1. 元クックパッドCFO 成松淳氏が語る「IPOに必要な5つの条件」- 大和証券が始めるベンチャー支援“Get IPO 2013セミナー”まとめ

元クックパッドCFO 成松淳氏が語る「IPOに必要な5つの条件」- 大和証券が始めるベンチャー支援“Get IPO 2013セミナー”まとめ

 7月24日(水)に東京駅グラントウキョウノースタワーの大和証券㈱本社にてビジネスチャンス主催の「Get IPO 2013 セミナー」が開催された。こちらのイベントはベンチャー支援の一環として大和証券・監査法人トーマツ・あずさ監査法人が共催しており、イベントのゲストには、元クックパッドCFOの成松氏や先日上場を果たしたばかりのフォトクリエイトの白砂氏らが登壇し、IPOに必要なこと、上場時の裏話などを大いに語った。

 本イベントは160名ほどの申込があり、当日は3時間に渡って、勢いのあるベンチャー経営者がIPOに向けての心構えや必要な知識を得られる場となった。

今回は、「Get IPO 2013セミナー」にお邪魔し、全3時間にわたって語られた、IPOに関する知識を余すことなくまとめてお届けします。

はじめに

 イベントの開会挨拶として、株式会社ビジネスチャンス代表の中村氏が「今回のイベントは100名以上がIPO予備軍として参加していただいている。先日の自民党の選挙での勝利により、本格的に安定した経済政策が出てくると思うので、今後ますますベンチャーには追い風が吹くであろう。ぜひ今日の内容を参考にIPOに関して知識を深めていただければ」と語り、イベントは始まった。

株式会社ビジネスチャンス
代表取締役 中村裕幸 氏


共催企業挨拶 

大和証券株式会社 常務取締役 
丸尾浩一氏

 大和証券は、今回のビジネスチャンス様主催の「Get IPO 2013セミナー」に共催という立場でサポートをさせて頂いておりまして、今回の会場も当社にて提供させていただいています。この会場は、上場企業の皆様の決算発表会や投資家説明会でもお使い頂いている会場で、将来、皆様が上場されました際には、本会場をご利用いただければと思っております。

 最近は、昨年来のアベノミクスに端を発した日本経済の回復により、IPOマーケットも大変な活況を呈しており、2000年には200社を超えた新規上場企業数も、2008年のリーマンショックの影響で激減いたしましたが、2009年に19社と底を打ちました後、2011年は36社、2012年(暦年ベース)では46社(TOKYO PRO Maeketを除く)と着実に回復してきておりまして、本年2013年は60社前後と拡大が予想されています。

 また、IPO銘柄のパフォーマンスも大変好調で、25銘柄連続で初値が公開価格を上回る状況が続いておりまして、現在は、IPOをご検討いただく最良の環境になってきていると思います。

 当社グループのIPO実績に関する外部評価は、こちらも大変光栄な評価を頂いております。日経ヴェリタスにて掲載されました、ディールオブザイヤーIPO部門において、2011年2012年と2年連続で当社主幹事で上場した企業様が1〜3位までを独占しました。当社は数多くのIPOをお手伝いさせて頂いており、企業様の更なる成長手段の一つとして、IPOをご提案させて頂いております。

 今後も、皆様に評価され、IPOしてよかったと思って頂けるようなお手伝いができればと考えております。また、上場はゴールではなく皆様のご事業拡大の通過点であり、更なる事業成長のステップアップの手段としてご活用頂きたいと思っております。 当社では、例え今は規模として大きくなくても、小さく生んで大きく育てるということで、マザーズ・ジャスダック上場を通じて将来東証1部にステップアップするなど、皆様に大きく飛躍して頂けるような上場支援を考えております。

元クックパッドCFOが語る「IPOに必要な5つの条件」とは?

