目はチーム作りの優先度が低かったというところ。2つ目は経営者としてスケールが小さかったというところ。僕自身、学生時代から小銭を稼いでいたので、ボトムアップで事業を考えてしまう癖があった。でも、今やるべきなのはもっと高い山を最初から目指して登ること。目線が低いままだったら、スケールの小さい起業家になってしまっていたなと思う。

笠井氏:
 今、一番課題だと思っているのは「分析力」だと思っています。僕達がやっている出版・書籍業界は紙から電子に移行してきて、色々な業界の再編などが進んだりしています。まずはそれをどうやって捉えるか、これから3年後仕様がどのようになるかというのをしっかりリサーチして分析を行い、自分の事業との結びつきに関して意思決定をするところが自分の課題だと思っている。これを解決するためには、とにかく調べまくるしかないので、色々な人の知恵を借りたりしながら知識を増やしています。

山本氏:
 自分の力を信じきれていなかったかなと思いますね。「1000万人が使うサービス」を作るというのを照れずに言うことだったり、本当に信じてやりきれていなかったけれど、今は割り切れて出来るようになってきたかなと思います。

小川氏:
 資金調達を先日完了し、お金をお預かりしました。しかし、預かったお金というのは「やったぜ!これで1年間ご飯食えるぜ!」というお金ではなく、その価値を最大化し、次のフェーズまで引き上げるためのお金だと思っている。ただ、お金の価値を最大化するためには、どこかで踏み込まなければいけないタイミングが必ずあると思っていて、踏み込んでも壊れないような組織作りをしていくことが今の課題になっています。




 起業して間もない起業家たちの言葉は生々しく、起業を志す人にとっては勉強になるものが多いことだろう。今回、登壇した起業家はこれからアクセル全開で突き進んでいくということで、これからの成長に期待したい。

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