“ヒット商品”を連発する「セブンプレミアム」- 成功の裏にあった効果的な3つの施策
- 2013/08/27
- Shingo Hirono

セブン&アイ・ホールディングスは、プライベートブランド(PB) 「セブンプレミアム」の売上高を2015年度に1兆円まで引き上げることを発表し、商品数も1700品目から15年度には2400品目へ増やす意向を示している。また、売上高は12年度は4900億円の計画で、3年後には倍増となる 。「セブンプレミアム」の飛躍の理由は何なのだろうか。「施策」の面から成功の秘訣を考えていく。
商品のパッケージやブランドマークを統一する
ブランディングによって商品デザインが統一されると、売り場に統一感が生まれる。そして、店全体に統一感が出ると、圧倒的な告知効果が生まれるのだ。ブランディング戦略を始める前も、セブンにはPB商品があった。しかし、分類ごとにバラバラのブランドで、統一感がなく、認知度が低かった。そこで認知度を高めるために商品のパッケージやブランドマークを統一した。
セブンイレブンの売り場を想像してみてほしい。きっと同じパッケージやロゴが並んでいたはずだ。このロゴは有名デザイナー、佐藤可士和氏が手がけている。セブンプレミアムは商品のパッケージやブランドマークを統一することによって認知度を向上させていくことに成功したのだ。
消費者の意見をダイレクトに反映している
セブンプレミアムは2009年10月に顧客参加型コミュニティサイト「プレミアムライフ向上委員会」を立ち上げた。これによって消費者の声を商品開発に繋げることに成功した。例えば、冷凍コロッケ「ひとくちポテトコロッケ」を皮切りに、インスタントラーメンや、シャンプー&コンディショナーなどが「プレミアムライフ向上委員会」によって開発されている。セブン&アイ・グループMD改革プロジェクト担当の山本昌彦氏は「プレミアムライフ向上委員会」の立ち上げについて下記のように語っている。
“個々の商品をみると、発売後何も手を打たなければ翌年には売り上げが落ちてしまう。商品を改善し続けることは重要な課題で、そのためにもお客様の生の声を収集できないか、という声が社内の商品開発担当から上がってきた”
<出典:セブンPBの新戦略は“消費者参加”!? 「プレミアムライフ向上委員会」の狙い>
このように自社の考えだけでなく消費者の考えから生まれた商品があるから、消費者に愛されるようになっていったのだろう。
製造は中堅メーカーから大手へ
セブンプレミアムが成功した理由に品質に対するこだわりも挙げられる。近年、コンビニの来店客層の女性比率が上がってきた。女性客に支持される商品を作った企業が、結果的に売上を上げていく。だからこそセブンでは徹底して品質にこだわり、製品の改廃を頻度よく行っているのだ。セブン&アイ・ホールディングス広報担当は下記のように語っている。
“例えば、ウーロン茶は以前はジャスティスという会社がセブンプレミアムウーロン茶をつくっていたのですが、現在はサントリーフーズが作っています。90日目で必ずどの商品も見直し、数字が落ちていればその原因を探り、さらに良い商品をお客さまに提案できるように取り組んでいきます。もし品質やお客さまの求める水準での製造が難しければ、他のメーカーさん企画・製造の取り組みをお願いする可能性もあります”
<出典:「マクロに分析してミクロに対応」が成長の源泉 業績好調のセブン-イレブンに学ぶ変化対応の蓄積>
現在セブンプレミアム商品の製造に参加しているメーカーはミツカン、キッコーマン、サンヨー食品、キユーピー、ハウス食品などである。値段は安く、品質には徹底的にこだわったことがセブンプレミアムの成功に繋がっている。
セブンプレミアムが成功した理由は、この3つが挙げられる。ロゴやパッケージを統一し、消費者の意見を基に開発も行い、徹底的に品質にこだわることで消費者との信頼関係を構築していった。この戦略を自社の戦略の参考にしてみてはいかがだろうか。