元クックパッド株式会社 CFO
成松淳氏

  私は平成19年1月にクックパッドに入社した。当時の社員は、10名弱だった。上場するまでには「構築する」「運用する」「審査する」という3つの段階があるので、まずはその3つの段階について話したいと思う。

<構築する>


 クックパッドには、管理業務に専任している人がいなかったので、 十分な管理体制を敷くことは困難だった。よって出来る限りシンプルに、管理部門に集中するようにした。事業体によって規定を変えて、それをしっかりやっていくことが重要。 

<運用する>


 事業と会社はどんどん変化し、社員数は急速に拡大していく。管理部門の人員は限定されるので、管理業務は120%で運用していくことが求められる。なので、外注の活用とシンプルさの徹底は有効に機能する。なかなか答えはないので地道にやっていくしかない 。

<審査中>


 審査担当者は決して落としたい訳ではないので、感情的にならずに淡々と処理していくが大切。譲れない部分は安易に譲らず、ロジカルに対案を出すこと。凡ミスを無くすために、徹底チェックは欠かせない。

IPOに必要な5つの条件

1. すべては事業のために

 上場は企業の成長のためであり、IPOがゴールではない。上場時の株価は事業(事業内容・業績)が決めるので、公表用の業績計画策定はバランスが鍵になる。予算を下回った瞬間、審査はストップするし、低い予算にすると、事業の成長が止まってしまう。

2. チームづくり

 成功の鍵「チームづくり」は、まず経営陣から。CEOしかいないような会社があるが、そのままIPOに進んでいくのは無理。管理部門のメンバーは必要ないと思うだろうが、上場後には必要になるので、一気に予算をかけるのではなく、徐々に良い人を入れていくのが良いだろう。 主幹事証券には、具体的な相談を投げていき、進めていくことが大切。

3. スピード&タイミング

 スケジュールの早期化は必須。いつ何があるかわからないし、トラブルが見つかれば改善のための運用期間に当てられる。クックパッドは1日単位で削っていき、それが結局は3ヶ月になっていたりした。やると決めたら、とことん早く進んでいくべき。

4. 信頼と感謝

 CFOの役割は信頼の中心にいて、周りと信頼を繋いでいくこと。専門能力が高い人は、外部から採用すれば良い。またその際は、人格的能力が重要になる。また上場は、周囲のサポートがあってこそ。

5. 運

 ただ、最後は運も重要になる。運を高めるために、スケジュール早期化や提出資料の複数チェックは徹底的に行うこと。

日本企業が14年ぶりの快挙!グローバル化を見越したNASDAQ上場秘話

株式会社UBIC 代表取締役社長 
守本 正宏 氏

<eディスカバリ事業>


 企業活動のグローバル化が進む中、日本を含むアジア企業が、欧米市場で法的責任を問われるケースが急増し、訴訟リスクが高まってきた。訴訟費用の70%が紹介料に使われる。現代の訴訟事案では、ほとんどが電子ファイル上で行われ、証拠チェックをするのに膨大なコストや人が割かれている。この問題を解決するサービスを考えた。

 アメリカだとUBIC自体の認知度が低いが、日本だと業界自体の認知度が低かった。ここをどうにかして変えていかなければと思っていた。そこで、まずはマザーズに上場しようと考えた。そうすれば、信用力・ブランド力が付けられると思った。しかし、マザーズ上場のことはアメリカの弁護士には全然届いていなかった。これでは前と変わらないと思い、アメリカに会社を設立することにした。ナスダックに上場した際に業界のトップニュースになった。2007年に会社を作った時は相手にもされなかったが、5年たってようやく認められたと感じることが出来た。

<Predictive Coding>


 これが上場する際の大きな武器になった。証拠チェックは人が見る作業として要求されているから、必ずやらなければいけない。簡単にやりたかったが、コンピューターにも限界があった。 しかし、最近Predictive Coding(人工知能コンピューター)の開発に成功し、コスト・労力・時間を劇的に削減することができるように。この機能によって上場できたといえる。

<NASDAQ上場秘話>

ナスダック上場の軌跡「準備」

 主幹事を決めようと思っていたが、 まだ名も無いベンチャーということであまり良くない反応だった。ただアメリカに行った際、この会社が上場できるのであれば自分達もできると思った。アメリカと日本の上場の違う部分は、弁護士を決めなければいけないところ。アメリカでは、証券会社はコンサルティングをあまりしない。また、上場する際は米国会計基準を導入した。今思えば、この決断は良かったと思っている。


 ベンチャーだからこそ、ブランドを作る。「アジアで勝つ為に、アメリカで勝つ」が自社のコンセプトになっている。一度アメリカで戦ってみることは良い経験になると思い、進出した。実際行ってみると、アメリカの弁護士の方々と交渉で渡り合っていくことは難しいなと感じた。まず始めにマザーズに上場できたからこそ資金調達でき、システムを開発できた。その資金で開発できたからこそ、アメリカで上場できた。

