1. ハーバード流交渉術に学ぶ、合意に達するための方法 - 4つのステップを意識して、話を進めていくこと。

ハーバード流交渉術に学ぶ、合意に達するための方法 - 4つのステップを意識して、話を進めていくこと。

 交渉とは、相手の間に利害の一致しない部分がある場合、合意(調整)するための相互コミュニケーションのこと。裁判に例えて説明すると、二人の裁判官が共同で判決を考えるようなもの。

 合意できないパターンは、3つに分類することができる。1つめは、前提となる事実認識が異なっている。2つめは、結論を導くための考え方、あるべき基準に関する認識が異なっている。3つめは、そもそも根底にある価値観が異なる。これらが合意できないパターンの典型的な例である。

「交渉」は「駆け引き」ではない

 交渉の良し悪しを判断する客観的基準は3つある。1つめは、合意が可能な場合にそれが優れた合意になるかどうか。 2つめは、プロセスが効率的であるかどうか。3つめは交渉後に関係が改善されているかどうか。駆け引き型交渉のデメリットは、ハードに条件へのこだわりがあると、態度を変えにくくなる。ソフトに接すると、ハード戦略の相手にボロボロにされてしまう。

原則立脚型交渉

 交渉には3つのステップが存在する。それは「分析」「立案」「協議」の3つ。「分析」は対処すべき人間的要因(認識のずれ・感情・意思疎通)を見極める。自分と相手が望んでいる利益を把握する。「立案」は人間的要因の解決策、優先する利益の確認をする。「協議」は共通の利益を達成する選択肢をもとに考える。対立する利害を客観的基準に基づいて調整していく。

 原則立脚型交渉とは、本質的な利益とお互いが納得する合意の選択肢に着目し、公平な判断基準を設定することで優れた合意を目指す手法。この手法には4つの原則があるので、1つずつ解説していきたいと思う。

1. 人と問題を切り離す

「相手の心をコントロールする」
 人の心の問題(人間的要因)をきちんと考えているかを自問し続けることが大事。交渉においては、「問題」と「人の関係」が一体化しがち。人の問題を対処していくには、相互の認識の確認をし、お互いに話の聞ける環境を作り、常に改善する努力をすることが求められる。

 認識への対処は、相手の事実認識に対し誠実に向き合うことが大切。感情への対処は、相手の立場になり、その視点のメリットを考える。またプロセスに参加してもらい、相手の面子を立てることが大事。交渉に立つ人間の方針や立場と、合意とのギャップを調整する作業であり、軽んじてはいけない。

 交渉者の感情の多くは5つの基本的な利益からきている。第一に、自分に関する事を自分で決めてコントロールしたいという「自立性」。第二に、存在や価値を認められたいという「価値理解」。第三に、仲間の一員になりたい、受け入れられたいという「つながり」。第四に有意義な目的を持ちたいという「役割」。第五に公平に見られ、評価されたいという「ステータス」。

意思疎通への対処は、どのような認識を持ってどのような感情を抱いているかを把握するためにきちんと聞く。もしくは、合いの手を挟み、一番安上がりな譲歩は、話を聞いてますよアピールをする。

2. 利益に着目する

 利益には、とことんこだわるべきで、自分の利益を主張するときはハード派が条件を主張するのと同じくらい強い態度で構わない。また相手の言い分に聞く耳を持っていると分かるように「間違っていたらご指摘ください」と断っておく。認知的不協和理論を利用することも良い。認知的不協和理論とは、心に矛盾を抱えている人が、その矛盾を解消しようとする考え方。相手の中に問題と自分を切り離して一緒に解決を図ろうという気持ちが起こってくるというもの。

3. 互いに利益のある選択肢を考える

 選択肢を考える4つの阻害要因は、1つに「アイデアの切り捨て」がある。交渉の場ではユニークなアイデアがでにくく、相手の問題点を探そうとする批判意識が働く。2つめに「単独の答えを探してしまう」がある。ほとんどの人の頭には交渉のアイデアを出そうという発想がなく、必要なのは条件の差を埋めることで、選択肢を広げるべきだとは考えていない。一つの回答に辿り着こうとすると、多くの可能性の中から一番いいものを選び取るという優れた意思決定プロセスを無視してしまう。

 3つめに、「パイの大きさが固定だという思い込み」がある。交渉の対象になっているものを奪い合うしかないと双方が思い込んでいる。4つめに、「相手の問題は相手が解決すべきだという考え」がある。お互い自分の利益にしか関心がないという事実があり、交渉では相手側の言い分を認めたくないとう心理も働きやすい。

 客観的基準を用いる交渉の成否は、自分の望んでいる結果(意思決定)を相手側にさせられるかどうかにかかっている。できるだけ、そのような決断がしやすいように配慮する。そのために、交渉者の立場を考えて行動すること。方法としては、交渉相手の視点で問題を眺め、意思決定者を見極め、背後にいる人を説得するための材料を渡す。

4. 客観的基準に基づく解決にこだわる

 客観的基準にこだわるということは、自分側の持ちだした基準のみにこだわるという意味ではないし、一つ正当な基準が見つかったからといって他の基準を排除すべきでもないのである。

 基準についての注意点は、原則の部分で合意すること。具体的な条件を検討する前に、何をものさしにするかで意見を一致させる。また、基準を問い直すことも大切。相手が提案した基準で本題を徹底議論した後でも、その基準の妥当性に確証が得られなかった時は「正当性を確かめましょう」と提案してみる。基準に拠らない限り、譲歩しない姿勢を貫くこと。

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