共催企業挨拶

有限責任監査法人トーマツ トータルサービス本部 本部長
長岡 弘樹 氏

 我々、有限責任監査法人トーマツはグループで国内に40都市に事務所を設けており、世界150ヵ国と業務提携を結んでおり、海外への展開もようやく力が入ってきたなという所でございます。また、海外業務提携先での日本語バイリンガルプロフェッショナル常駐都市は70ヶ所になりました 。

 現在、我々とお付き合いさせて頂いております企業様の数は3,599社になりました。また今後も多くの企業様のお手伝いをさせていただければと思っております。

今一番熱い!直近IPO企業トップによるディスカッション

<登壇者>(左から)

株式会社 東京証券取引所 執行役員 村田雅幸氏
株式会社フォトクリエイト 白砂晃社長
株式会社 地盤ネット 山本強社長
株式会社 enish 杉山全功社長




上場という経営判断について

白砂氏:
起業当時は、野心が満々だった。ただ、先輩経営者から理念がないと会社がぼろぼろになるよと言われた。そこに社員が入って写真が売れたことで、真剣に理念を考え始めた。5年目くらいからIPOしようと具体的に考え始めた。

山本氏:
2010年の1月の日経新聞を読んでいて日本のIPOが全然ダメだという記事を見つけた。このままでは日本がダメになると思ったし、証券取引所がテコ入れして増やしていこうとした時に、チャンスがあると思った。そこで知識を持っている人に相談し、最短でいつ出来るか聞いたところ、2012年の12月に全て順調にいけば上場出来ると言われた。12月12日に上場するということを社員にも宣言した。そうすることで、自分にも責任感が出来たし、社員の目も色も変わった。

杉山氏:
当時の取引所は、ガバナンスに視点が片寄っているなと感じた。会社の業績は、永遠に右肩上がりということはなく凸凹なもの。最近、そこを理解していただけるようになったなと感じた。上場は社員のモチベーションはもの凄く上げてくれる。これはとても大事。

上場のデメリット

杉山氏:
大変になることかな。会社がオープンになるので、色々な意見を言われる。ただ、そんなデメリットではないと感じる。あくまで会社を成長させるためのことだと考えていて、僕はやって良かったと思う。

山本氏:
創業メンバーの中で、(会社の成長スピードに)ついてこられない人が出てきてしまった際のジャッジメントは悩むことがある。割り切りも必要だったりする。

白砂氏:
まだ2週間なんで、まだ全然分からないですね。 最近Facebookで変な人から友達申請が送られてくるくらいかな(笑)

上場前後の資本政策

山本氏:
結果的には上手くいったかなと思う。社会的な保証を得る為に上場をしようと考えていた。 エンジェルという立ち位置の方が自分たちの場合は重要になった。資本のルートはVCがあるが、そこに行ってしまうとシェアがなくなってしまう。 もちろん後々、VCの方も大事になるが、最初の頃はエンジェルの方といかに出会えるかどうか。現在、日本に足りないのはエンジェルの方だが、エンジェルになりたいと思っている方は結構いたりする。

白砂氏:
エンジェルは、独立した時に応援してくれる人がいた。社長もパブリックの立場で物事を考えなければいけないし、自分のことを考えていたら選択をミスしてしまう。そこが出来るようになってから、IPOを考えるべき。

杉山氏:
会社の発展のために、外部にブレーンを持つことは大事。昔はそんなに多くなかったが、今は環境的にも多くいる時代になった。社外に相談できる人を見つけて繋がっていくことが大切だと思う。

上場日当日を振り返って

杉山氏:
会社に帰って、社員と乾杯した。ただ、エンンジニアが多い会社だったので乾杯した後は普通な感じになった(笑)

山本氏:
東証まで歩いて2分〜3分ほどだったので、全員で鐘を鳴らしにいった。奥さんや子供を連れてくるひともいて、本当に幸せな日だった。

白砂氏:
東証見学ツアーを組んだりして、有志で集まった社員が見学にきたりして、すごく幸せそうな顔をしていたのが印象的だった。その日は役員と飲みにいった。

おわりに

 今回、大和証券がベンチャー支援の一環として共催した初のイベントだったが、今後も継続してベンチャー企業の方々の役に立つようなイベントを開催していくそうだ。今後、大和証券が企画するイベントに参加し、様々な知識を活かしてみてはどうだろうか。

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